ビル管理業界の動向や現状、ランキング等を分析

不動産をチェックしている様子

ビル管理業界の動向や現状、ランキングなどを分析しています。データは2022-2023年。ビル管理業界の過去の業界規模の推移をはじめ、ビル管理会社の売上高と純利益の推移グラフ、2021年の動向と各社の海外展開の現状などを解説しています。

ビル管理業界(2022-2023年)

ビル管理業界の推移と基本情報

業界規模

0.4兆円

成長率

3.9

利益率

3.9

平均年収

541万円

  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年
  • 22年

ビル管理業界の過去の業界規模の推移を見ますと、緩やかな増加傾向にあります。

ビル管理業界の動向と現状(2022-2023年)

2022年は売上高+5.3% 設備管理、清掃、警備いずれも伸長

下のグラフはビル管理大手14社の売上高と純利益の推移を示したものです。売上高はビル管理関連の部門売上高となります。

ビル管理業界の売上高と純利益の推移(出所:各社有価証券報告書、グラフは業界動向サーチが作成)

グラフを見ますと、ビル管理業界の売上高は緩やかな増加傾向にあります。一方、純利益は横ばいで推移しています。直近の動向では、売上高は2021年から2022年にかけて上昇しており、2022年は高水準で推移しています。

2022年のビル管理業界は、コロナ対策の緩和に伴いビジネス機会の回復が見られ、新規受注物件の増加が見られました。オフィス移転に伴う受注増や物流施設の管理需要も増えており、設備管理、清掃、警備の各分野で増加が見られました。

一方、コロナ禍での需要が一服し、清掃業務ではアルコール消毒の需要が前年から減少、企業の設備投資計画の先送りなども一部で見られています。2021年後半以降は、電気代や人件費の増加が目立つようになり、利益を圧迫する懸念も浮上しています。

ビル管理業とは、ビルの清掃、電気や空調などの設備の管理や点検、警備のほか、修繕や内装工事など多岐にわたります。管理物件は、オフィスビルや商業施設、物流施設や公共施設など幅広く扱います。ビル管理業界は不動産を取り扱うため、不動産市場や企業の業績動向に左右されやすい傾向があります。

ビル管理業界 売上トップ5(2022-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 イオンディライト 1,826
2 東急不動産HD 819
3 東洋テック 301
4 ビケンテクノ 290
5 ハリマビステム 253

※はビル管理関連の部門売上高。ビル管理業界の売上高ランキングを見ますと、首位がイオンディライト東急不動産東洋テックと続きます。首位のイオンディライトは、ビル・商業施設の管理や保守、警備、清掃など事業は多岐にわたり、中国やASEANにも進出済です。近年はDXの推進の他、商業施設やオフィスビルでの無人管理を開始しています。

東急不動産は、オフィスビルや商業施設の他、スタジアムや空港など幅広い施設管理を行っています。関西発の警備会社として発足した東洋テックは、警備業務やビル管理を軸に幅広いサポートをする総合セキュリティー企業です。

成長著しい海外市場に注力 『アジア』へ進出加速

グローバルの展開と分析

堅調に推移しているビル管理業界ですが、今後、国内のビル管理市場の縮小が懸念されています。こうした動向を受け、ビル管理各社は今後の事業成長に向け『海外事業の強化』や『業務の効率化』に取り組んでいます。

ビル管理大手のイオンディライトは海外シェアを拡大中で、コロナ禍においても増収を記録しました。2022年の海外事業売上高は前年比33.9%増の331億円でした。

イオンディライトの「アジア事業」

イオンディライトの「アジア事業」

イオンディライトは中国、ベトナム、インドネシア、マレーシアに進出しており、海外売上比率は10%を占めます。今後は「アセアン事業の拡大」を掲げ、マレーシア、ベトナム、カンボジア、 インドネシアを強化、なかでもイオングループの出店が加速するベトナムでの需要を取り込む計画です。

東急不動産HDのビル管理件数は2,814件(2023年3月現在)で、教育施設や空港など多様な施設を取り扱っています。2020年9月に開業した「東京ポートシティ竹芝」では、IoTやロボットの活用でスマート化を推進。清掃ロボットや自立警備ロボットを導入し、管理業務やセキュリティーの向上、人的コストの削減に注力しています。

また、同社は2019年にオフィスビルが増加しているベトナムに進出しました。今後、高品質な不動産管理需要が高まるとして、日本品質の管理業務を提供しています。

日本ハウズイングは、552棟(2022年現在)のビル管理を行っています。分譲マンション管理で身に着けたノウハウを最大限に活用し、メンテナンスから大規模修繕工事まで行います。また、2021年には台湾において、ホテルの総合管理を受注しました。

2022年のビル管理業界は、コロナによる影響も緩和を受け、全体的には業績を伸ばした1年でした。一方で、電気代や人件費の上昇、オフィス空室率の増加など一部で懸念材料も残ります。ビル管理各社は、海外事業やロボットの活用など新規事業にも注力しており、コロナ後の成長に向けた準備が進められています。

ビル管理業界 ランキング&シェア

ビル管理業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することでビル管理市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

ビル管理業界 売上高&シェアランキング(2022年-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 イオンディライト 1,826
2 東急不動産HD 819
3 東洋テック 301
4 ビケンテクノ 290
5 ハリマビステム 253
6 大成 223
7 日本ハウズイング 159
8 ダイビル 85
9 共立メンテナンス 77
10 クロップス 59

※イオンディライトは設備管理+警備+清掃事業、東急不動産HDはビル管理事業、ビケンテクノはビルメンテナンス事業の売上高です。シェアとはビル管理業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することでビル管理市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれビル管理業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

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ビル管理業界 対象企業一覧

イオンディライト、東急不動産HD、東洋テック、ビケンテクノ、ハリマビステム、大成、日本ハウズイング、ダイビル、共立メンテナンス、クロップス、アール・エス・シー、ルーデン・HD、ETSホールディングスの計13社

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