繊維業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを分析しています。繊維業界の過去の業界規模の推移をはじめ、化学繊維の年間販売量の推移グラフ、2022-2023年の動向と繊維メーカー各社の戦略などを解説しています。
業界規模
3.6兆円
成長率
3.5%
利益率
2.2%
平均年収
595万円
繊維業界の過去の業界規模の推移を見ますと、。あああ
経済産業省の生産動態統計(2023年6月公表)によると、2022年の化学繊維の販売量は前年比0.8%減の59.2万トンでした。合成繊維は同3.3%減の43.9万トン、再生・半合成繊維は7.2%増の15.3万トンの販売量となっています。
化学繊維の販売量の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)
近年の化学繊維の販売量の推移を見ますと、緩やかに減少が続くなか、2020年には下げ幅が拡大し60万トンを下回りました。一方、2021年は増加に転じましたが60万トンには届かず、2022年も微減となり横ばいで推移しています。中長期的には減少傾向です。
続いて、2021-2024年9月の直近の繊維業界の動向を見ていきます。
繊維工業の生産指数の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)
上のグラフは、繊維工業の生産指数の推移を示したものです。最新の2024年9月の繊維工業の生産指数は、前年同月比1.9%増の96.4でした。
繊維工業の生産指数の推移を見ますと、2020年9月を底に緩やかな増加が続き、2022年の年初から2024年2月にかけて下落、4月以降は再び増加に転じています。
2022年の繊維業界は、コロナからの経済再開の動きから、国内では百貨店や量販店向け、アウトドアやスポーツ向けの衣料品が前年比プラスとなりました。また、海外市場では米国、中国で衣料品向けが好調に推移しました。一部企業においては自動車用途の需要に回復がみられましたが、半導体の不足により自動車向けは低調でした。その他、建築向けやインテリア向けは回復が進んでいます。
2021年以降、原材料価格の高騰が続いており、収益性の低下が懸念されています。今後、メーカーが価格転嫁をスムーズにできるかがカギとなります。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | |
1 | 三菱ケミカルグループ ※ | 12,526 | |
2 | 東レ ※ | 9,991 | |
3 | 帝人 ※ | 3,217 | |
4 | 東洋紡 ※ | 1,298 | |
5 | 住江織物 | 948 |
※は繊維関連の部門売上高。2022-2023年の繊維業界の売上高ランキングを見ますと、首位が三菱ケミカル、2位が東レ、帝人、東洋紡、住江織物と続きます。
2022-2023年は、繊維大手5社ともに増加となりました、全体としては前年に比べて増加しています。
近年、世界では中国の繊維メーカーが急激な伸びを見せており、世界の繊維生産量の50%超のシェアを握るほどに成長しました。なかでも、2大化繊であるポリエステルとナイロンの生産の大半は中国です。
こうした市況の中、日本の繊維メーカーは価格面で不利な汎用製品分野では劣勢に立たされており、従来の衣料品繊維事業の見直しを図ってきました。その結果、「炭素繊維」や「アラミド繊維」、「高機能ポリエチレン繊維」など価格競争力のある高付加価値製品へと軸をシフトしています。
また、樹脂や光学フィルムなど従来の繊維事業から、電子関連分野など繊維事業でのノウハウを生かせる「非繊維事業」へとコア事業をシフトするメーカーも増えています。衣料向けにおいても、環境に配慮した植物由来の繊維開発が行われています。
さらに、近年は日本の繊維メーカーの海外展開も加速しています。東レは米ボーイング社と10年以上にわたり1兆円を超える炭素繊維の受注を発表。ボーイングとは次世代航空機の共同開発も盛り込まれており、同社にとって大きな収益源となります。
かつては衣料用繊維としてわが国の産業を牽引してきた繊維業界。現在ではその座を中国に奪われ、世界の繊維業界の地図は大きく塗り替えられました。一方で、日本の繊維技術やその品質は海外でも高い評価を受けています。こうした日本の強みを武器に、厳しい環境の中でいかに優位に立てるか、今後の業界の動向に注目が集まります。
繊維業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで繊維市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | 三菱ケミカルグループ ※ | 12,526 | ||
2 | 東レ ※ | 9,991 | ||
3 | 帝人 ※ | 3,217 | ||
4 | 東洋紡 ※ | 1,298 | ||
5 | 住江織物 | 948 | ||
6 | 日本バイリーン | 706 | ||
7 | 芦森工業 | 656 | ||
8 | クラレ ※ | 631 | ||
9 | マツオカコーポレーション | 627 | ||
10 | ダイワボウHD ※ | 619 |
※三菱ケミカルグループは機能商品事業、東レは繊維事業、帝人は繊維・製品事業、東洋紡は生活・環境事業、クラレは繊維事業、ダイワボウHDは繊維事業の売上高です。シェアとは繊維業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで繊維市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ繊維業界の詳細ランキングページにジャンプします。
繊維業界を見た人は他にこんなコンテンツも見ています。関連業種の現状や動向、ランキング、シェア等も併せてご覧ください。
三菱ケミカルグループ、東レ、帝人、東洋紡、住江織物、日本バイリーン、芦森工業、クラレ、マツオカコーポレーション、ダイワボウHD、倉敷紡績、ダイニック、ホギメディカル、日清紡HD、小松マテーレ、ユニチカ、川本産業、日本毛織、川島織物セルコン、セーレン、アツギ、シキボウ、日東製網、自重堂、トーア紡コーポレーション、イチカワ、丸八HD、日本フエルト、東海染工、富士紡HDなどの計40社
繊維業界の動向や現状、ランキング、シェア等のコンテンツ(2022-2023年)は上記企業の有価証券報告書または公開資料に基づき掲載しております。繊維業界のデータは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。掲載企業に関しましてはできる限り多くの企業を反映させるよう努めていますが、全ての企業を反映したものではありません。あらかじめご了承ください。また、情報に関しましては精査をしておりますが、当サイトの情報を元に発生した諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負うものではありません。重要な判断を伴う情報の収集に関しましては、必ず各企業の有価証券報告書や公開資料にてご確認ください。