アルミ業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを分析しています。データは2022-2023年。アルミ業界の過去の市場規模の推移をはじめ、アルミニウム出荷額の推移グラフ、売上高ランキング、脱炭素とアルミ需要の動向などを解説しています。
業界規模
1.9兆円
成長率
13.6%
利益率
2.09%
平均年収
784万円
アルミ業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2021年、2022年と増加傾向にあります。
下のグラフは、アルミニウム二次合金地金の販売数量と金額の推移を示しています。経済産業省の生産動態統計(2023年6月公表)によると、2022年のアルミニウム二次合金地金の販売数量は前年比8.2%減の101万トン、販売金額は前年比18.2%増の3,548億円でした。
アルミニウム二次合金地金の販売数量と金額の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)
グラフを見ますと、販売数量・販売金額は2020年まで緩やかな減少傾向でしたが、2021年には販売数量・販売金額ともに増加に転じています。2022年は販売数量が再び減少に転じた一方、販売金額は過去9年間でもっとも高い水準を記録しました。
2022-2023年のアルミ業界の動向を見ますと、国内市場は前年に比べアルミニウム需要が減少しました。自動車関連では半導体や部品不足による生産減の影響を受け、半導体装置や飲料缶、航空機や機械、建築向けでも減少が見られました。一方で空調関連の需要は増加しました。
海外市場では缶需要が旺盛となり、缶材の販売数量が増加、空調関連の販売も好調でした。また、アルミ地金市況やエネルギー価格の高騰に伴う値上げで各社の収益は増加したが、利益率は低下しています。
アルミニウムは非鉄金属の一種です。国内企業はアルミ板などに加工する「アルミ圧延業」を主な事業としています。原料である鉱石を製錬所で地金に生成後、地金を薄く延ばしてアルミ板に加工します。このアルミ地金を薄く伸ばす作業をアルミ圧延といいます。また、地金には、原料のボーキサイトから生成する「一次地金」、リサイクル製品から作られる「二次合金合金」があります。
アルミの製錬には膨大な電力を使用します。国内の電力料金は高いため電力コストが負担となり、国内のアルミ製錬は衰退に追い込まれています。現在、日本企業は海外からアルミ地金を購入し、アルミ圧延や押し出しなどの加工を行い、缶や自動車、電子部材向けに販売します。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | |
1 | UACJ | 9,628 | |
2 | 日本軽金属HD | 5,169 | |
3 | 大紀アルミニウム工業所 | 2,730 | |
4 | 神戸製鋼所 ※ | 1,954 |
※はアルミ関連の売上高。2021年のアルミニウム業界の売上高ランキングを見ますと、首位がUACJ、2位が日本軽金属HD、3位が大紀アルミニウム工業所でした。UACJは2014年に首位に踊り出て以降、トップを死守しています。近年は2位との差が縮まりつつありましたが、2021年以降は再び差を広げています。
2022年-2023年のアルミ業界の業績は、UACJが前年比23.0%増、日本軽金属HDが同6.2%増、大紀アルミニウム工業所が15.7%増、神戸製鋼が19.3%増でした。4社ともに増収となり、3社が大幅増収を記録しました。
世界的な脱炭素化に向け、EV(電動自動車)の需要が高まっていますが、それと同時にアルミニウムの需要も高まっています。
近年、自動車の燃費向上に向けた軽量化が進み、自動車部材に軽くて頑丈なアルミが採用されています。EV(電気自動車)はリチウムイオン電池を大量に搭載するため、重量が重くなりがちですが、こうしたEV普及に伴う軽量化のニーズから、アルミへの需要が高まっています。加えて、脱プラスチックの動きも活発化しており、ペットボトルからアルミ缶への代替も進んでいます。
国内首位のアルミニウム総合メーカーであるUACJは、アルミ圧延品の生産量では世界トップクラスを誇ります。UACJが成長事業と位置づけているのが自動車分野と缶材です。
UACJの6事業の強みを活かす「自動車材事業」
UACJはEV用のアルミニウム材の開発を強化しています。6つの事業が持つ技術力やノウハウを駆使した、幅広い自動車向け部材を生産し、蓄電池関連部材や車載用高強度バンパーなどの高付加価値部材の開発で需要を取り込みます。米国の車載用アルミ部材の需要獲得のため、21年7月より米アリゾナの新工場を稼働、ミシガン工場は設備を増強し22年稼働を予定してます。
また、UACJでは缶材の販売拡大にも注力しています。脱プラスチックによる飲料向けのアルミ缶需要が旺盛で、北米地域を中心に世界的にニーズが拡大しています。日本、タイ、北米の3極の供給体制を活かし、缶材の生産量を2020年度の80万トンから2025年度には90万トンの生産を目指しています。
日本軽金属HDも同様にEV市場のアルミ需要の獲得に向け、部品や素材の開発を強化しています。アルミの放熱特性を活かしたバッテリー冷却用製品やエンジン、内装部品など数多くの製品を国内外に提供しています。また、サスペンション部品のニーズも拡大していることから、2019年には販売や開発を担う子会社を米国に設立し、22年度をメドに生産を予定しています。
2020年のアルミ業界はコロナによる需要減少が響き、年間の業績は低迷しました。2021年には一転して業績の回復が見られています。さらに、アルミ地金上昇による棚卸資産の増加や自動車の軽量化、脱プラスチックへの流れもアルミ業界にとっては追い風となります。こうした好機をうまく捉え、今後の業績向上につなげたいところです。
アルミ業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することでアルミ市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | UACJ | 9,628 | ||
2 | 日本軽金属HD | 5,169 | ||
3 | 大紀アルミニウム工業所 | 2,730 | ||
4 | 神戸製鋼所 ※ | 1,954 |
※神戸製鋼所はアルミ板事業の売上高です。シェアとはアルミ業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することでアルミ市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれアルミ業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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UACJ、日本軽金属HD、大紀アルミニウム工業所、神戸製鋼所の計4社
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