OA機器業界の動向や現状、ランキング&シェアなど

複合機のイメージ

OA機器業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを解説しています。データは2022-2023年。対象企業の過去の業績を追うことでOA機器業界全体の現状や動向、傾向を知ることができます。

OA機器業界(2022-2023年)

OA機器業界の推移と基本情報

業界規模

7.6兆円

成長率

8.0

利益率

3.2

平均年収

781万円

  • 14年
  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年
  • 22年

OA機器業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2020年まで緩やかな減少傾向にありましたが、2021年以降は増加に転じ、2022年には大幅増となっています。

OA機器業界の動向と現状(2022-2023年)

2022年は販売台数・金額ともに大幅増 一方でペーパーレス化が逆風

経済産業省の生産動態統計(2023年6月末日公表)によると、2022年の複写機の販売台数は、前年比15.9%増の372,259台、販売金額は同19.9%増の1,211億円でした。

複写機の販売台数と販売金額の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)

複写機の販売台数・販売金額を見ますと、2016年から2021年にかけて減少傾向でしたが、2022年は一転して大幅増となりました。販売金額は昨年の低水準から脱し、販売金額は高水準に位置しています。内訳は、デジタル機の販売台数が前年比17.2%増、販売金額は同27.6%増。フルカラー機の販売台数は15.4%増、販売金額が17.7%増となり、両機種ともに大幅増加となりました。

2022年のOA機器業界では、昨年からの部品不足や物流混乱が解消したこと、経済活動の再開にともなうオフィス回帰が見られたことで、オフィス向けの販売台数が伸長しました。一方、家庭用プリンターは、テレワーク需要が一巡したこともあり、プリンターやカートリッジなどの消耗品を含め販売数は伸び悩みました。

国内のOA機器業界は、家庭用複合機ではキヤノンセイコーエプソンが、業務用複合機では、キヤノン、リコー富士フイルムHD、セイコーエプソンがシェア争いをしています。

OA機器業界では、プリンターの出荷台数が縮小傾向にあります。2022年は増加したものの、長期的に見てもスマートフォンやクラウドの普及により、ペーパーレス化の動きが進んでいます。複写機やプリンターそのものの需要が減るなど、OA機器業界にとっては厳しい状況が続きます。

国内市場の縮小、ペーパレス化などを背景にOA機器メーカーは攻めの経営を続けてきました。現在、家庭用向けインクジェットプリンターの市場は縮小していますが、オフィス向け複合機の市場はまだ若干の成長の余地があると考えられています。

一方で、近年のOA機器業界の状況を見ますと、2020年は新型コロナの影響により、在宅勤務が急速に普及しました。オフィス向け需要は縮小する一方で、家庭用需要は増加。21年には出社を促す企業が出始めましたが、デジタル化の影響でプリント需要は減少。2022年もオフィスの印刷の需要に変化はなく、業界では商業用や産業用印刷に注力する動きが見られています

OA機器業界 売上トップ5(2022-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 キヤノン 22,619
2 リコー 16,504
3 セイコーエプソン 9,023
4 コニカミノルタ 8,528
5 富士フイルムHD 8,380

※はOA機器関連の部門売上高。2022年のOA機器業界の売上高ランキングでは、首位がキャノン、2位がリコー、セイコーエプソン、コニカミノルタ、富士フイルムHDと続きます。OA機器売上高でトップのキャノンは家庭用プリンター、2位のリコーは事務向けで国内首位級を誇ります。

2022年のOA機器メーカー大手3社の業績は、キャノンが前年比16.7%増、リコーが同15.6%増、セイコーエプソンが15.7%増でした。印刷の需要は縮小傾向にある一方で、2022年は大手3社ともに大幅増収を記録しています。

OA機器業界の今後について

グローバルで活躍する人々

IDC Japanによると、2021年の国内オフィス/ホームプリント市場(保守やインク、アウトソーシングを含む)の支出額は、前年比0.5%増の1兆3,937億円でした。そのうちハードウェア購入支出額は4,593億円と全体の33%を占めます。

今後、2023年以降は業務手続のデジタル化がさらに進み、オフィスでのプリント需要も縮小し続けると考えられています。2021年から2026年の国内オフィス/ホームプリント市場の年平均成長率はマイナス3.4%、2026年の市場規模は1兆1,746億円と予測しています。

こうした厳しい状況のなか、大手OA機器メーカーは販路拡大に向け、米国大手の事務機器販売会社や豪州企業など海外企業の買収に動きました。一方、日本を含む先進国の市場は成熟しており、今後も印刷需要の成長は見込みにくい状況です。

そこで、大手OA機器メーカーではITサービスの強化で、収益の向上を目指しています。国内では業務効率化や生産性向上などで企業がDXを進めており、大手OA機器では中堅・中小企業のDX支援に注力しています。複合機で紙の書類を電子化するほか、サーバーと一体型の複合機で自社開発のクラウドと連携し、データーの有効活用などを進めます。

OA機器業界では、今後のITサービス事業の成長に向けて投資を行うなど、事業の多角化を急いでいます。一方、長期的に見れば市場は縮小トレンドです。DX支援も多くの業界や企業が参入しているのため、顧客ニーズに合わせたサービス内容、セキュリティー対策が重要です。

OA機器業界 ランキング&シェア

OA機器業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することでOA機器市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

OA機器業界 売上高&シェアランキング(2022年-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 キヤノン 22,619
2 リコー 16,504
3 セイコーエプソン 9,023
4 コニカミノルタ 8,528
5 富士フイルムHD 8,380
6 ブラザー工業 4,967
7 京セラ 4,349
8 東芝テック 2,138
9 キヤノン電子 291

※キヤノンはプリンティング事業、リコーはデジタルサービス事業、セイコーエプソンはプリンティングソリューション事業、コニカミノルタはデジタルワークプレイス+プロフェッショナルプリント事業、富士フイルムHDはビジネスイノベーション事業、ブラザー工業はプリンティング・アンド・ソリューションズ事業、京セラはドキュメントソリューション事業、東芝テックはワークプレイスソリューション事業、キヤノン電子は電子情報機器事業の売上高です。シェアとはOA機器業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することでOA機器市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれOA機器業界の詳細ランキングページにジャンプします。

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OA機器業界 対象企業一覧

キヤノン、リコー、セイコーエプソン、コニカミノルタ、富士フイルムHD、ブラザー工業、京セラ、東芝テック、キヤノン電子の計9社

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