調剤薬局業界の動向や現状、ランキング、シェアなどを研究しています。調剤薬局業界の過去の市場規模の推移をはじめ、調剤医療費と処方箋数の推移、直近の調剤薬局業界の動向とM&Aの状況などを解説しています。
業界規模
0.9兆円
成長率
4.6%
利益率
1.6%
平均年収
597万円
調剤薬局業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2019年まで増加傾向でしたが2020年は横ばい、2021年に入り再び増加に転じています。
厚生労働省(2021年8月31日公表)によると、2020年度の調剤医療費(電算処理分に限る)は、前年度比2.7%減の7兆5,392億円となりました。処方箋枚数は7億6,484万枚、前年度から7,800万枚の減少です。
調剤医療費と処方箋数の推移(出所:厚生労働省、グラフは業界動向サーチが作成)
内訳を見ると、技術料が同5.0%減の1兆8,779億円、薬剤料が1.8%減の5兆6,058億円、特定保険医療材料料が7.1%増の150億円でした。また、薬剤料のうち後発医薬品は3.4%増の1兆1,337億円でした。
2021-2022年の調剤薬局業界の動向を見ますと、新型コロナの影響は依然としてあるものの、大手チェーンでは前年の処方箋枚数の減少から一転し、回復がみられました。また、報酬改定によるマイナスの影響は受けつつも、前年から新規出店していた店舗の売上げが寄与しています。
今や調剤薬局はコンビニエンスストアを上回る店舗数となり、60,171軒(2019年度末時点)も展開されています。病院やクリニックの向かいに展開する門前薬局やドラッグストア併設型、パパママ薬局と呼ばれる家族経営を中心とした小規模薬局が存在します。
こうした調剤薬局業界は現在、きびしい環境に置かれています。高齢化による医療費の拡大を抑制するため診療報酬や薬価の改定が行われたことで、処方率の高い門前薬局の調剤基本料や薬価の引き下が影響し、多くの企業が苦戦する状況にあります。
このような市況の下、調剤薬局では在宅医療への支援などの業務も任されています。「かかりつけ薬剤師・薬局」としての業務を強化し、地域に密着したサービスで健康サポートに備えるほか、医療費削減にも取り組み各社でジェネリック医薬品の使用促進を図っています。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | |
1 | アインHD ※ | 2,831 | |
2 | 日本調剤 ※ | 2,656 | |
3 | クオールHD ※ | 1,423 | |
4 | メディカルシステムネット… | 1,066 | |
5 | 総合メディカル | 1,036 |
※は調剤薬局関連の部門売上高。首位がアインHD、2位が日本調剤、クオールHDと続きます。1位のアインHDと2位の日本調剤の売上高の差はわずかとなり拮抗している状態です。
2021-2022年の調剤薬局業界の業績を見ますと、5社中2社が増加、3社が横ばいで推移しました。全体では前年から伸長、コロナ前の2019年から売上高の規模は拡大しています。
少子高齢化が進む国内では、2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる超高齢化社会を迎えます。医療費が財政を圧迫することから、調剤報酬や薬価の引き下さげは今後も行われることが予想されています。
このような状況のもと、調剤薬局業界ではM&Aが加速しています。店舗拡大や処方箋枚数の獲得を図る大手は、後継者不足に陥っている個人経営薬局や小規模薬局の買収を相次いで行っています。
調剤業界最大手のアインHDはM&Aを積極的に行っており、さらなるシェア拡大を図っています。直近では2022年5月に調剤薬局のファーマシィHDを子会社化、これにより調剤薬局の店舗数は1,200店舗超えとなりました。そのほかの事業では、女性向けドラッグストア「アインズ&トルペ」を都市部で展開、医師や薬剤師等の医療人材の派遣、さらにセブンアンドアイと資本・業務提携も行っています。
業界2位の日本調剤は、門前薬局を中心に展開し、2019年には首都圏で展開する中小の薬局3社を買収、2022年8月に子会社の仁生堂を吸収合併しました。医療費抑制を背景に市場拡大を期待し2005年にジェネリック医薬品製造会社を設立。ICT化に積極的に推進し、次世代の薬局化を目指し最新型調剤機器を導入、電子版お薬手帳『お薬手帳プラス』の会員数は110万人(2022年6月時点)を突破。薬剤師の派遣及び紹介、医師の紹介事業も強化しています。
クオールは、門前薬局中心から集客性のある立地へとシフト。異業種のローソンやビックカメラ、JR西日本と提携し街中や駅ナカなどでの展開を進めています。2019年には製薬会社の前永製薬を買収、医薬品の製造事業に参入しています。
調剤薬局業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで調剤薬局市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | アインHD ※1 | 2,831 | ||
2 | 日本調剤 ※1 | 2,656 | ||
3 | クオールHD ※1 | 1,423 | ||
4 | メディカルシステムネット… | 1,066 | ||
5 | 総合メディカル | 1,036 | ||
6 | ファーマライズHD ※2 | 516 |
※1アインHDはファーマシー事業、日本調剤は調剤薬局事業、クオールHDは保険薬局事業の売上高です。※2総合メディカルは2020年の売上高です。シェアとは調剤薬局業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで調剤薬局市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ調剤薬局業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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調剤薬局 売上高ランキング(2021-22)
企業名 | 売上高 | ||
1 | アインHD | 2,831 | |
2 | 日本調剤 | 2,656 | |
3 | クオールHD | 1,423 | |
4 | メディカルシステムネット… | 1,066 | |
5 | 総合メディカル | 1,036 |