CONTACT LENS
目次
グラフはコンタクトレンズ業界の業界規模(対象企業の6計)の推移をグラフで表したものです。
コンタクトレンズ業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2020年-2021年のコンタクトレンズ業界の業界規模(主要対象企業6社の売上高の合計)は1,311億円となっています。
コンタクトレンズ業界の過去5年間の業界規模の推移
過去のコンタクトレンズ業界の業界規模の推移を見ますと、2016年から2019年まで増加傾向にありましたが、2020年には若干の減少に転じています。
下のグラフは大手コンタクトレンズ会社の売上高の推移を示したものです。
コンタクトレンズ大手4社の売上高の推移(各社公表資料より、グラフは業界動向サーチが作成)
グラフによると、2014年から2019年にかけては緩やかな上昇、2020年にはメニコンを除き、若干の減少に転じています。コンタクトレンズ各社の2020年の売上高は、メニコンは前年比1.9%増の845億円、シードは同9.1%減の280億円、ビジョナリーHDは2.8%減の105億円、シンシアは4.7%減少の41億円でした。
2020年は新型コロナウイルスの影響でコンタクトレンズ各社の売上が減少しました。販売店舗へ来店を控える動きやショッピングモール等の営業自粛によるものと見られます。海外においても、海外代理店に対する出荷が大幅に遅れるなど、悪い影響が出ています。さらに、外出機会が減ったことから、若年層を中心としたカラーレンズやサークルレンズの売上も減少しています。
コンタクトレンズは視力を矯正するための医療機器に分類されます。視力の問題には近視、遠視、老眼とありますが、近年は、日本や中国、東南アジアにおいて近視人口が著しく増加しています。特に、スマホやゲームの普及に伴い、若年層の近視が進んでいます。
2020年はコロナの影響により減少に転じましたが、近年のコンタクトレンズ業界は拡大傾向にあります。国内、海外ともに販売が伸長しており、とくに1日使い捨てコンタクトレンズの「1DAY」が伸びています。遠近両用コンタクトレンズについては、ピント調整機能である「マルチフォーカル」の性能が向上しています。また、若年層には「カラーコンタクト」や「サークルレンズ」が人気を集めており、美容の一部としてコンタクトレンズを考える人も増えています。
コンタクトレンズ業界の最新の潮流や動向を、各社の取り組みと合わせてご紹介します。
業界大手のメニコンは、近年伸びている「1DAY」コンタクトレンズの販売拡大を継続します。「1DAY」コンタクトレンズは年平均成長率が18%にのぼり、メルスプランの「1DAY会員」も増加傾向にあります。
さらにメニコンは、Mojo Vision Incと「スマートコンタクトレンズ」の共同開発契約を締結しました。「スマートコンタクトレンズ」とは、拡張現実(AR)を利用し、映像や文字を提供する次世代コンタクトレンズです。
拡張現実(AR)を利用したスマートコンタクトレンズ「Mojo Lens」
砂粒程度のディスプレイをコンタクトレンズに埋め込むことで、拡張現実を実現することが可能となります。
シードは日本初の「EDOF(拡張焦点深度型)」コンタクトレンズを発売開始。EDOFコンタクトレンズは、遠近両用タイプのコンタクトレンズで、従来生じていたピントのずれを修正し、見える範囲を広げることに成功しました。
さらにメニコンやシードは、世界的に注目されている「オルソケラジーレンズ」を強化しています。「オルソケラジーレンズ」とは、寝る前に装用することで、寝ている間に近視を矯正する角膜矯正用コンタクトレンズです。いずれも海外で事業を開始し、近年では中国で高い成長が続いています。
美容・服飾雑貨を展開する粧美堂は「コスメコンタクトレンズ」を強化。派手過ぎず瞳に馴染むナチュラルなカラーが人気で、日本に加え、2019年から中国のEC事業を強化しています。カラーコンタクトレンズ市場は近年、若年層を中心に人気がある注目の分野です。
今後、コンタクトレンズ業界は、アジアでの底堅い需要を背景に拡大を続けるでしょう。さらに、角膜矯正や拡張現実(AR)、カラーコンタクトなど新しい市場の可能性も感じられます。今後の動向に注目が集まります。
順位 | 企業名 | 売上高 | シェア | 単位:億円 |
1 | メニコン ※ | 845 | 64.5 | |
2 | シード ※ | 280 | 21.4 | |
3 | ビジョナリーHD ※ | 105 | 8.0 | |
4 | シンシア | 41 | 3.1 | |
5 | 粧美堂 ※ | 27 | 2.1 | |
6 | フリュー ※ | 13 | 1.0 |