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目次
グラフは空調業界の業界規模(対象企業の13計)の推移をグラフで表したものです。
空調業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2020年-2021年の空調業界の業界規模(主要対象企業13社の売上高の合計)は3兆2,111億円となっています。
空調業界の過去6年間の業界規模の推移
2020年-2021年の空調業界の動向と現状を見ていきましょう。空調業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2015年から2019年までは緩やかな増加傾向でしたが、2020年には若干の減少に転じています。
下のグラフは空調業界首位のダイキン工業の売上高と利益率の推移を示したものです。棒グラフは売上高、折れ線グラフは売上高利益率の推移となっています。
ダイキンの売上高と利益率の推移(出所:有価証券報告書、グラフは業界動向サーチが作成)
ダイキン工業の「空調・冷凍機事業」の売上高の推移を見ますと、2016年から2019年にかけて緩やかな増加傾向にありましたが、2020年には若干の減少に転じています。利益率は2017年から減少傾向にあります。
2020年の空調業界の動向としては、コロナ禍における巣ごもり需要や特別定額給付金の支給、猛暑の影響などで家庭用のエアコン・空調は前年を上回る結果となりましたが、コロナによる世界的な経済活動の停滞などを背景に設備投資が減退。業務用や産業用、ビル空調分野が低迷し、全体としては前年比マイナスとなりました。
家庭用好調、業務用苦戦という動きは海外でも同様の傾向が見られ、世界的な動向となっています。2020年後半から2021年にかけては、業務用空調も回復の兆しを見せていますが、新型コロナウイルスの収束時期はいまだ不明で、先行きの見えない状況は続きます。
2020年の国内の空調業界売上高ランキングによると、首位のダイキン工業の売上高が非常に大きいことが分かります。ダイキン工業はエアコン・空調専業の会社で、家庭用エアコンから業務用空調まで幅広く扱います。エアコン・家庭向け空調では世界首位級のシェアを誇り、業務用では国内で圧倒的なシェアを占めます。
ランキング全体としては、2020年は2019年に比べて横ばい、または下落した企業が多く、コロナの影響を受けた厳しい一年となりました。
2020年は新型コロナの感染拡大により苦戦した空調業界ですが、感染対策の一環として空調に「換気」や「給気」の機能を求める声が高まっています。こうしたニーズはコロナ禍で生まれた新しいトレンドであり、各社販売を強化しています。
空調首位のダイキン工業は、独自の換気機能やストリーマ技術の訴求を強化しています。
ダイキンは家庭用、業務用空調ともに「換気」を訴求
ダイキンは給気換気・無給水加湿機能を追加した『うるさらX』をさまざまなシリーズに搭載するなど、換気機能を前面に押し出した販売を手掛けています。
一方、空調工事の国内最大手の高砂熱学工業は、中国やタイ、ベトナムなどアジア展開を強化しています。コロナで世界的な動きが制限されている中、2021年4月には国際グループ事業統括部を新設するなど、ポストコロナを見据えた展開を強化しています。
2020年の空調業界は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、前年比マイナスを記録しました。低迷していた業務用は回復傾向にありますが、銅価格の上昇など原料費の高騰も懸念されています。
一方、新型コロナウイルスが流行するにつれて、「換気」や「給気」への関心が高まるなど新たなトレンドも発生しています。産業空調やビル空調に関しては、5Gの普及、データセンター、医薬品メーカー需要、大型再開発など中長期的には底堅く推移することが予想されています。現状としては厳しい状況ではありますが、新たな潮流を捉え、変化に対応しながら今後の原動力に変えてゆきたいところです。
順位 | 企業名 | 売上高 | シェア | 単位:億円 |
1 | ダイキン工業 ※ | 22,738 | 70.8 | |
2 | 高砂熱学工業 | 2,751 | 8.6 | |
3 | 富士通ゼネラル ※ | 2,331 | 7.3 | |
4 | 大気社 ※ | 1,340 | 4.2 | |
5 | 朝日工業社 ※ | 626 | 1.9 | |
6 | テクノ菱和 | 548 | 1.7 | |
7 | 日本空調サービス | 491 | 1.5 | |
8 | 新晃工業 | 391 | 1.2 | |
9 | 日本電技 ※ | 288 | 0.9 | |
10 | 富士古河E&C ※ | 213 | 0.7 |