電線業界の業界レポート。動向や現状、ランキング&シェアなどを解説しています。データは2022-2023年。対象企業の過去の業績を追うことで電線業界全体の現状や動向、傾向を知ることができます。
業界規模
6.3兆円
成長率
8.3%
利益率
3.2%
平均年収
739万円
電線業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2021年、2022年と上昇傾向にあります。
経済産業省の生産動態統計によると、2022年の銅線の販売額は前年比13.5%増の1兆4,468億円、販売数量は同0.1%減の66.7万トンでした。
電線(銅線)の販売額の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)
2022年は国内の銅電線の販売額が2年連続で増加となり、過去12年間で最も高い水準でした。一方、販売量は2020年に落ち込んで以降回復しておらず、70万トンを割り込む水準で推移しています。
2022年の電線(銅線)業界は、中国でのゼロコロナ政策や半導体不足による自動車生産の減産のほか、原材料費の高騰など厳しさが見られました。こうした市況の中、自動車関連、エレクトロニクス、インフラ、情報通信分野での拡販や円安効果も加わり増収となりました。業界の規模的には、コロナ前の水準を越えています。
一方で、電線業界を取り巻く環境では、原材料費の高騰や世界景気の減速懸念など、為替の変動など不透明要素も数多く残っており、予断を許さない状況が続きます。
近年の電線は、主流だった銅電線からアルミ電線へと徐々にシフトしています。アルミは銅よりも軽く低コストのため、送電線や自動車のワイヤーハーネスなどにも利用されてきています。
電線業界は多角化が進み、既存の電線事業が縮小傾向にあります。代わりにクラウドサービスの拡大で通信用光ファイバーが好調。大手三社では自動車事業や光ファイバーなどが収益の柱になっています。
一方、光ファイバー分野ではここ数年、中国メーカーが台頭。国内メーカーは価格面で押されており苦戦を強いられています。
※は電線材料事業の売上高。2022-2023年の電線業界の売上高ランキングを見ますと、首位は住友電気工業、2位が古河電気工業、3位がフジクラでした。ランキングによると、上位3社の売上規模が高いことが分かります。
住友電気工業は、電力や電気信号を伝えるための「ワイヤーハーネス」で世界首位級の会社です。ワイヤーハーネスは自動車や医療機器などあらゆる産業の製品に使用されます。2位の古河電気工業は、世界で初めて光ファイバーを生産した会社で、光ファイバーで世界2位のシェアです。フジクラはフレキシブルプリント基板で高シェアを誇ります。
2022-2023年の電線メーカーは、5社中4社が12~20%の大幅増収を記録しました。
国内ではインフラ老朽化対策や電柱の地中化、クラウドサービスなど、電力や情報通信関連の需要が今後も期待できます。
一方、2016年10月埼玉県で起きた地中送電ケーブルの火災によって、旧式のケーブル交換時期が早まるとされ、旧式ケーブルの技術者不足などが懸念されています。
海外に目を向けますと、5GやIoT関連の市場拡大や欧州向けの再生エネルギー関連、新興国の開発等の通信用光ケーブルや電力ケーブルなどの需要拡大が見込めます。今後は海外事業が成長分野と見込まれ、電線各社は海外展開を加速しています。
業界首位の住友電気工業と3位のフジクラは海外事業が柱で、米国、中国、アジア、その他の地域にも進出。住友電気工業はドイツのシーメンスと事業提携し欧州とアジアを開拓。フジクラはミャンマーとブラジルでEPC事業を成長させています。
国内、海外ともに追い風が続く電柱業界ですが、2018~20年までの無電柱化推進計画、東京五輪、都市開発などの大型案件後には懸念が残ります。長期的に見れば、人口減少や少子高齢化に伴う住宅着工の減少などが予想され、市場を縮小させるリスクが潜在的にあります。
電線業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで電線市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
※プロテリアルは電線材料事業の売上高です。シェアとは電線業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで電線市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ電線業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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