ソフトウェア業界の動向や課題と今後の見通しは?

ソフトウェアを使ってパソコンで作業する人たち

ソフトウェア業界の動向や現状、課題や今後の見通しなどについて解説しています。ソフトウェア業界の過去の業界規模の推移をはじめ、売上高グラフと直近のトレンド、業界の持つ魅力と課題、今後数年の見通しなどをご紹介します。

ソフトウェア業界(2021-2022年)

ソフトウェア業界の推移と基本情報

業界規模

0.7兆円

成長率

5.5

利益率

4.5

平均年収

737万円

  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年

ソフトウェア業界の過去の業界規模の推移を見ますと、拡大傾向にあります。

ソフトウェア業界の動向と現状(2021-2022年)

2022年は過去最高の11.4兆円へ DXやセキュリティ対策など追い風

経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、2022年のソフトウェアの売上高は前年比3.8%増の11兆4,963億円でした。

ソフトウェア開発、プログラム作成の売上高の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)

売上高の推移グラフを見ますと、中長期に増加傾向にあることが分かります。とくに、2021年は売上高が大きく増加、2022年は統計開始以来の過去最高額を更新しています。

2021年のソフトウェア業界は大幅に増加しました。2021年は従来のシステム更新需要に加え、企業のDX対応やデジタルデータを活用した業務効率化、セキュリティ分野などで需要が増加しています。在宅勤務に伴うビジネスチャットやデータ共有ソフト、オンライン会議システムなどの需要も旺盛でした。また、政府主導のGIGAスクール関連投資の需要も大幅に増え、業績の拡大に寄与しています。

2022年-2023年は、GIGAスクール関連の特需が剥落するものの、企業のDX対応や業務効率化、セキュリティへの需要は底堅く、堅調に推移することが予測されています。

近年のソフトウェア業界は、従来の「売り切り型」から「SaaS型」にビジネスモデルが変化しています。「SaaS型」の多くは定額課金を採用しており、売上が積み上げ式であることから経営が安定するメリットがあります。こうした点から、各社とも「SaaS型」を強化しており、今後ソフトウェアの主流は「SaaS型」になっていくことが予想されます。

ソフトウェア業界 売上トップ5(2021-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 日本オラクル 2,146
2 トレンドマイクロ 1,903
3 オービック 894
4 ジャストシステム 416
5 ミロク情報サービス 365

2021-2022年の売上高ランキングを見ますと、首位が日本オラクルトレンドマイクロ、オービックと続きます。日本オラクルは米国オラクルの日本法人で、データベース管理ソフトで高いシェアを誇ります。

トレンドマイクロは、サイバーセキュリティの国内最大手で法人向けPC端末保護で世界的に高シェアを誇ります。個人向けでは「ウイルスバスター」も展開しています。

ソフトウェア業界の魅力と課題

ソフトウェア業界は、他の業界にない魅力が多くあり、今後成長が期待される業界の一つです。ここでは、そんな「ソフトウェア業界の魅力と課題」についてご説明します。

ソフトウェア業界は製造業のように原材料の調達や莫大な設備投資が必要ありません。ソフトを複製するコストがかからず、開発にかかる費用は人件費や外注費が大半を占めます。そのため収益性が高い傾向にあり、再投資による高い成長が期待できます。

さらに、近年は社会的にDXやサイバーセキュリティなどデジタル化へのニーズが高まっています。こうしたニーズの高まりはソフトウェア業界にとって追い風となっており、将来の成長を期待する声が高まっています。

一方で、ソフトウェア業界にも課題があります。ソフトウェアを取り巻く環境は「変化」が非常に早いのが特徴です。うまくいっていたビジネスもすぐに時代遅れになるなど、環境に柔軟に対応する必要があります。また、参入障壁が比較的低いことから、競争が激しいことも大きな課題です。さらに、優秀なデジタル人材の確保は厳しくなっており、人件費の上昇も課題の一つと言えます。

ソフトウェア業界の今後は?

ガートナージャパンによると、2022年の日本のIT支出額は5.4%増の27.2兆円、2023年は4.4%増の28.4兆円と予測しています。産業別では小売、銀行/投資サービス、運輸で高い伸びが期待されています。

今後、ソフトウェア業界は、日本及び世界で着実な成長が期待されています。とくに、生産性の向上が課題の日本にとって、DXや業務効率化のニーズは官民問わず強いものとなるでしょう。

また、近年は海外からのサイバー攻撃が急増しており、工場の停止や機密情報の漏洩など深刻な問題となっています。個人向けではフィッシング詐欺や悪用マルウェアなどが横行しています。日本は海外と比較してサイバーセキュリティに対する意識や対策が低く、対応するサービスのニーズが高まることが予想されます。

さらに、顧客の情報を一元管理することで利益の最大化を目指すCRM(顧客関係管理)、見込み顧客を中長期的に育成していく「リードナーチャリング」など競争力強化を目的とするクラウドサービスも堅調に推移していくことが見込まれます。ソフトウェア業界は、今後の成長が楽しみな業界の一つです。さらなる成長と「効率化」を武器に今後の日本経済の発展に寄与してくれることを願います。

ソフトウェア業界 ランキング&シェア

ソフトウェア業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することでソフトウェア市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

ソフトウェア業界 売上高&シェアランキング(2021年-2022年)

※シェアとはソフトウェア業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することでソフトウェア市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれソフトウェア業界の詳細ランキングページにジャンプします。

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ソフトウェア業界 対象企業一覧

日本オラクル、トレンドマイクロ、オービック、ジャストシステム、ミロク情報サービス、オービックビジネスコンサル…、サイボウズ、クレオ、ピー・シー・エー、ソースネクスト、フリー、ACCESS、東海ソフト、フィックスターズ、リックソフト、チームスピリット、エイトレッド、クシムの計18社

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