紳士服業界の課題と問題点とは?

紳士服のイメージ

紳士服業界が抱えている課題についてお話します。2021年現在、紳士服業界ではどのような課題や問題点を抱えているのか、重要なポイントを3つをご紹介します。

紳士服業界の課題と問題点【2021年】

2021年現在、紳士服業界が抱えている課題は以下のとおりです。

紳士服業界の課題1. オフィスウェアのカジュアル化に伴う「スーツ離れ」

ミーティングのイメージ

紳士服業界が抱えている課題の1つが、オフィスウェアのカジュアル化に伴う「スーツ離れ」です。近年、ライフスタイルの多様化や働き方の変化に伴い、オフィスウェアのカジュアル化が進んでいます。

時代の変化とともに、自由な社風の企業が増えています。なかでも、オフィスウェアのカジュアル化はIT企業から始まりましたが、最近では大手企業でもカジュアル化を推奨するなど、仕事でスーツ着用を義務付ける会社は減ってきています。スーツの販売数量は年々減少に向かうなか、今後もオフィスウェアのカジュアル化は進むことが想定されています。

また、2020年の新型コロナ感染拡大により、テレワークが普及しました。この影響で、オフィスウェアのカジュアル化がさらに進行しています。業界内では「スーツ市場の縮小が、想定の5~10年前倒し」になったと見ており、事態を取り巻く環境は大きく変化しています。

紳士服業界の課題2. スーツ着用人口そのものが減少

老人と子供たちの画像

紳士服業界が抱えている課題の2つ目が、スーツの着用人口が減少していることが挙げられます。

国内の生産年齢人口は1990年代をピークに減少が続いています。従来、スーツは就活生や新卒社員などで一定の需要があり、その後は買い替えサイクルにより支えられてきました。

しかしながら、近年は買い替えサイクルを支えてきた『団塊の世代』が、徐々に引退することになり、従来のビジネスモデルが崩れ始めています。さらに、少子化の影響で就活生や新卒社員の需要も年々減少傾向にあります。

今後はこうした傾向がさらに進むことが予想され、紳士服市場の縮小は避けられない状況にきています。

紳士服業界の課題3. 低い利益率とマイナス成長率

紳士服業界の3つ目の課題が、低い利益率とマイナス成長率です。2020年は新型コロナウイルスの影響により、業績の悪化は顕著に見られますが、ここ数年の動向を見ても、利益率と成長率の低下が問題視されてます。

オフィスウェアのカジュアル化や、スーツ着用世代の減少によって、スーツ需要は年々縮小しています。そのため、「売れない → 値下げ → 収益の低下」といった悪循環に陥っています。

他社より少しでも安い商品を販売しようと、各社が価格競争に走ってしまいました。こうしたことが、企業の利益率や成長率を低下させてしまう原因になっています。

紳士服業界では、不採算店舗の閉店、希望退職者を募集するなどして、コストの大幅見直しが行われています。ただ、紳士服市場のパイが広がらない現在、今後の成長を継続するのは容易なことではありません。従来のビジネスモデルの脱却と新しい収益構造の構築が急務となっています。