トイレタリー業界の動向やランキング、シェアなど

シャンプーや歯磨き粉などのトイレタリー用品

トイレタリー業界の動向や現状、ランキングやシェアなどを研究しています。データは2022-2023年。トイレタリー業界の過去の市場規模の推移や主力商品である洗濯用洗剤の販売金額の推移、インバウンド需要の現状、各社の取り組みと今後の動向について解説しています。

トイレタリー業界(2022-2023年)

トイレタリー業界の推移と基本情報

業界規模

3.1兆円

成長率

1.3

利益率

4.5

平均年収

737万円

  • 12年
  • 13年
  • 14年
  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年
  • 22年

トイレタリー業界の過去の業界規模の推移を見ますと、近年は横ばいで推移しています。

トイレタリー業界の動向と現状(2022-2023年)

外出需要高まり衛生用品一服 コスト上昇で値上げラッシュへ

トイレタリーとは主に洗剤や石鹸、ボディソープ、ハンドクリーム、スキンケア製品、シャンプーや入浴剤、紙おむつなどの衛生用品、殺虫剤等の総称を指します。トイレタリーの主力商品である洗濯用洗剤の2022年の売上高は、前年比4.2%増の2,076億円でした。前年から137億円のプラスとなり、初の2千億円に達しました。

洗濯用洗剤の販売金額の推移

洗濯用洗剤の販売金額の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)

洗濯用洗剤のグラフからも分かるように、近年のトイレタリー業界はおおむね横ばいで推移しています。コロナや株安による影響もさほど受けておらず、一定の水準で安定的に推移していることが分かります。

2022-2023年のトイレタリー業界は、全体としては横ばいで推移しました。2022-2023年の特徴としては、国内では外出機会が増えたことで、スキンケア用品、洗濯洗剤や業務用衛生用品(外食や宿泊施設など)の厨房用洗浄剤やアメニティー用品の需要が回復しました。一方、消毒液やハンドソープ、サニタリー(トイレ、浴室、洗面台など)向けは伸び悩みました。

海外市場では、急激なコスト上昇に対応するため価格転嫁を進めました。ベビー用紙おむつは中国が都市封鎖や消費減速の影響により需要は落ち込みましたが、アジアでは好調に推移しました。新商品の開発やリニューアル、値上げなどを積極的に行ったことで、アジアや欧州、米国では堅調に推移しました。

一方で2022年においては、経済活動が再開されたものの、物流の混乱や原材料の高騰、インフレによる低価格帯商品へのシフトなど、厳しい市況環境となりました。

トイレタリー業界 売上トップ5(2022-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 花王 11,933
2 ユニ・チャーム 8,980
3 ライオン 3,898
4 小林製薬 1,662
5 アース製薬 1,523

※はコンシューマープロダクツ事業の売上高。2022-2023年のトイレタリー業界の売上高ランキングを見ますと、首位が花王、ユニ・チャーム、ライオン、小林製薬、アース製薬と続きます。花王は国内トイレタリー首位で、洗剤や掃除用品、衛生用品、スキンケアやヘアケア、化粧品、入浴剤、オーラルケアなど幅広いトイレタリー用品を手がけています。

ユニ・チャームは幼児用・大人用紙おむつ首位で、アジアを中心に欧米、中東、アフリカなどに展開しています。ライオンは歯ブラシで国内首位、歯ブラシや歯磨き粉、ハンドソープ、ボディーソープなどのトイレタリーを展開しています。

2022-2023年の主なトイレタリーメーカー5社の業績は、5社中3社が増加、減少と横ばいが各1社となりました。また、最終利益では4社が減益でした。

中長期的な動向を見据え、海外展開の基盤を強化

海外の拠点を模索する男性

国内のトイレタリー業界は少子高齢化の影響により、中長期的には緩やかな減少傾向になることが予想されます。インバウンドによる特需が支えてきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、こうした特需も消失してしまいました。

こうした中長期的な動向を見据え、トイレタリー各社は東南アジアや中国など今後、経済の拡大が見込まれる海外市場へと販路を広げています。加えて各社はアジア向けの輸出にも注力するなど、生産体制の増強をはかっています。

業界首位の花王は中国の開拓に意欲的です。シャンプーや洗濯用洗剤など主要7ブランドを積極展開し、中国を足がかりにアジアでの販売網拡大を狙います。一方、ベビー用紙おむつにおいては現地企業のシェア拡大によって苦戦しており、2023年11月には中国での生産を終了し、今後は日本から輸出し販売を継続します。

また、殺虫剤で知られるアース製薬はタイや中国を拠点に世界55ヶ国へ製品を輸出し、販売網の拡大を続けています。

さらに、衛生用品大手のユニ・チャームはインドネシアなどアジアを中心に、中東、ロシア等でも展開。ベビーケア、フェミニンケア商品を中核とし、こちらも海外事業の展開を加速しています。世界的に経済再開の動きも見られ、不振だった海外事業の巻き返しが期待されます。

高付加価値の商品にシフト 『時短』ニーズ意識した商品開発

家庭用品で掃除する人

近年、国内向けのトイレタリー各社は「高付加価値戦略」にかじを切っています。

各社は、高機能の洗濯用洗剤や香付き柔軟剤など、付加価値の高い製品を展開しています。高単価ではありますが、消費者のニーズを捉えた商品開発でヒット商品を生み出し、新たな使用開拓を狙っています。

近年のトイレタリー業界では『時短・簡便』を意識した商品開発に注力しています。女性の社会進出や共働き世帯の増加に伴い『家事の負担を軽減する』商品を各社こぞって投入しています。

P&Gはボール型衣料品洗剤『3Dジェルボール』を発売。計量カップで計らずにそのまま投入するだけでよい手軽さが支持され、発売3年間で1億個以上を売り上げました。2021年9月には洗浄力を強化した『ジェルボール4D』を発売しました。これに対抗したライオンは速乾を重視した『ハレタ』を、花王も洗浄力を高め軽量いらずのワンプッシュタイプ『アタックゼロ』を発売しました。

また、浴室洗剤においては2018年に発売したライオンの『ルックプラス バスタブクレンジング』が大ヒットしました。こすらずに洗い落とすだけという新たなコンセプトが消費者に支持され、4年間で累計1万3,000万個を突破しました。浴室洗剤としては後発であったライオンが一気にトップ争いに躍り出ました。

共働き世帯が増える中、今後も家事の時短化・簡便化ニーズは底堅いと思われます。国内市場は縮小しますが、時代の流れとともに新たな需要は生まれてきます。いまだ商品化されていない潜在的ニーズもあるでしょう。こうしたニーズをうまく拾い上げ、いかにくみ取っていくかが、今後の業績を左右させる大事なポイントとなるでしょう。

トイレタリー業界 ランキング&シェア

トイレタリー業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することでトイレタリー市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

トイレタリー業界 売上高&シェアランキング(2022年-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 花王 11,933
2 ユニ・チャーム 8,980
3 ライオン 3,898
4 小林製薬 1,662
5 アース製薬 1,523
6 ピジョン 949
7 クラシエHD 862
8 フマキラー 617
9 ホーユー 510
10 サンスター 473

※花王はコンシューマープロダクツ事業の売上高です。シェアとはトイレタリー業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することでトイレタリー市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれトイレタリー業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

関連リンク

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トイレタリー業界 対象企業一覧

花王、ユニ・チャーム、ライオン、小林製薬、アース製薬、ピジョン、クラシエHD、フマキラー、ホーユー、サンスター、エステーの計11社

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