RECYCLE
目次
グラフはリサイクル業界の業界規模(対象企業の22計)の推移をグラフで表したものです。
リサイクル業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2020年-2021年のリサイクル業界の業界規模(主要対象企業22社の売上高の合計)は6,383億円となっています。
リサイクル業界の過去11年間の業界規模の推移
リサイクル業界の過去の推移を見ますと、2010年から2020年まで増加傾向にあります。
2020年のリサイクル業界上位6社の売上高は、ゲオHD(リユース事業)が前年比6.9%増の1,307億円、メルカリが同39.2%増の1,061億円、ブックオフG HDが10.9%増の935億円、コメ兵が11.8%減の507億円、バリュエンスHDが0.5%増の379億円でした。上位5社中4社が対前年比で増加、主要リサイクル会社22社中13社が、対前年比で増加を記録しています。
新型コロナウイルスの感染拡大など厳しい経済環境下においても、リサイクル業界は増加傾向にあります。景気の悪化により消費者の生活防衛意識が強まり、廉価品の多いリサイクルショップが支持される結果となりました。
近年、リサイクル業界を牽引するのが、フリマアプリアやネットオークションです。スマホやSNSの普及を追い風に個人間取引が急伸、中でも急拡大しているのがメルカリなどのフリマアプリです。
CtoC(個人間取引) EC市場の市場規模の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)
上のグラフはCtoCのEC市場の市場規模の推移を示したものです。経済産業省よると、2020年のCtoC(個人間)のEC市場の市場規模は、前年比12.5%増の1兆9,586億円でした。グラフでは直近の3年分しか統計がありませんが、2016年ごろからCtoCのEC市場の上昇が見られます。
日本で最初に誕生したフリマアプリは2012年の「ラクマ」です。翌年の2013年にはメルカリが登場し、わずか6年で6億円規模の成長を遂げています。また、ネットオークションも誕生から20年ほど経つ現在も市場は縮小する気配もなく、フリマアプリと共に引き続き拡大傾向にあります。
ネットやアプリでの中古品売買が拡大すると共に、中古品に対して抵抗感が薄い消費者が増えている傾向にあります。さらに近年、社会の環境意識の高まりにより、モノのリサイクルやリユースが見直されはじめ、「子どもに物を大切にする意識を持たせる」教育にも繋げられています。このよな社会的な動向もリサイクル業界にとっては追い風となっています。
リサイクル市場は新たな業態参入により業界規模が拡大する一方、激しい競争下にあります。なかでも店頭取引を主流とした企業は、フリマアプリやネットオークション勢に押され、厳しい状況が続きます。
こうした状況から、実店舗型をメインとしていた企業もネット型を展開、一方ネット型もデジタル面の強化を図るなど、双方でインターネット事業の強化、拡大に取り組んでいます。
総合リユース企業のトレジャーファクトリーでは、2017年10月よりショッピングサイト「トレファクONLINE」をスタート。引越しと買取を一括で行える「トレファク引越し」や、出張買取なども強化しています。2019年10月には、リユース企業向け「トレファクライブネットオークション」を20年1月に開始すると発表。自社の仕入れ力を活かし、オークションを運営を始めます。
日本最大級の中古書籍在庫量を誇るブックオフでは、実店舗とネットの双方で展開。ゲームソフトや家電、子供服、貴金属などの商材幅を広げ大型複合館を出店、百貨店内には富裕層をターゲットにした買取専門『ハウゲール』の出店を拡大中です。また、アプリのリリース、自宅にいながら買取りや、全国の商品が購入可能な自社ECサイトを強化しています。
フリマアプリ国内首位のメルカリはAIを活用しています。メルカリのAI査定ではアプリ内で画像をアップするだけで、査定額や真贋の判定、売れ筋の価格帯を表示することができます。バーコードによる商品情報の自動入力、画像検索など、商材カテゴリーの増強や検索機能の強化を図っています。その他、配送業者やコンビニでの梱包や発送場所の増加、講習会を開くなど出品の拡大に取り組んでいます。
中古ブランド最大手のコメ兵ではECを強化。2017年には真贋査定サービス付きフリマアプリ『KANTE』をリリース。翌年には商材面での専門性強化を図るため、アンティーク時計やジュエリーを扱う「シエルマン」をグループ会社化。出張買取のイベント開催や法人向けオークションを拡大しています。
ネットオークション最大手の「ヤフーオークション」を手掛けるZホールディングスでは、2017年に定額出品の『PayPayフリマ』を開始。2018年にフリルを統合した楽天においても、フリマアプリ「ラクマ」を展開しています。
また、ネット強化のみならず独自のスタイルを築く企業も注目されています。バリュエンスHDにおいては、買い取りは店舗、販売は自社オークション形式にしており、ブランド品では大黒屋を抜いて2位に浮上しています。
順位 | 企業名 | 売上高 | シェア | 単位:億円 |
1 | ゲオHD ※ | 1,307 | 20.5 | |
2 | メルカリ | 1,061 | 16.6 | |
3 | ブックオフGHD | 935 | 14.6 | |
4 | コメ兵HD | 507 | 7.9 | |
5 | バリュエンスHD | 379 | 5.9 | |
6 | シュッピン | 339 | 5.3 | |
7 | テンポスHD | 270 | 4.2 | |
8 | テイツー | 249 | 3.9 | |
9 | ハードオフコーポレーション | 212 | 3.3 | |
10 | トレジャー・ファクトリー | 187 | 2.9 |