ドラッグストア業界が抱えている課題についてお話します。この記事では、今後ドラッグストア業界に大きな影響を与える課題や問題の中から、重要な3つをご紹介してきます。
2021年現在、ドラッグストア業界が抱えている課題は以下のとおりです。
ドラッグストア業界が抱えている課題の1つが、同業他社、他の小売企業との競争激化です。ドラッグストア業界では、同業他社に加えて、スーパーやコンビニ、ネット通販といった、他の小売企業とも競争が激化しています。
大手ドラッグストアは、新規出店で業績を伸ばしてきましたが、積極的な出店を行ったことで、近年はオーバーストア化が進行しています。そのため、同業他社が隣接しやすく、価格競争など激しい競争が繰り広げられています。
ドラッグストア各社は、粗利益が高いクスリのついで買いを促すため、他社よりも食品価格を安くして集客を図っています。ですが、食品の取り扱いを強化したことで、スーパーやコンビニとも競合することとなりました。
また、薬事法の改正によって、一部の市販薬はコンビニやスーパー、ネット通販でも販売が可能となりました。これに伴い、異業種からも医薬品販売の参入が始まり、他の小売企業との顧客の奪い合いが起こっています。
ドラッグストア業界が抱えている課題の2つ目が、深刻な薬剤師不足の問題です。近年、ドラッグストア業界では「調剤併設型」店舗が増加する一方で、薬剤師の不足が問題になっています。
薬剤師を必要とするのはドラッグストアに限らず、製薬会社や病院、調剤薬局など多くの業界が存在します。加えて、薬事法の改正で、医薬品を販売する企業が増えたことや、薬学部が4年制から6年制に変更したことで、慢性的な薬剤師不足に陥っています。
薬品および医薬品の販売には、店舗ごとに薬剤師の配置が義務化されています。また、調剤業務は薬剤師が行うことや、薬剤師一人当たりの処方箋枚数は40枚の制限があります。
薬剤師が確保できない場合は、営業や新規出店の妨げになるため、ドラッグストア業界は薬剤師の確保が急務となっています。
ドラッグストア業界の3つ目の課題が、「超高齢化社会」、「人口減少」による市場の縮小です。国内では少子高齢化の影響で、人口は減少時代に突入しています。
小売業では、少子高齢化や労働人口の減少、消費力の減退による市場の縮小が課題です。一方、このような市況でも、ドラッグストアでは健康寿命の延伸や『セルフメディケーション』の推奨などで、必要不可欠な存在となっています。
『セルフメディケーション』とは、症状が軽度の場合は自身で判断し、市販薬を使用することです。高齢化の進展によって増え続ける医療費を抑制するため、政府が推奨しているもので、ドラッグストアはその拠点として期待されています。
ですが、高齢者も2040年をピークに減少を迎えます。一方、すでに減少に転じている生産年齢人口の減少は2025年以降さらに加速するため、消費の減退も進んでいきます。今後、人口減少に対応した新しいビジネスモデルの構築が求められます。