化粧品業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを研究しています。データは2021-2022年。化粧品業界の過去の市場規模の推移をはじめ、化粧品出荷額の推移グラフ、2021年のコロナの影響や各社の新しい取り組みなどを解説しています。
業界規模
2.1兆円
成長率
-4.6%
利益率
3.6%
平均年収
607万円
化粧品業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2019年まで上昇傾向にありましたが、2020年には大幅減。2021年も低水準で推移しています。
経済産業省生産動態統計によると、2021年の化粧品出荷額は前年比8.2%減の1兆3,529億円となりました。2年連続の減少です。
化粧品市場は2012年から19年までは、右肩上がりで推移してきました。19年には4年連続で過去最高額を更新し、初の1兆7千億円台を突破したのも束の間、2020年から2021年は2年連続で下落しています。2019年から2021年にかけて、4,082億円が減少しました。
化粧品出荷額の推移(出所:生産動態統計年報、グラフは業界動向サーチが作成)
品目別出荷額の構成比を見ますと、化粧水や乳液等の「スキンケア用品」が50.9%と、全体の半数を占めています。シャンプーやリンス等の「頭髪用化粧品」は26.9%、ファンデーションなどの「仕上げ用化粧品」は16.1%、残りは日焼け止めや香水などになります。
2021年の化粧品業界は、前年から引き続き新型コロナウイルスの影響を受けた年でした。国内では感染の再拡大によってマスク着用が定着したこと、テレワークの普及や百貨店の臨時休業などが影響し、メイク用品を中心とした化粧品の消費が減少しています。
海外市場では、経済活動の再開が本格化した欧州や米州で、化粧品需要の回復が見られたほか、空港などの免税店の業績も好調でした。一方、中国市場はロックダウンの影響により厳しい状況が続きました。
化粧品は販売チャネル数が多く、なかでも百貨店が化粧品業界の売上を牽引しています。ですが、2020年から2021年は中国人を中心とした訪日外国人が大幅に減少したため、百貨店の化粧品売上も大幅な下落となりました。
国内の化粧品メーカー売上高のランキングでは、1位は資生堂、2位が花王、3位がコーセーとなります。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | |
1 | 資生堂 | 10,351 | |
2 | 花王 ※ | 2,393 | |
3 | コーセー | 2,249 | |
4 | ポーラ・オルビスHD | 1,786 | |
5 | DHC | 901 |
※は化粧品関連の部門売上高。ランキングでは資生堂が首位を独走、コーセーと花王は順位が入れ替わり2位争いをしています。2021年は新型コロナによる影響で、企業により明暗が分かれています。売上高を大きく減少させるメーカーも多く、今後もランキングに変化が見られる可能性もあります。
2021年の大手化粧品メーカー3社の業績を見ますと、資生堂は前年比12.4%増の1兆351億円、花王(化粧品事業)は2.4%増の2,393億円、コーセーは同19.5%減の2,249億円でした。3社ともにコロナ前である2019年の水準から8~30%縮小しています。
ここ数年、国内の化粧品市場は、旺盛な訪日外国人の需要を取り込めたことで、拡大傾向にありました。
なかでも、中国人観光客の消費は突出しており、国内の化粧品市場を下支えする存在でした。観光庁によると、2019年の化粧品購入単価は5万2千円と、他国に比べ断トツの消費力を見せていました。ところが、2020年に入り新型コロナウイルスの感染拡大により、状況は一変しています。
大手化粧品メーカー4社の第2四半期の売上高の比較(各社公表資料、グラフは業界動向サーチが作成)
上のグラフは、大手化粧品メーカー4社の2022年決算の中間業績の様子です。最新の動向を把握するために、中間決算を比較してみました。コロナ前の水準と比較すると、資生堂は19年比12.6%減、コーセーは同23.5%減、花王は17.1%減、ポーラ・オルビスHDが28.6%減と、4社ともに2ケタ越えの大幅な減少を記録しています。
世界的な感染拡大により渡航制限が行われたことで訪日客は急減し、期待のインバウンド需要は激減しました。加えて、商業施設の休業やテレワークの普及が影響し、各社は大打撃を受けています。
緊急事態宣言やまん延防止により、時短営業や消費者の外出自粛が響き、各店舗の来店客数は減少しました。また、マスクの定着化が進んだことで、メイクアップ商材を中心に販売数が伸び悩み、苦戦を強いられています。
一方、2022年の春以降は口紅などのメイク用品の需要が伸びつつあります。なかでも、ドラッグストアを中心とした低価格帯の高機能商品が好調です。
国内の化粧品市場の回復は、各社の想定以上に遅れています。一方、2022年10月には、訪日外国人の受け入れが開始、インバウンド消費に期待が高まっています。ただ、依然として新型コロナの収束は世界的にメドが立っておらず、楽観視はできない状況です。
2022-2023年の化粧品業界の主なニュースを厳選してまとめました。直近の化粧品業界の動向を把握するのにご参考下さい。
新型コロナによる影響で各化粧品メーカーは、対面やリアル店舗での販売という強みが活かせなくなったため、デジタルシフトを加速させています。
資生堂は、デジタルマーケティングとECの拡大に注力し、2023年までにECの売上比率を13%から25%(19年比)に拡大することを掲げています。2020年7月には、三越伊勢丹HDのECサイト「meeco」で、初の国内ライブコマースをスタートさせました。
資生堂は「Webカウンセリング」を全国のデパートカウンターへ拡大
2020年資生堂は、店頭での専門家によるカウンセリングをオンライン上で体験することができる「webカウンセリング」を開始。2021年3月には、部分的に行われていたカウンセリングを全国のデパートカウンターへ拡大しています。同月には全国の資生堂取り扱い店と連携した、ECプラットフォーム「omise+」も立ち上げています。
コーセーでは、プラットフォームの確立とEC事業を加速させています。2020年3月には、オンラインサイト「Maison KOSÉ」でメイク画像や商品紹介を配信し、ECとの連携を高めています。また、2019年に銀座にオープンした体験型ストアでは、デジタル技術を活用した「デジタルカウンセリング」を提供するなど、オフラインとオンライン双方での顧客体験を追及しています
花王では、新型コロナによる影響で、消費者がオンライン購買へシフトすることを見込み、EC事業を強化しています。その結果、2020年の国内のEC売上比率は前年比20%越えと、大幅増を記録しました。
ポーラ・オルビスHDも同様にEC事業の強化を図っています。2023年にはEC売上比率を”国内では2%を5~10%”に、海外では”9%を10~25%”に高めることを計画しています(19年比)。
化粧品メーカー各社は、デジタル面の強化のみならず、時勢を捉えた「商品開発」にも注力しています。マスク着用の状態化が続く中、マスクにメイクがつきにくい商品や、マスクによる肌荒れを防ぐスキンケア商品など、コロナ禍に適応した新製品の開発を迅速に行っています。
化粧品業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで化粧品市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | 資生堂 | 10,351 | ||
2 | 花王 ※ | 2,393 | ||
3 | コーセー | 2,249 | ||
4 | ポーラ・オルビスHD | 1,786 | ||
5 | DHC | 901 | ||
6 | ファンケル ※ | 588 | ||
7 | マンダム | 573 | ||
8 | ノエビアHD | 512 | ||
9 | 日本コルマー | 493 | ||
10 | 日本メナード化粧品 | 426 |
※花王は化粧品事業、ファンケルは化粧品関連事業の売上高です。シェアとは化粧品業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで化粧品市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ化粧品業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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資生堂、コーセー、花王、ポーラ・オルビスHD、DHC、ファンケル、マンダム、ノエビアHD、日本コルマー、日本メナード化粧品、新日本製薬、ナリス化粧品、ハーバー研究所、ハウス オブ ローゼ、日本色材工業研究所、アジュバンコスメジャパン、総医研HD、アイビー化粧品、フォーシーズHDの計19社
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