工作機械業界の動向や現状、ランキングなどを研究

工作機械を操作する人

工作機械業界の動向や現状、ランキング、シェアなどを研究しています。データは2021-2022年。過去の業界規模の推移をはじめ、金属工作機械の販売金額のグラフや工作機械のサイクル、新たな注目分野や各社の取り組みなどを解説しています。

工作機械業界(2021-2022年)

工作機械業界の推移と基本情報

業界規模

5.5兆円

成長率

2.4

利益率

7.3

平均年収

631万円

  • 13年
  • 14年
  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年

工作機械業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2018年から2019年にかけて減少傾向にありましたが、2021年には大幅増加に転じています。

工作機械業界の動向と現状(2021-2022年)

2021年の受注高は前年比20%増 大幅減少から増加に

経済産業省の生産動態統計年報によると、2021年の金属工作機械の販売金額は前年比21.2%増の9,234億円でした。大幅に減少した昨年から一転し、大幅増となっています。

金属工作機械の販売金額の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)

金属工作機械の販売金額の過去の推移を見ますと、一定の周期により増減を繰り返していることが分かります。直近では、2016年から2018年には増加傾向、2018年から2020年までは減少傾向、2021年には再び増加に転じています。

工作機械は、自動車はじめとする電機・精密機械、航空機、IT製品、産業機械、医療用器具など、世界的に様々な産業で利用されているため、景気の影響を大きく受ける業界です。工作機械の受注は製造業の設備投資の動向に比例することから、景気の先行指標として用いられています。

2018年から2020年にかけては、日米貿易摩擦や新型コロナウイルスの感染拡大により、工作機械の需要は低迷していました。

2021年に入ると、コロナで設備投資を控えていた企業が一斉に投資するようになりました。特に、半導体や自動車関連の設備投資の増加が目立ちます。直近では半導体不足など一部で生産が追いつかない状況が続いており、工作機械メーカーの受注残が積み上がっている状況となっています。一方で、材料不足による納期の長期化なども懸念されており、世界的に景気が悪化すれば投資の先送りにつながる可能性もあります。

景気の先行きを示す工作機械業界 トレンド転換を示唆か

綱引きをする人たち

工作機械の受注サイクルは景気の先行指数とも言われています。数ある設備投資の中でも工作機械が先んじて投資されるためです。

2018年から2020年にかけては、日米貿易摩擦や世界的な新型コロナの感染拡大の影響により、工作機械は大きく低迷していました。一方、2021年に入り、コロナにより投資を控えていた企業が一斉に投資へと向かい、工作機械の需要は大幅に増加しました。

日本の工作機械業界は、2年続いた「下落トレンド」から「上昇トレンド」へと転換しました。世界経済の悪化により上昇が一時的に終わる可能性はありますが、過去の傾向から一つのトレンド転換を示唆している可能性もあります。

工作機械市場は主に3つに大別され、「高級機・高価格製品の宇宙、航空機、医療機器」、「中級機・中価格製品の自動車、電機精密部品」、「低級機・低価格製品の一般部品」に分けられます。国内の工作機械メーカーは、高級機から中級機のボリュームが最も大きい層に位置しています。

近年では、低級機に強い新興国メーカーが中級機や高級機も手掛けはじめており、日本や欧米メーカーとの競争が激しさを増しています。

ニーズの高い「省人化、自動運転、5G」需要 企業の設備投資に注目

作業する工作ロボット

コロナ禍の反動により需要が高まっている工作機械業界ですが、依然としてニーズが高いのが、省人化設備や自動運転関連、5G関連です。

先進国においては人手不足や人件費の高騰を背景に、製造業およびサービス業にて工場内や現場でのロボット需要が拡大しています。また、経済成長著しい新興国においても工場の製造ラインにおいて自動化が進んでいます。

さらには、自動運転技術、次世代通信である5GやAI、IoTといった新たなテクノロジーに伴う設備投資の推進が、今後工作機械需要を大幅に拡大することが期待されています。

こうした動向を受け、各工作機械メーカーでは新たな技術開発や増産に向けて動きはじめています。世界最大級の工作機械メーカーであるDMG森精機では、2023年までに国内の生産能力を現在比3割増強することを発表。また、インドにおいては中国以上の業界規模を見込んでおり、30年振りに工作機械の生産を開始しています。

NC装置で世界トップシェアを誇るファナックは、2019年5月にナノメートル領域の精密な金型加工が可能な工作機械工場の新設を発表。また、工場用のIoT基盤「フィールドシステム」の機能を拡充し、工場用のアプリを外部が開発しやすように支援ツールを開発。ロボット抑制や人工知能などの研究も進めており、アメリカ西海岸に新たな工場を新設しています。

ヤマザキマックや不二越、シチズン時計においても生産能力を増産しており、各メーカーが商機拡大を見込んだ積極投資に動きはじめています。

工作機械業界 ランキング&シェア

工作機械業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで工作機械市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

工作機械業界 売上高&シェアランキング(2021年-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 マキタ 7,392
2 ファナック 7,330
3 安川電機 4,790
4 DMG森精機 3,960
5 THK 3,181
6 アマダ 3,126
7 ディスコ 2,537
8 不二越 2,291
9 牧野フライス製作所 1,865
10 コマツ 1,856

※コマツは産業機械他事業の売上高です。シェアとは工作機械業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで工作機械市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ工作機械業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

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工作機械業界 対象企業一覧

マキタ、ファナック、安川電機、DMG森精機、アマダ、THK、不二越、ディスコ、コマツ、日本製鋼所、ジェイテクト、オークマ、牧野フライス製作所、オーエスジー、三井ハイテック、芝浦機械、ブラザー工業、ツガミ、アイダエンジニアリング、ソディック、シチズン時計、日精樹脂工業、スター精密、岡本工作機械製作所、旭ダイヤモンド工業、西部電機、ユニオンツール、エンシュウ、豊和工業、富士精工などの計45社

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