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目次
グラフは電線業界の業界規模(対象企業の6計)の推移をグラフで表したものです。
電線業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2020年-2021年の電線業界の業界規模(主要対象企業6社の売上高の合計)は4兆7,415億円となっています。
電線業界の過去8年間の業界規模の推移
電線業界の過去の推移をみますと2013年から2018年までは増加基調にありましたが、2018年から2020年にかけて減少傾向にあります。
経済産業省の生産動態統計によると、2020年の銅線の販売額は前年比-11.0%の1兆0,893億円でした。
電線(銅線)の販売額の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)
2020年は国内の銅電線の販売額が2年連続の減少となりました。直近では比較的大きな下落を記録しています。近年の電線は、主流だった銅電線からアルミ電線へと徐々にシフトしています。アルミは銅よりも軽く低コストのため、送電線や自動車のワイヤーハーネスなどにも利用されてきています。
近年の電線業界は多角化が進み、既存の電線事業が縮小傾向にあります。代わりにクラウドサービスの拡大で通信用光ファイバーが好調。大手三社では自動車事業や光ファイバーなどが収益の柱になっています。
一方、光ファイバー分野ではここ数年、中国メーカーが台頭。国内メーカーは価格面で押されており苦戦を強いられています。また、新型コロナウイルスの影響もあり、今後、自動車関連需要の不振が懸念されています。
国内ではインフラ老朽化対策や電柱の地中化、クラウドサービスなど、電力や情報通信関連の需要が今後も期待できます。
一方、2016年10月埼玉県で起きた地中送電ケーブルの火災によって、旧式のケーブル交換時期が早まるとされ、旧式ケーブルの技術者不足などが懸念されています。
海外に目を向けますと、5GやIoT関連の市場拡大や欧州向けの再生エネルギー関連、新興国の開発等の通信用光ケーブルや電力ケーブルなどの需要拡大が見込めます。今後は海外事業が成長分野と見込まれ、電線各社は海外展開を加速しています。
業界首位の住友電気工業と3位のフジクラは海外事業が柱で、米国、中国、アジア、その他の地域にも進出。住友電気工業はドイツのシーメンスと事業提携し欧州とアジアを開拓。フジクラはミャンマーとブラジルでEPC事業を成長させています。
国内、海外ともに追い風が続く電柱業界ですが、2018~20年までの無電柱化推進計画、東京五輪、都市開発などの大型案件後には懸念が残ります。長期的に見れば、人口減少や少子高齢化に伴う住宅着工の減少などが予想され、市場を縮小させるリスクが潜在的にあります。
順位 | 企業名 | 売上高 | シェア | 単位:億円 |
1 | 住友電気工業 | 29,185 | 61.6 | |
2 | 古河電気工業 | 8,116 | 17.1 | |
3 | フジクラ | 6,437 | 13.6 | |
4 | 日立金属 ※ | 1,889 | 4.0 | |
5 | 昭和電線HD | 1,616 | 3.4 | |
6 | 東京特殊電線 | 172 | 0.4 |