非鉄金属業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを分析しています。データは2022-2023年。非鉄金属業界の過去の市場規模の推移をはじめ、非鉄金属製造業の出荷額の推移、売上高ランキング、新素材への各社の対応などを解説しています。
業界規模
17.5兆円
成長率
10.9%
利益率
3.2%
平均年収
669万円
非鉄金属業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2021年、2022年と増加傾向にあります。
経済産業省の生産動態調査(2023年6月公表)によると、2022年の非鉄金属の販売金額は、前年比24.4%増の2兆8,421億円でした。
非鉄金属の販売額の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)
非鉄金属の販売額の推移グラフを見ますと、2017年から2020年にかけては横ばいで推移していましたが、2021年は増加に転じ、2022年も大幅な増加となりました。2022年の項目別では、電気銅が前年比20.3%増、電気金が35.0%増、亜鉛が24.3%増、電気銀が3.8%の増加となり、全項目プラスでした。
2023年の非鉄金属業界の動向を見ますと、中国のゼロコロナ政策や半導体および部品不足による自動車の減産、資材やエネルギー価格の高騰、銅価格の下落などがありました。このような市況から一部製品の出荷は前年を下回りましたが、自動車生産が徐々に回復したことや車載用電池向け部材の需要増、超硬工具の拡販、加えて円安効果もあり全体では大幅増収となりました。
近年の非鉄金属業界の状況を見ますと、20年は新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、自動車関連事業および通信や電力関連の工事停滞、海外の銅鉱山開発中断などの影響を受けました。一方、21年は経済回復や世界的なインフレから金属相場が急騰し、非鉄金属の販売価格が上昇しました。
非鉄金属工業の生産指数の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)
続いて、2024年9月までの直近の非鉄金属業界の動向を見ていきます。上のグラフは、経済産業省の鉱工業指数の非鉄金属工業の生産指数の推移を示したものです。最新の2024年9月の非鉄金属工業の生産指数は、前年同月比2.0%減の99.2でした。
2021-2023年の非鉄金属の生産指数は概ね高値圏での横ばいで推移しています。一方、2021年は金属価格の高騰といった強い追い風がありましたが、2022年に入り金属価格は軒並み下落しました。
また、2022年以降はロシアによるウクライナ侵攻にともなうエネルギー価格の高騰、金属価格の不安定化や物価上昇、米国や欧米の金利上昇による為替相場の急変動は2023年夏以降も続いています。円安の恩恵を受けているのの、非鉄金属業界を取り巻く環境は厳しいものとなっています。世界的な景気後退リスクも浮上しており、先行き不透明な状況になっています。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | |
1 | 住友電気工業 | 40,055 | |
2 | ENEOSホールディングス ※ | 16,378 | |
3 | 三菱マテリアル | 16,259 | |
4 | 住友金属鉱山 | 14,229 | |
5 | レゾナック・HD | 13,926 |
※は金属事業の売上高。2022-2023年の非鉄金属業界の売上高ランキングを見ますと、首位が住友電気工業、2位がENEOSホールディングス、3位が三菱マテリアルでした。売上の規模では住友電気工業が一歩リードをしています。
2022-2023年は大手非鉄金属メーカー5社中3社が大幅増収、横ばいと減少が各1社となっています。
世界的に脱炭素に向けた動きが高まる中、非鉄金属業界では脱炭素関連の開発に向けた動きが強まっています。
温暖化対策に伴う自動車の燃費規制強化を受け、電気自動車の普及が期待されています。こうした市況から、非鉄金属業界では車載用の次世代電池や電気関連部品の需要の増加を見込んでいます。
住友金属鉱山の「電池材料事業」の一例
住友金属鉱山は、車載用リチウム電池の正極材として用いる「ニッケル酸リチウム」の分野で、世界トップシェアを確立しています。今後の需要拡大を見据え電池材料を成長事業とし、ニッケル酸リチウムの生産増強を行っています。2022年半ばから月生産4,550tを4,850tへ増産し、さらに2027年には月産1万tに増産する計画を発表しています。
鉱山資源を有する住友金属鉱山は、鉱石から電池材料まで一貫した独自のニッケルサプライチェーンを構築しています。「資源、製錬、材料」の3事業の連携を強みとし、さらなる事業強化を図っています。
また、脱炭素の動きはアルミの需要拡大も期待されています。自動車業界では以前にも増して車体の軽量化が進められています。EV化によってモーターや電池の搭載で車両重量が増加しており、軽量化による燃費向上に向けたアルミ材の採用が進んでいます。
UACJでは、こうした自動車業界の変化を捉え、EV用アルミニウム材の開発を強化しています。アルミの特性を活かし自動車パネル、油圧シリンダー、ボディ、内装部品、リチウム電池に用いるアルミ箔などを手掛けるなど、軽量化ニーズを捉えたEV用アルミニウム事業の拡大を進めています。
非鉄金属業界では、金属価格の高騰により恩恵を受けた2021年でしたが、一方で2022年は金属価格は下落、ただ円安の恩恵を受けました。そのような市況の元、世界的な脱炭素社会に向けた動きは非鉄業界には追い風です。ただ、こうした需要は鉱山権益を持つ一部大手企業のみで、製錬事業を本流としている企業は製錬マージンの低下が課題として残っています。
非鉄金属業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで非鉄金属市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | 住友電気工業 | 40,055 | ||
2 | ENEOSホールディングス ※ | 16,378 | ||
3 | 三菱マテリアル | 16,259 | ||
4 | 住友金属鉱山 | 14,229 | ||
5 | レゾナック・HD | 13,926 | ||
6 | 古河電気工業 | 10,663 | ||
7 | UACJ | 9,628 | ||
8 | フジクラ | 8,064 | ||
9 | DOWAホールディングス | 7,800 | ||
10 | 三井金属鉱業 | 6,519 |
※ENEOSホールディングスは金属事業の売上高です。シェアとは非鉄金属業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで非鉄金属市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ非鉄金属業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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住友電気工業、ENEOSホールディングス、三菱マテリアル、住友金属鉱山、レゾナック・HD、古河電気工業、UACJ、フジクラ、DOWAホールディングス、三井金属鉱業、日本軽金属HD、アサヒHD、神戸製鋼所、大紀アルミニウム工業所、リョービ、古河機械金属、SWCC、日鉄鉱業、東邦亜鉛、アーレスティ、CKサンエツ、ホッカンHD、中外鉱業、東邦チタニウム、タツタ電線、オーナンバ、大阪チタニウムテクノロジーズ、平河ヒューテック、日本伸銅、エルアイイーエイチなどの計39社
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非鉄金属 売上高ランキング(2022-23)
企業名 | 売上高 | ||
1 | 住友電気工業 | 40,055 | |
2 | ENEOSホールディングス | 16,378 | |
3 | 三菱マテリアル | 16,259 | |
4 | 住友金属鉱山 | 14,229 | |
5 | レゾナック・HD | 13,926 |