ドラッグストア業界の動向や現状、ランキング等を研究

ドラッグストア

ドラッグストア業界の現状や動向、ランキング&シェアなどを研究しています。データは2022-2023年。ドラッグストア業界規模の推移をはじめ、動向や現状をグラフを用いて分析しています。

ドラッグストア業界(2022-2023年)

ドラッグストア業界の推移と基本情報

業界規模

8.2兆円

成長率

6.6

利益率

2.5

平均年収

642万円

  • 12年
  • 13年
  • 14年
  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年
  • 22年

ドラッグストア業界の過去の業界規模の推移を見ますと、増加傾向にあります。

ドラッグストア業界の動向と現状(2022-2023年)

2022年は5.5%増の7兆円台 一店舗当たりの売上は横ばい

経済産業省の「商業動態統計(2023年2月23日)」によると、2022年のドラッグストアの商品販売額は前年比5.5%増の7兆7,094億円、店舗数は前年比4.6%増の18,429店でした。

ドラッグストア上位5社の店舗数 推移(2020年)

ドラッグストアの商品販売額と店舗数の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)

過去の推移を見ますと、店舗数の増加に伴い、ドラッグストアの販売額が増加しているのが分かります。一方で、店舗数の増加に伴い競争は激しさを増し、再編の動きも活発化しています。

近年のドラッグストア業界の動向を見ますと、コロナ禍で業績を落す業界が多いなかで、ドラッグストア業界は業績は好調でしたが、2021年は特需の反動減で売上は鈍化しました。2022年に入り販売額と店舗数は増加ししたものの、一店舗当たりの売上は、2020年の特需を除くと横ばいで推移しています。

以下のグラフは、ドラッグストア大手6社の既存店売上高の推移をあらわしたものです。大手ドラッグストアの既存店売上高の月次推移をみることで、2021年から2024年2月までの最新のドラッグストアの動向を把握することができます。

大手ドラッグストアの月次売上高の推移

大手ドラッグストアの月次売上高の推移(各社公表資料より業界動向サーチが作成)

大手ドラッグストアの月次売上高の推移を見ますと、2021年から2024年2月にかけて前年比100%前後で推移していることが分かります。コロナによる医薬品や食品分野の特需が一服した様子が見られほぼ横ばいで推移していました。一方、2023年の前半は緩やかに増加、概ね100を上回る水準で推移しています。

ドラッグストア業界 売上トップ5(2022-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 ウエルシアHD 11,442
2 ツルハHD 9,700
3 マツキヨココカラ&カンパニー 9,512
4 コスモス薬品 8,276
5 サンドラッグ 6,904

2022-2023年のドラッグストア業界の売上高ランキングを見ますと、首位がウエルシア、2位がツルハ、3位がマツキヨココカラ&カンパニー、コスモス薬品、サンドラッグと続きます。業界初の1兆円を突破したウエルシアHDを、2位のツルハが追い上げています。また、2021年10月に統合を果たしたマツキヨココカラ&カンパニーは、現在3位につけている状態です。

2022-2023年のドラッグストア業界の業績は、主要企業5社ともに増加しました。また、最終利益も5社ともに前年を上回り、2~18%増加しています。

医薬品、家庭雑貨、食品が増加 各社の棲み分けが進む

売上高のグラフとビジネスマン

ドラッグストアの業界規模は年々拡大していますが、その内訳はどうなっているのでしょうか。以下は2015年から2022年までのドラッグストア業界上位5社の分野別の売上高の合計をあらわしたグラフです。

ドラッグストアの分野別 売上高の推移

ドラッグストアの分野別 売上高の推移(各社公表資料より業界動向サーチが作成)

グラフを見ますと、化粧品を除き、いずれの分野も業績を伸ばしているのが分かります。特に「食品分野」の伸びが著しく、分野別のシェアも最大となっています。グラフによると、近年のドラッグストアの業績を拡大してきた要因として、「食品分野」の増加が考えられます。

こうした動向の中、ドラッグストア各社はそれぞれの強みを活かした戦略をとっています。業界首位のツルハHDは家庭用雑貨、ウエルシアHDは医薬品と食品、コスモス薬品は食品、マツモトキヨシHDは化粧品の構成比が高く、メインとなるカテゴリーがそれぞれ異なります。

そのなかでもコスモス薬品の食品構成比は約58%と売上の半分以上を占め、食品に特化した戦略をとっていることが分かります。また、ウエルシアHDの売上高の構成比は医薬品が20%、調剤が19%と調剤が追い上げており、ネットで処方箋の予約を可能にするなど、調剤で新しい取り組みを始めています。

2022年は外出の機会が増えたことで化粧品需要の回復が見られたほか、食品部門が引き続き好調でした。マスクや抗原検査キットなどのコロナ関連商品は、感染者数の減少にともない需要は縮小しましたが、自宅療養者向けに総合感冒薬などの医薬品の増加が見られました。

今後の成長戦略に違い 調剤併設拡大やPB強化に重点

先を見通している人

2021年10月、マツモトキヨシHDとココカラファインが経営統合し、「マツキヨココカラ&カンパニー」が誕生しました。これまで大手による中堅企業のM&Aは活発に行われてきましたが、大手同士のM&Aは見られませんでした。これにより、さらに業界再編の動きが進む可能性があります。

一方、業界内では今後の成長戦略に違いが出始めています。これまで、大手各社は新規出店やM&Aで規模を拡大してきましたが、オーバーストアによる競争激化や赤字店舗の増加によって収益性が低下しており、専門性やPB商品の開発強化などに注力し始めています。

ドラッグストア業界首位のウエルシアHDは、専門総合店舗を目指し「営業・調剤・化粧品」の3位一体を強化、なかでも調剤併設店舗の拡大を掲げています。調剤併設率は2023年3月期時点で74.7%に上りますが、100%を目指し推進しています。

NTN技術者の開発ストーリー

ウエルシアが描く今後のプラットフォーム像

また、同社では地域のかかりつけ薬剤師を増やすほか、立地に応じた商品構成に取り組んでいます。都市部では化粧品を、郊外店舗では食品を強化しており、2021年10月には千葉県に実験店舗として食品料品強化型の「ウエルシアイオンタウン」をオープンさせました。

業界2位のツルハHDでは収益性を重視し、最優先課題に収益力改善を掲げています。赤字店舗の早期閉店、ドミナント出店を軸に地域シェアを拡大するなど、出店基準を厳しくしています。また、消費者のライフスタイルへの変化に対応が遅れており、食品を中心としたPB商品の開発を強化します。

マツキヨココカラ&カンパニーでは、統合後3年をメドに営業利益300億円規模の収益改善効果を見込んでいます。PB商品の共同開発やNB商品の共同仕入れ、調剤機器の一括購入、さらに両社の顧客基盤を活かし、DXサービスの連携統合に取り組んでいます。また、グローバル事業ではアジアを中心に、新たな進出国や越境ECの拡大を図ります。

低価格の食品を軸に展開するコスモス医薬品は、ドミナント出店を基本に引き続き中国、四国、九州に出店。一方、積極的な出店地域に、関東、関西、中部を掲げています。

順調に拡大を見せるドラッグストア業界ですが、増加するM&Aや大型再編の動きは将来への危機感の表れでもあります。新規出店による売上増には限界があり、いずれ踊り場を迎えるでしょう。さらに、新型コロナウイルスの影響で駅前繁華街店舗の客数が減少するなど状況は一変しており、こうした状況も含め、各社は次の一手を模索しています。

ドラッグストア業界 ランキング&シェア

ドラッグストア業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することでドラッグストア市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

ドラッグストア業界 売上高&シェアランキング(2022年-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 ウエルシアHD 11,442
2 ツルハHD 9,700
3 マツキヨココカラ&カンパニー 9,512
4 コスモス薬品 8,276
5 サンドラッグ 6,904
6 スギHD 6,676
7 クリエイトSDHD 3,809
8 クスリのアオキHD 3,788
9 富士薬品 3,730
10 アインHD 3,587

※シェアとはドラッグストア業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することでドラッグストア市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれドラッグストア業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

関連リンク

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ドラッグストア業界 対象企業一覧

ウエルシアHD、ツルハHD、マツキヨココカラ&カンパニー、コスモス薬品、サンドラッグ、スギHD、クリエイトSD HD、クスリのアオキHD、富士薬品、アインHD、日本調剤、カワチ薬品、クオールHD、Genky DrugStores、薬王堂HD、メディカルシステムネット…、トモズ、サツドラHD、ファーマライズHD、トーカイ、メディカル一光、ファルコHD、札幌臨床検査センターの計23社

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