CAMERA
目次
グラフはカメラ業界の業界規模(対象企業の4計)の推移をグラフで表したものです。
カメラ業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2020年-2021年のカメラ業界の業界規模(主要対象企業4社の売上高の合計)は1兆4,853億円となっています。
カメラ業界の過去7年間の業界規模の推移
カメラ業界の過去の業界規模の推移をみますと、2013年から2020年まで減少傾向にあります。
カメラ映像機器工業会によると、2020年のデジタルカメラの総出荷台数は、前年比41.6%減の1,521万台となりました。
(出所:カメラ映像機器工業会「デジタルカメラ統計」よりグラフは業界動向サーチが作成)
2020年はコロナウイルス感染拡大も伴い、減少に歯止めがかかりません。近年のデジタルカメラ市場は2010年ごろをピークに下落傾向が続きます。出荷台数も2010年に1億2,000万台を突破したのをピークに、2019年には8分の1ほどまで減少しています。
カメラ市場が減少している理由はスマートフォンの台頭です。近年、手軽で高画質なスマホカメラが広く普及し、デジタルカメラのニーズが著しく減少しています。
特に、初心者向けのコンパクトカメラの影響が大きく、スマホにシェアを奪われているのが現状です。写真撮影の定番がカメラからスマホへ完全に移行してしまった、いわゆるパラダイム転換が起きたことがカメラ市場縮小の大きな要因と言えます。
さらに、2020年は新型コロナウイルスによる影響を大きく受けており、なかでも同年5月の出荷台数は前年同月日比-72.6%と、大幅に落ち込んででいます。その後、徐々に出荷台数は増えているものの、前年同月(2020年11月末時点)は、いずれも下回っています。
2021年3月期の主要カメラメーカー4社の業績は、そろって減収でした。キャノンが前期比11.9%、ソニーグループが11.8%、富士フイルムが14.3%、ニコンが33.5%の減少を記録、4社中4社が2ケタの縮小率を記録しています。
近年、市場を縮小しているカメラ業界ですが、ミラーレスカメラの需要は伸びています。一般的にデジタルカメラは、コンパクトカメラとレンズ交換式カメラに大きく分けられ、レンズ交換式はさらに、一眼レフとミラーレスカメラに分けられます。
ミラーレスカメラは一眼レフカメラにある鏡(ミラー)をなくし、レンズがとらえた景色を映像に変化し、ファインダーやモニタに映すカメラです。一眼レフカメラに比べよりコンパクトで軽い点が特徴です。
最近ではインスタ映えを狙いスマホとの差別化を図ろうと、小型軽量で扱いやすいミラーレスカメラが女性からの支持を集め、業界の牽引役として注目されています。アジアでSNSを利用する若年層からのニーズも増えています。
近年では、アジアでのミラーレスカメラの販売台数も増えています。インスタ映え効果でより本格的な写真を摂ろうとデジタルカメラの購入が増えているため、各メーカーはアジアでの販売に力を入れ始めています。
こうしたミラーレスカメラの動向を受け、メーカー各社は生産ラインの強化や新製品の発売などミラーレス分野に注力をしています。特にミラーレス分野で先行しているソニーをキヤノンやニコンといった各社が追いかける形となっています。
そして、各社はスマートフォンとの差別化をさらに強固にしており、4Kや8K動画撮影対応の機種やプロ向けを市場に投入、今後は高級機クラスの競争が激化すると予想されています。
ただし、直近の状況としては、ミラーレスの増加分ではコンパクトカメラと一眼レフの減少を食いとどめることができていません。市場は大きな下落トレンドを描いており、各社厳しい状況が続いています。
順位 | 企業名 | 売上高 | シェア | 単位:億円 |
1 | キヤノン ※ | 7,113 | 47.9 | |
2 | ソニーグループ ※ | 3,386 | 22.8 | |
3 | 富士フイルムHD ※ | 2,852 | 19.2 | |
4 | ニコン ※ | 1,502 | 10.1 |