FA業界の動向や現状、ランキングなどを分析しています。FA業界の過去の業界規模の推移をはじめ、FA大手企業の売上高推移のグラフや、世界のFA市場の予測などを説明しています。
業界規模
5.3兆円
成長率
5.3%
利益率
7.4%
平均年収
718万円
FA業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2019年から2020年は減少傾向でしたが、2021年は増加に転じています。
下のグラフは、FA大手4社の売上高の推移を示しています。2021年は4社ともに大幅な増加に転じ、各社がそろって売上高7千億円を突破しました。
FA業界大手4社の売上高の推移(グラフは業界動向サーチが作成)
グラフを見ますと、全体では2020年まで横ばいで推移し、2021年に増加に転じています。2018年ごろから各社の売上高の差は縮まり始め、2021年までの5年間は順位が激しく入れ替わっています。2021年に入り4社の売上高はさらに僅差となっています。
2021年のFA業界の動向を見ますと、国内市場においては設備投資や生産に持ち直しの動きが見られ、海外市場においても製造業の設備投資が回復しました。なかでも、半導体や電子部品などのデジタル関連、脱炭素関連であるリチウムイオンバッテリーなどの設備投資を中心とした需要が拡大しました。
FA(ファクトリーオートメーション)とは、工場などの生産ラインの自動化を図るシステムです。FAに必要な機器の種類は多く、PLC(制御装置)やサーボ、CNC装置や画像センサー、空気初制御装置などがあり、用途や規模に応じて導入機器が異なります。
FAは人手不足解消のほか、省力化や省人化、生産性向上などを目的に活用されています。主に自動車や加工業、食品、物流倉庫などで利用されているため、製造業の市況に左右される特徴があります。
※はFA関連の部門売上高。2021年のFA業界の売上高ランキングを見ますと、1位から4位までの三菱電機、キーエンス、ファナック、SMCの4社はそろって7千億円台となり、僅差で順位争いをしています。
2021年のFA業界主要企業の業績は、売上高では三菱電機が前年比28.6%増、キーエンスが同40.3%増、ファナックが33.0%増、SMCが31.7%増でした。主要企業35社中32社が前年を上回り、堅調に推移した年でした。
FAの需要は日本国内のみならず、世界的に高まっています。グローバルインフォメーションによると、FAの市場規模は2028年までに2,492億9,000万ドルに拡大すると予測しています。2022年から2028年までの年間成長率は8.2%と推測しており、今後も高い成長率を見込んでいます。
世界のFA市場をけん引しているのは、中東、アフリカ、中南米地域で、自動車業界や製造業などの成長が理由に挙げられています。加えて、同地域では政府が製造業のデジタル化を支援していることもFA市場の普及につながっています。
2021年の北米地域の動向を見ますと、米国やメキシコ、カナダのなかでは、米国がもっとも高いシェアを占めました。今後も米国ではペプシコやネスレなどの大企業が、自動化生産施設を稼働させていく予定です。
また、「メイク・イン・インディア」政策を掲げるインドにおいても、FA市場は年間約8%の成長を見せています。自動車や食品、医療、データセンターなどの業種を中心に需要が拡大しています。
近年は多くの業界でFA機器の導入が普及し、工場の自動化が進んでいます。
近年では、人手不足の解消や生産性の向上を目的にFAの活用が広がっており、業界には多くの期待が寄せられています。自動車やEV電池、食品や医薬品、半導体、物流倉庫といったジャンルで自動化需要の拡大が見込まれており、各社は「FA機器を成長分野」と位置づけて事業の強化を図っています。
大手電機メーカーである三菱電機は、重点成長事業に『FAシステム事業』を挙げており、2025年度までに売上高8,000億円以上、営業利益17%以上を目指します。なかでも、FA抑制システムの「シーケンサ、サーボ、CNC」に集中投資し規模を拡大、収益性の向上を図ります。国内では愛知県に新たな生産拠点を設立し、2025年4月に稼働を予定しています。
三菱電機のインドにおけるFA制御システムの新工場
また、同社はすでにFA事業でインドに進出済みですが、今後もインド市場での需要拡大を見込んでいます。新たにFA抑制システム工場を設立中で、2023年12月に稼働を予定しています。
オムロンは、ロボットと制御機器をまとめてコントロールする「ロボット統合コントローラー」を開発し、生産性を飛躍的に高めています。また、FAを担う制御機器事業をコア事業とし、アプリケーションやロボット開発、エンジニア能力の強化など、積極的な投資で2024年度には売上高5,150億円を目指します。
FAの総合メーカーであるキーエンスは、FA用センサを軸に測定器や画像処理機器の企画から生産を行っています。製造現場での作業効率向上を目的に、FAの中核となるセンサやデバイスの「小型化、高耐久、高性能」にこだわった商品開発を行っています。
CNC装置で世界トップクラスのファナックは、FAの総合的なサプライヤとして、50年代にNC装置(数値抑制装置)を開発以降、一貫して工場の自動化を追及しています。製造業の自動化には工作機械とロボットの親和性が重要とし、FA事業の技術をベースに様々な作業を担うロボットや産業機械や工作機械を開発、製造業の自動化を支えています。
2020年は新型コロナによる感染拡大の影響で、FA業界は一時的な落ち込みを見せました。一方で、2021年以降の製造業では人手不足と生産性の向上による省人化が進み、FA業界への需要は急速に伸びています。2023年現在、日本メーカーの国内回帰も一部で見られており、中長期的にもFA需要は底堅いことが予想されます。
FA業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することでFA市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | 三菱電機 ※ | 7,559 | ||
2 | キーエンス | 7,551 | ||
3 | ファナック | 7,330 | ||
4 | SMC | 7,273 | ||
5 | ダイフク | 5,122 | ||
6 | 安川電機 | 4,790 | ||
7 | オムロン ※ | 4,326 | ||
8 | ミスミグループ本社 ※ | 1,192 | ||
9 | 立花エレテック ※ | 1,013 | ||
10 | IDEC | 707 |
※三菱電機はFAシステム事業、オムロンはIAB(制御機器)事業、ミスミグループ本社はFA事業、立花エレテックはFAシステム事業の売上高です。シェアとはFA業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することでFA市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれFA業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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