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グラフは電線業界の業界規模の推移をグラフで表したものです。
電線業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2017-18年の電線業界の業界規模(主要対象企業6社の売上高の合計)は5兆2,070億円となっています。
電線業界の過去11年間の業界規模の推移
電線業界の過去の推移をみますと2007年から09年にかけて減少、09年から増加に転じ、16年には再び減少しましたが、17年には再度増加に転じています。
2017年度は国内の銅電線の出荷量は3年ぶりの増加で、自動車向けが伸びました。近年の電線は主流だった銅電線からアルミ電線へ換えられています。アルミは銅よりも軽く低コストのため、送電線や自動車のワイヤーハーネスなどにも利用されてきています。
2018年2月に国が発表した無電中化の政策や東京五輪開催が追い風となり、インフラの需要が期待されています。
近年の電線業界は多角化が進み、既存の電線事業が縮小傾向にあります。代わりにクラウドサービスの拡大で通信用光ファイバーが好調。大手三社では自動車事業や光ファイバーなどが収益の柱になっています。
国内ではインフラ老朽化対策や電柱の地中化、クラウドサービスなど、電力や情報通信関連の需要が今後も期待できます。
一方、2016年10月埼玉県で起きた地中送電ケーブルの火災によって、旧式のケーブル交換時期が早まるとされ、旧式ケーブルの技術者不足などが懸念されています。
海外に目を向けますと、5GやIoT関連の市場拡大や欧州向けの再生エネルギー関連、新興国の開発等の通信用光ケーブルや電力ケーブルなどの需要拡大が見込めます。今後は海外事業が成長分野と見込まれ、電線各社は海外展開を加速しています。
業界首位の住友電気工業と3位のフジクラは海外事業が柱で、米国、中国、アジア、その他の地域にも進出。住友電気工業はドイツのシーメンスと事業提携し欧州とアジアを開拓。フジクラはミャンマーとブラジルでEPC事業を成長させています。
国内、海外ともに追い風が続く電柱業界ですが、2018~20年までの無電柱化推進計画、東京五輪、都市開発などの大型案件後には懸念が残ります。長期的に見れば、人口減少や少子高齢化に伴う住宅着工の減少などが予想され、市場を縮小させるリスクが潜在的にあります。
企業名 | 売上高 | シェア | 単位:億円 | |
1 | 住友電気工業 | 3兆0,822 | 59.2 | |
2 | 古河電気工業 | 9,673 | 18.6 | |
3 | フジクラ | 7,400 | 14.2 | |
4 | 日立金属 ※1 | 2,305 | 4.4 | |
5 | 昭和電線HD | 1,681 | 3.2 | |
6 | 東京特殊電線 | 189 | 0.4 |