MEDICINE
グラフは製薬業界の業界規模の推移をグラフで表したものです。
製薬業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2017-18年の製薬業界の業界規模(主要対象企業76社の売上高の合計)は10兆8,518億円となっています。
製薬業界の過去11年間の業界規模の推移
国内の製薬業界は再編、統合、買収を繰り返してきました。
2005年4月に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併し、アステラス製薬が誕生。同05年10月に大日本製薬と住友製薬が合併し大日本住友製薬が誕生しました。
また、2007年4月には三共と第一製薬が経営統合し、第一三共が誕生。さらに第一三共は08年、インドの後発薬大手ランバクシー・ラボラトリーズを子会社化。
2007年には第一三共ヘルスケアがゼファーマを吸収合併。さらに、同年10月には、田辺製薬と三菱ウェルファーマが合併し、田辺三菱製薬が誕生しました。さらに業界5位のエーザイは08年にMGIファーマ(米)を買収。09年には大日本住友製薬がセプラコール(米)を買収しました。
2008年には、武田薬品工業が米国バイオ医薬品会社ミレニアム・ファーマシューティカルズを買収。11年にはスイスの医薬品会社ナイコメッドを買収。さらに12年、米URLファーマ及びその子会社19社を買収しました。
2015年、武田薬品製薬は京都大学iPS細胞研究所と共同研究契約を締結。同年春、第一三共はランバクシーをインドの会社に売却。16年には、エーザイが消化器疾患医薬品事業を味の素製薬と統合させました。
2018年には武田薬品工業がアイルランドの製薬大手シャイアーを買収することで合意。買収額は約6.8兆円にのぼり、実現すれば売上高3.3兆円の世界7位の製薬会社になる見込みです。
相次いで再編、統合、買収を繰り返してきた製薬業界ですが、こうした背景には二つ理由が考えられます。一つは、海外メガファーマの存在です。
ノバルティス(スイス)、ファイザー(米)、サノフィ(仏)、ギリアド・サイエンシズ(米)、ジョンソン&ジョンソン(米)、メルク(米)、ロシェ(スイス)、アストラゼネカ(米)など、世界には売上高3兆円を超える巨大製薬会社が10社もあります。
国内首位の武田薬品工業でも、売上高は1兆8,000億円程度で、世界では18位くらいです。いかに、世界の製薬会社が大きいかが分かります。
製薬会社は、新薬の研究・開発など莫大な費用がかかります。こうした点から、資金力が大きな企業ほど開発がしやすく、規模の優位性が働きます。日本の企業が再編を繰り返す背景にはこうした海外のメガファーマの存在が考えられます。
二つ目が国内の社会保障費抑制の動きです。
近年の日本は、少子高齢化の影響で社会保障費が年々膨れ上がっています。国の一般会計歳出に占める割合は3割を超え、国の財政を圧迫させています。こうした動きの中、政府は社会保障費の抑制に全力で取り組んでおり、その流れの一つとして薬価の引き下げが挙げられます。
日本政府は2020年度中に後発薬(ジェネリック医薬品)のシェアを80%以上にする目標を掲げました。現在の後発薬の割合は56%ほど(2015年9月現在)で、後発薬のさらなる普及が見込まれます。後発薬の割合が増えると特許切れ新薬の販売が減ることになり、特許切れ新薬を多く抱えている製薬メーカーは苦戦を強いられます。
さらに、2016年には年間の販売額が極めて大きい医薬品の価格を下げる「特例拡大再算定」が導入され、こちらも製薬業界にとっては逆風となっています。
今後、高齢化が進む日本において社会保障費抑制はさらに進むとみられ、薬価のさらなる引き下げも避けられない事態となるでしょう。製薬業界にとって厳しい状況が続いています。
企業名 | 売上高 | シェア | ||
1 | 武田薬品工業 | 17,705 | 16.3 | |
2 | アステラス製薬 | 13,003 | 12.0 | |
3 | 第一三共 | 9,601 | 8.8 | |
4 | 大塚HD ※1 | 7,747 | 7.1 | |
5 | エーザイ | 6,000 | 5.5 | |
6 | 中外製薬 | 5,341 | 4.9 | |
7 | 大日本住友製薬 | 4,668 | 4.3 | |
8 | 興和 | 4,343 | 4.0 | |
9 | 田辺三菱製薬 | 4,338 | 4.0 | |
10 | 協和発酵キリン | 3,507 | 3.2 |