産業廃棄物業界の動向や現状、ランキングなど

産業廃棄物業界で働く人

産業廃棄物処理業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを研究しています。データは2021-2022年。産業廃棄物業界の過去の業界規模の推移をはじめ、産業廃棄物処理業の売上金額の推移グラフ、2021-2022年のコロナの影響と各社の取り組みなどを解説しています。

産業廃棄物業界(2021-2022年)

産業廃棄物業界の推移と基本情報

業界規模

0.2兆円

成長率

6.8

利益率

6.9

平均年収

637万円

  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年

産業廃棄物業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2020年、2021年と増加傾向にあります。

産業廃棄物業界の動向と現状(2021-2022年)

2021年の産廃業は回収量増加 資源価格上昇が業績に貢献

下のグラフは、産業廃棄物処理業の売上金額の推移を示しています。総務省統計局の「経済構造実態調査(甲調査)」(2021年3月31日公表)によると、2020年の産業廃棄物処理業の売上金額は、前年比6.7増の2兆6,634億円でした。

産業廃棄物処理業の売上金額の推移(出所:総務省統計局、グラフは業界動向サーチが作成)

産業廃棄物処理業の売上は、調査開始の2013年から2020年まで右肩上がりで推移し、増加傾向にあります。2020年は前年から1,673億円が増加し、7年間で初の2.6兆円台を突破しました。

2021年の産業廃棄物業界は前年と異なり、新型コロナの影響は微減で留めることができました。建築物の新設や解体や向上の稼働率が増加したことで、廃棄物や廃液の回収量が増加しました。加えて非鉄金属や鉄スクラップ価格が高値圏で推移したことや、取扱量も増加したため業績は好調でした。

産業廃棄物は、事業活動に伴って生じる廃棄物で約20種類に分類されます。産業廃棄物業者は廃車や工場の廃水、建築廃材、廃プラなどを回収し処分します。焼却や埋め立ては最終処分で、廃棄物からは金属やレアメタルの抽出、再生燃料や再生プラなどにリサイクルしています。

産業廃棄物業界 売上トップ5(2021-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 TREホールディングス 682
2 エンビプロ・HD 573
3 ダイセキ 568
4 アサヒHD 185
5 要興業 119

※は産業廃棄物関連の部門売上高。2021年の産業廃棄物業界の売上高ランキングを見ますと、1位がTRE HD、2位がエンビプロ・HD、3位がダイセキと続きます。

首位のTRE HDは、廃棄物の運搬から再資源化、最終処分を行うタケエイと、金属リサイクル事業を手がけるリバーHDが2021年10月の統合で設立した共同持株会社です。エンビプロ・HDは、建築廃材や廃車から金属を回収・加工し、国内外に販売しています。

『再資源化』を強化 世界的な脱炭素需要を商機に

リサイクルのイメージ

経済産業省の調査によると、国内の産業廃棄物処理の市場規模は年間5兆円と推計していますが、国内市場は人口減に伴う縮小が懸念されています。一方、業界内では世界的な脱炭素を商機と捉え、再生燃料の製造や車載用電池や廃プラからの『再資源化』を強化しています。

産業廃棄物大手のダイセキは、廃油や廃水などの液状系廃棄物をメインに取り扱います。リサイクル率は90%を誇り、廃棄物から再生重油や補助燃料、セメントの原料や有用金属など取出しています。国内市場の縮小を見据えアジア市場進出に向けた市場調査を開始し、アジアNo.1企業を目指します。

ダイセキの産業廃棄物処理・リサイクル事業「廃油処理・リサイクルフロー」

ダイセキの産業廃棄物処理・リサイクル事業「廃油処理・リサイクルフロー」

また、ダイセキは、CO2削減を目的としたリサイクル燃料の需要が高まるとして、同燃料の設備投資を強化しています。2019年から2021年には、関東や九州において新工場や各事業所の増強を行い、現在の供給量20万トンから30万トンを目指しています。

エンビプロ・HDは、鉄スクラップや非鉄金属の加工・販売を手がける資源事業を展開し、売上比率は海外が51%と国内を上回ります。焼却灰から「金・銀・銅」を取り出す、有用金属の回収事業の拡大に注力し、2025年には全国の30%の自治体焼却施設との契約を計画しています。

また、同社は成長戦略の一つに「リチウムイオン電池のリサイクル事業」を挙げています。使用済み電池から希少金属の回収事業では、2021年8月にエマルションフローテクノロジーズと協業しました。2022年には既存工場の拡張、2025年には湿式製錬工場の稼働を予定しています。

リバーHDとタケエイは、2021年10月に「TRE HD」を設立、2026年3月期に売上高1,000億円を目指します。成長戦略の一つは『再資源化の強化』で、廃プラが原料の固形燃料製造プラントを新設予定です。2030年代に大量廃棄される「太陽光パネルリサイクル」の事業化についても推進しています。

2020年の産業廃棄物業界は、新型コロナの感染拡大が廃棄物の回収に影響を及ぼしました。一方、2021年には入り工場の稼働率や解体工事などが増加し、主要企業の業績は好調に推移しました。また、世界的な脱炭素や海洋プラスチックごみ問題が追い風になり、業界内で再資源を強化する動きが高まっています。コロナ後の需要の反発と世界経済の成長に期待したいところです。

産業廃棄物業界 ランキング&シェア

産業廃棄物業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで産業廃棄物市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

産業廃棄物業界 売上高&シェアランキング(2021年-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 TREホールディングス 682
2 エンビプロ・HD 573
3 ダイセキ 568
4 アサヒHD 185
5 要興業 119
6 イボキン 84
7 東京ボード工業 75
8 共英製鋼 72
9 ミダックHD 63
10 アミタHD 51

※アサヒHDは環境保全事業、共英製鋼は環境リサイクル事業の売上高です。シェアとは産業廃棄物業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで産業廃棄物市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ産業廃棄物業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

関連リンク

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産業廃棄物業界 対象企業一覧

ダイセキ、エンビプロ・HD、リバーHD、タケエイ、アサヒHD、要興業、東京ボード工業、共英製鋼、ミダックHD、イボキン、アミタHD、リファインバースグループ、ダイトーケミックスの計12社

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