インテリア業界の業界レポート。データは2022-2023年。動向、現状、ランキング、シェア、各社売上高の比較などを研究しています。インテリア業界の過去の市場規模の推移や業界に関連性の高い新設住宅着工戸数の推移、各社の現在の取り組みや今後の課題などを詳しく解説しています。
業界規模
1.6兆円
成長率
10.4%
利益率
3.5%
平均年収
584万円
インテリア業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2020年に大きく減少しましたが、直近では上昇しています。
インテリア業界は住宅業界の動向に影響を受けやすい業界です。引っ越しや住宅のリフォームを機に、家具のまとめ買い需要が伸びるためです。
新設住宅着工戸数の推移(出所:国土交通省、グラフは業界動向サーチが作成)
上のグラフは、新設住宅着工戸数の推移を示したものです。2022年度の新設住宅着工戸数は、前年比0.6%減の860,828件でした。2020年度までは減少傾向でしたが、2021年度には増加に転じ、2022年は横ばいで推移しています。一般に、新設住宅着工戸数が伸びればインテリア需要も伸びる傾向にあるため、新築住宅の回復はインテリア業界にとって追い風に働きます。
近年のインテリア業界の動向を振り返りますと、2020年は感染症拡大によって、ホテルやオフィスなどの大口のインテリア需要が減退し、都市部では店舗が休業、実店舗への来客数も減少しました。2021年には新設住宅着工戸数の増加が追い風となり、落ち込んでいた大口のインテリア需要も回復傾向となりました。
2022年のインテリア業界の動向をみますと、業界最大手のニトリHDが36期連続(13カ月の変則決算)の増収増益を記録しました。また、良品計画やアクタスなども業績を伸ばし、2022年の業界規模は拡大しています。一方で、大塚家具は業績不振で赤字に転落、2022年5月にはヤマダ電機が吸収合併することとなりました。業界内での優勝劣敗が目立ちます。
大手が業績を伸ばすなか、2022年は巣ごもり消費やテレワーク需要の反動減も見られた年でした。円安や原材料価格、物流費の高騰などが利益を圧迫しており、業界では商品価格や送料の値上げを実施しています。
※はインテリア関連部門の売上高。2022年のインテリア業界の売上高ランキングでは、首位がニトリ、2位が良品計画、イケア・ジャパンと続きます。
トップのニトリHDは、自社で製造から物流、小売まで手掛けるSPA(製造小売業)。国内店舗数は730店舗、海外では123店舗を展開し、うち中国大陸が67店舗、台湾が53店舗となります。2020年12月にはホームセンターの島忠を買収しました。
2022年のインテリア大手企業の業績は、ニトリHDが前年比16.8%増、良品計画が同9.4%増、イケア・ジャパンが1.6%増でした。全体では前年から増加しています。
インテリア業界は大型家具需要が頭打ちの状態です。
若い世代の車離れや消費者の好みの多様化など、ここ数年、消費者のライフスタイルが大きく変化しています。加えてインターネット通販やフリマアプリの台頭などにより、リアル店舗以外での消費活動が活発化しています。
こうした動向により、近年、生活雑貨を充実させて来店を促すビジネスモデルの展開が増えています。生活雑貨の需要は底堅く、タオルやキッチン用品、雑貨小物などの販売が好調です。大型家具を揃える百貨店も同様の動きを見せており、雑貨の取り扱いを増やし集客につなげています。
快進撃を続けるニトリでは小物やキッチン用品の拡充を行い、雑貨を中心とした「デコホーム」の出店を加速させています。同企業では季節や部屋のイメージに合わせたトータルコーディネートのアドバイスを行うなど、流行に敏感な若い世代の需要も上手く取り込んでいます。
大型家具需要が不振の中、インテリア各社は都市型店舗の展開を進めています。
若者の都心回帰や車を持たない世帯の増加に伴い、雑貨をメインとした都市型店舗で、若年層など新たな層への需要拡大を図っています。さらに、インターネット通販やアプリでの購買増を仕掛けることで収益向上を目指しています。
ニトリHDはインテリア業界では手薄であった都市部の出店を加速させています。2015年にマロニエゲート銀座、2017年には東武池袋店、2022年秋には池袋東急ハンズの跡地に出店しました。さらに生活雑貨を強化した「デコホーム」の出店でシェア拡大を図るほか、エディオンとも協業を進め、事業拡大に乗り出しています。
イケアジャパンは2020年から2021年にかけて原宿、渋谷、新宿に都市型店舗を3店舗オープンしました。従来の郊外店舗路線から転換し、都心に住む購買客の取り込みを図っています。良品計画は2019年4月には銀座で国内初の『MUJI HOTEL』を開業。無印良品とホテルを融合した新たな業態にも挑戦しています。
近年のインテリア業界では法人事業を強化する動きも見られています。都市再開発を受けオフィスやホテルといった法人向け家具需要が勢いを増しています。小売に比べ低利益ですが一件当たりの規模が大きく収益の向上が見込めます。また、ネット通販にも力を入れており、実店舗とネットの双方での収益向上を図っています。
いまや家具や雑貨を扱うインテリア業界は、業態の垣根を超えた競争が激しさを増しており、厳しい環境が続くとみられます。いまや消費者ニーズは多様化し、そのスピードは早くなっています。こうした消費者の変化にいかに早く、柔軟に対応できるかが、今後の業績の明暗を分けるカギとなりそうです。
インテリア業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することでインテリア市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | ニトリHD | 9,480 | ||
2 | 良品計画 | 4,961 | ||
3 | イケア・ジャパン | 954 | ||
4 | 東京インテリア家具 | 558 | ||
5 | ナフコ ※ | 395 | ||
6 | アクタス | 197 | ||
7 | ミサワ | 121 | ||
8 | カッシーナ・イクスシー | 90 |
※ナフコは家具・ホームファッション用品事業の売上高です。シェアとはインテリア業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することでインテリア市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれインテリア業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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ニトリHD、良品計画、イケア・ジャパン、東京インテリア家具、ナフコ、アクタス、ミサワ、カッシーナ・イクスシーの計8社
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