アパレル業界の課題と問題点とは?

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アパレル業界が抱えている課題についてお話します。この記事では、今後アパレル業界に大きな影響を与える様々な課題や問題の中から、重要な3つをご紹介してきます。

アパレル業界の課題と問題点【2021年】

2021年現在、アパレル業界が抱えている課題は以下のとおりです。

アパレル業界の課題1. 「少子高齢化」に伴う国内マーケットの縮小

アパレル業界が縮小するイメージ

アパレル業界が抱えている課題の1つが、「少子高齢化」に伴う国内マーケットの縮小です。

国内では少子高齢化が進み、日本の総人口は2008年をピークに人口減少に突入しています。人口減少と高齢化の進展下では、労働人口の減少や消費力の減退にもつながるため、アパレル需要の先細りが懸念されています。

このような市況の中、2020年以降は新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、外出を控える消費者が増加しました。旅行やイベント、冠婚葬祭が中止や延期となったことから、洋服の売れ行きは低迷し、単価の高いビジネスウェアやフォーマルウェアの需要も減少しています。

一方、多くのアパレル企業が新型コロナの影響を受ける中、アウトドア商品を扱う「ワークマン」は好調な業績を記録しています。感染対策として3密を避けるアウトドアに人気が集中しており、他のアパレルとは一線を画す結果となっています。

アウトドアは好調ですが、アウトドア需要だけでは、アパレル市場全体を押し上げるまでには至らないのが現状です。今現在、国内の15~64歳の生産年齢人口はすでに減少に転じています。2025年以降はさらなる加速が予想され、高齢者の人口も2040年にはピークを迎えます。

こうした状況は避けられないとして、アパレル業界では人口減少に対応した新しいビジネスモデルの構築が求められています。

アパレル業界の課題2. 消費者の根強い『低価格志向』

節約のイメージ

アパレル業界が抱えている課題の2つ目が、消費者の根強い『低価格志向』です。

国内の消費者の低価格志向は依然として根強いものがあります。アパレル業界もこの影響を大きく受けており、ファッションへの支出額は減少傾向で、この20年間で約半減しています

近年のアパレル業界では「ユニクロ」や「GU」「ZARA」などのファストファッション系や「しまむら」といった、低価格帯の衣料品に需要が集まっています。紳士服市場においてもビジネスウエアのカジュアル化が進み、低価格スーツの業態が増えています。

アパレル業界では根強い低価格指向が足枷となり、単価の高い洋服が売れにくい状況です。さらに『コト消費』の台頭やファッションのカジュアル化も加わり、衣料品にかける費用が抑えられるなど、アパレル業界にとって厳しい状況です。

増税や新型コロナの影響で、消費者の節約志向は以前にも増して高まっており、財布のひもは一段と固くなっています。こうした傾向から、今後は低価格衣料品においても買い控えが懸念されています。

アパレル業界の課題3. 「余剰在庫」の問題

アパレル業界の3つ目の課題が、「余剰在庫」の問題です。

アパレル業界では、衣料品の大量生産や大量仕入れが行われていますが、その裏では数多くの在庫が発生し、業界内では『余剰在庫』の問題を抱えています。

衣料品のトレンドは移り変わりが早いため、売れ残りが発生しやすい状況にあります。このような、新品でも倉庫に保管されている在庫のことを『余剰在庫』といいます。

なかでも、短いサイクルで商品が入れ替わるファストファッションにおいては、『大量生産』『大量消費』『大量廃棄』の問題が挙げられます。

2020年以降はコロナ禍による外出自粛の影響で、アパレルメーカーは大量の在庫を抱えることとなりました。ECやメーカー直販のアウトレット店での販売、余剰在庫を専門に仕入れる業者に買取ってもらうなど、様々な取り組みを行っていますが、余剰在庫の解消はなかなか進まないのが現状です。

大量の『余剰在庫』は、倉庫費や棚卸にかかる人件費、在庫処分費がなどのコストが発生するため、結果的に企業の利益を圧迫します。アパレル業界で常態化している大量生産や大量仕入れという、従来のビジネスモデルを見直す機会が訪れています。