セメント業界の動向やランキング&シェア

セメント工場

セメント業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを解説しています。データは2021-2022年。セメント業界の過去の業界規模の推移をはじめ、セメントの販売量と販売金額の推移グラフ、コロナの影響と将来を見据えた各社の取り組みなどを解説しています。

セメント業界(2021-2022年)

セメント業界の推移と基本情報

業界規模

0.8兆円

成長率

-9.4

利益率

3.0

平均年収

664万円

  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年

セメント業界の過去の業界規模の推移を見ますと、減少傾向にあり、2021年には大幅に減少しています。

セメント業界の動向と現状(2021-2022年)

2021年の販売量は2年連続の5万トン割れ コロナ禍で需要減

下のグラフは、セメントの販売量と販売金額の推移を示したものです。経済産業省の生産動態統計(2022年6月24日公表)によると、2021年のセメントの販売量は、前年比1.1%減の4,935万t、販売金額は前年比0.8%減の3,480億円でした。

セメントの販売量と販売金額の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)

グラフを見ますと、近年の販売量・販売金額ともに多少の増減は見られるものの、横ばいで推移しています。一方、2020年から2021年は販売量が2年連続で5千万トンを割り込み10年間でもっとも低い水準で推移しています。

2021年のセメント業界は、前年から引き続き新型コロナウイルスによる感染拡大の影響を受けた年でした。都市部の再開発工事では住宅関連の需要は増加がしたものの、設備投資の回復には弱さが見れました。また、人手不足やコストの高騰などにより、工事が遅延するなど、民間はじめ官公の需要は低調でした。加えて、五輪や震災復興関連の需要も一巡したため、直近のセメント需要は減少しています。

一方、2021年の海外事業は、米国において住宅需要が増加、セメントの販売数量、販売価格ともに堅調に推移しました。その一方で、中国では販売数量が前年を下回ることとなりました。

セメント業界 売上トップ5(2021-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 太平洋セメント 4,559
2 住友大阪セメント 1,266
3 UBE三菱セメント 1,132
4 トクヤマ 496
5 琉球セメント 158

※はセメント関連の部門売上高。2021年のセメント業界売上高ランキングを見ますと、首位が太平洋セメント、2位が住友大阪セメント、3位がUBE三菱セメント、トクヤマと続きます。1位の太平洋セメントは、国内のセメント出荷数量でトップシェアを誇り、業界のけん引役となっています。

2021年のセメント大手4社の業績は、太平洋セメントが前年比25.3%減、住友大阪セメントが同32.4%減の1,874億円、UBE三菱セメントが±0%、トクヤマが44.2%減でした。4社中3社が減少、1社が横ばいとなりました。

『海外、非セメント』を強化 国内市場の縮小を見据え

先を見ているビジネスマン

国内のセメント需要は低落傾向が続いています。現在、セメント各社は再開発やリニアおよび北海道新幹線関連の需要を見込む一方で、これからの国内市場の縮小を見据え、『海外事業』の強化や『非セメント分野』などに注力しています。

セメント首位の太平洋セメントは海外展開を積極的に手がけており、米国や中国、東南アジアなどの環太平洋地域で展開しています。海外事業は売上高全体の34.5%を占めており、なかでも米国エリアが業績をけん引しています。

太平洋セメントの「海外の主な事業拠点」

太平洋セメントの「海外の主な事業拠点」

同社は、米国に続く成長市場を東南アジア地域とし、「フィリピン」と「インドネシア」に注目しています。東南アジア市場での事業拡大に加え、環太平洋全域にわたる物流網の強化を行っています。

住友大阪セメントの主力であるセメント事業は国内が中心ですが、成長市場は海外市場ととらえています。2021年8月にはセメントターミナルを「オーストラリア」で稼働させ、これを機に同国での事業拡大を図ります。

さらに、同社では非セメント分野の「高機能品事業」を強化しています。2021年12月には半導体製造装置の主要部品『ESC(静電気チャック)』の生産ラインの増強を発表、2022年度中に生産能力を従来の2倍に引き上げます。

UBE三菱セメントは、「宇部興産」と「三菱マテリアル」が設立した共同会社で、セメントの販売・物流事業を担います。両社は2022年4月にセメント事業を完全統合、新会社となる『UBE三菱セメント』を設立しました。生産機能も統合させることで効率化を図り、『コストの削減』や『海外事業の強化』を目指します。

2021年のセメント業界は、コロナ禍からの本格的な回復が弱いことに加え、大型案件が一巡したことで、需要は低水準で推移しています。現在、セメント各社は成長領域として『海外事業』や『非セメント事業』を強化しています。しばらくは厳しい環境が続くと思いますが、コロナ後の需要の反発と世界経済の成長に期待したいところです。

セメント業界 ランキング&シェア

セメント業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することでセメント市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

セメント業界 売上高&シェアランキング(2021年-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 太平洋セメント 4,559
2 住友大阪セメント 1,266
3 UBE三菱セメント 1,132
4 トクヤマ 496
5 琉球セメント 158
6 麻生セメント 146
7 日鉄高炉セメント 126
8 日鉄セメント 113
9 日立セメント 97
10 敦賀セメント 57

※太平洋セメント、住友大阪セメント、トクヤマはセメント事業の売上高です。シェアとはセメント業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することでセメント市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれセメント業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

関連リンク

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セメント業界 対象企業一覧

太平洋セメント、住友大阪セメント、宇部三菱セメント、トクヤマ、デンカ、麻生セメント、琉球セメント、日鉄セメント、日鉄高炉セメント、日立セメント、敦賀セメントの計10社

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