家電量販店業界の動向やランキングなど

家電量販店の売り場

家電量販店業界の動向や現状を業界に起きた出来事や背景を交えて分析しています。データは2021-2022年。売上高のランキングや各社シェア、市場規模の推移、業界が抱える課題や問題と今後の取り組みなどを詳しく解説しています。

家電量販店業界(2021-2022年)

家電量販店業界の推移と基本情報

業界規模

6.1兆円

成長率

1.1

利益率

1.8

平均年収

482万円

  • 11年
  • 12年
  • 13年
  • 14年
  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年

家電量販店業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2020年までは増加傾向にありましたが、2021年には減少に転じています。

家電量販店業界の動向と現状(2021-2022年)

22年の販売額0.5%増 巣ごもり特需の反動減続くも市場規模は高水準

経済産業省の「商業動態統計(2023年2月15日公表)」によると、2022年の家電大型専門店の販売額は、前年比0.5%増の4兆7,084億円でした。

家電大型専門店の販売額の推移

家電大型専門店の販売額の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)

家電量販店の販売額の推移を見ますと2016年に底をつけ、2020年まで緩やかな上昇傾向にあることが分かります。2021年は減少に転じましたが、コロナ前の2019年の水準を上回りました。また、2022年は前年から微増と横ばいですが、高水準で推移しています。

2021年の家電量販店は、前年の新型コロナ感染症による巣ごもり需要の反動減が見られた年でした。また、都市部の店舗においては、感染再拡大や東京五輪の無観客開催、時短営業などが影響し来店客数は減少しました。一方、郊外の店舗では、冷蔵庫や洗濯機などの買い替え需要は堅調に推移しました。

家電の寿命は概ね10年程度と言われていますが、「09年から実施されたエコポイント制度」、「2011年に実施された地上デジタル移行」により、2020年以降は買い替えサイクルが本格化する時期にあたります。

2020年夏の東京五輪の開催に伴うテレビ需要の増加や4K8K衛星放送の本格化、さらに同年年1月には「windows7」のサポートが終了。法人や個人によるパソコンの買い替えなどがあり、2020年の家電量販店業界はこうした特需がちょうど重なる時期で、堅調な需要が見込まれていました。

ところが、2020年は新型コロナウイルスの世界的感染拡大で、東京五輪は延期。感染拡大により都市部の店舗は客数が減少、一方、郊外店舗では在宅勤務や10万円の給付金などの恩恵を受け、パソコンやテレビ、冷蔵庫、調理家電などが購入されました。2021年はこうしたコロナ特需に陰りが見え始めており、業界内ではECの強化や食品や生活用品の拡充などで、来店頻度を高めようとする動きが見られています。

家電量販店業界 売上トップ5(2021-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 ヤマダHD 16,193
2 ビックカメラ 8,340
3 ヨドバシカメラ 7,530
4 ケーズHD 7,472
5 エディオン 7,137

2021年の家電量販店の売上高ランキングを見ますと、トップはヤマダHDとなり独走状態です。首位のヤマダHDは、家電販売が全売上高の約8割を占める主力事業ですが、その他に住宅やリフォーム、家具事業にも参入しています。

2021年の家電量販店の業績は、上位5社中3社がマイナス、2社が横ばいでした。コロナ特需の反動減の影響はありますが、コロナ前の2019年と比較すると概ね横ばいで推移しています。

2022年以降の市場は不透明 人口減、ネット通販の拡大など逆風強く

お金の生る木に水を与える

2020年から2021年の家電量販店業界は新型コロナウイルスの影響で、明暗が分かれる状況となっていますが、2022年以降の市場動向は不透明です。

家電量販店上位5社の売上高の推移

家電量販店上位5社の売上高の推移(各社公表資料、グラフは業界動向サーチが作成)

上のグラフは家電量販店上位5社の売上高の推移をあらわしたものです。2020年は新型コロナウイルスの感染拡大による給付金の交付や自粛特需を背景に上昇、2021年はその反動による需要の減少がありましたが、過去10年の推移を見ますと、おおむね横ばいであることが分かります。

差別化が難しい家電量販店業界は、価格競争と店舗拡大により規模を大きくしてきました。しかしながら、市場は成熟化し、大きな伸長が見込めない踊り場を迎えています。長期的な人口減少や世帯数の減少が業界に大きな影を落とします。

さらに近年では、ネット通販の拡大による市場パイの減少、賃金低下や物価上昇による生活防衛意識の高まりなどで市場環境は厳しさを増しています。さらに近年では、「コト消費」の拡大など消費者ニーズの変化も見られます。コロナ禍の需要は短期的とも見られており、「新規出店による拡大」といった従来のビジネスモデルが通用しなくなってきています。

非家電、リフォーム、海外展開、電子棚札など新たな取り組みが続々

ひもに引っ張られながらも前に進む男性

こうした動向を受け、家電量販店大手各社は将来への布石を模索しています。

業界首位のヤマダHDは子会社を統合、22年4月にはヒノキヤGPを完全子会社化し、住宅事業を強化。さらに、家電や家具、リフォームを融合した「家電住まいる館」を整備し、2022年5月には大塚家具を吸収合併。新たに「暮らしまるごと」戦略を掲げ、家電や家具、生活雑貨、リフォームなど暮らしに必要なモノがそろう、新業態店舗「LIFE SLECT」を本格展開します。

業界2位のビックカメラは玩具や自転車、酒類分野を強化。売上高1,000億円を突破したEC事業の強化にも乗り出します。

エディオンは今後拡大が見込まれるリフォーム分野に注力。体験や体感を通した五感に訴える店作りなど新たな取り組みも始めています。ノジマはシンガポールやマレーシアで家電小売を展開する「COURTS Asia Limited」を買収。カンボジアに次ぎ、マレーシアやシンガポールなどアジアでの海外展開の強化を図ります。

店舗当たりの生産性向上の取り組みも相次いでいます。ビックカメラやエディオンは「電子棚札」を導入開始。電子棚札はPOSや基幹システムと連動することで、本部が価格を一括で変更することができる棚札です。電子棚札に切り替えることで、価格の更新を迅速に行うことができるほか、口コミなどの付帯情報もダイレクトに表示させることができます。

各社、新たな取り組みを続々と打ち出すのは「将来の危機感の裏返し」とも言えます。頭打ちを迎えている家電量販店業界にとって、新たなビジネスモデルの構築は、生き残るうえでの欠かせない課題ともいえるのではないでしょうか。

家電量販店業界 ランキング&シェア

家電量販店業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで家電量販店市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

家電量販店業界 売上高&シェアランキング(2021年-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 ヤマダHD 16,193
2 ビックカメラ 8,340
3 ヨドバシカメラ 7,530
4 ケーズHD 7,472
5 エディオン 7,137
6 ノジマ 5,649
7 上新電機 4,095
8 コジマ 2,975
9 ラオックス 681
10 アプライド 439

※シェアとは家電量販店業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで家電量販店市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ家電量販店業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

関連リンク

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家電量販店業界 対象企業一覧

ヤマダHD、ビックカメラ、ケーズHD、エディオン、ヨドバシカメラ、ノジマ、上新電機、コジマ、ベスト電器、ラオックス、アプライド、ピーシーデポコーポレーション、ZOA、セキドの計13社

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