パン業界のランキングや動向、現状などを研究

皿にある食パンやフランスパン

パン業界の動向や現状、ランキングや売上高シェアなどを研究・分析しています。データは2021-2022年。過去のパン業界の市場規模の推移をはじめ、パン生産量の推移、日本人の主食の移り変わり、高級食パンのトレンドや今後の動向について解説しています。

パン業界(2021-2022年)

パン業界の推移と基本情報

業界規模

1.4兆円

成長率

-0.5

利益率

0.4

平均年収

469万円

  • 13年
  • 14年
  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年

パン業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2020年に減少となりましたが、2021年には反発しています。中長期的にはほぼ横ばいで推移しています。

パン業界の動向と現状(2021-2022年)

2022年のパン生産量は118.8万t 消費額がコメの1.6倍に拡大

近年、日本人の主食は米からパンへと変わり始めています。農林水産省の「食品産業動態調査」によると、2022年のパン生産量(小麦粉ベース)は、前年比4.3%減の118万8,683トン。内訳は食パンが5.7%、学給パンは5.4%、菓子パンが4.9%の減少でした。一方、フランスパンや調理パンを含むその他は0.5%の増加となりました。2022年は減少しましたが、中長期では、ほぼ横ばいで推移しています。

パン生産量の推移(出所:農林水産省、グラフは業界動向サーチが作成)

農林水産省の主食に占める割合の調査では、1983年に57.2%を記録していた米類が、2003年には42.4%に下落。一方、パンは21.2%から31.4%へと大幅に上昇しています。パンの消費額も上昇傾向で、2022年は米が2万円台を割り込み19,825円に下落、対してパンは32,497円と前年から1,144円も増加するなど差は年々広がっています

パンの需要が伸びている背景としては、食生活の欧米化や若年層を中心とした米離れ、一般家庭の朝食のパンの浸透や孤食・個食などの影響に加え、増加する共働き世帯による時短・簡便ニーズなどが挙げられます。

なかでも近年はパンを好むシニア層の増加や夕食用に購入する家庭が増えており、こうした状況も市場を拡大させてきた要因の一つとなっています。

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、外食を控える消費者が増加。家庭内で食事を取る機会が増えたことで、食パンやロールパン等の食事系パンの需要が伸びました。一方、給食用や業務用のパンにおいては苦戦を強いられることになりました。

一方、2021年は新型コロナによる巣ごもり需要の反動減が見られ、家庭用の食パンやロールパンは前年から減少しました。総菜パンなどスーパーやコンビニでのパンの売上が堅調でした。また、業務用においてはハンバーガーショップ用のバンズなど、一部で前年を上回っています。

2022年に入り、パン業界はコストの上昇によって厳しい事業環境に置かれています。小麦粉を含む原材料費、エネルギー価格や梱包材、物流費などのコストが高騰し大きな負担となっています。各社は商品価格の値上げを行っていますが、消費者の節約志向が高まっている状況です。

パン業界 売上トップ5(2021-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 山崎製パン 9,805
2 フジパングループ本社 2,689
3 敷島製パン 1,543
4 第一屋製パン 238
5 日糧製パン 171

※は食品事業の売上高。2021-2022年のパン業界の売上高ランキングでは、山崎製パンが独走状態です。2位以下を大きく引き離し、パン業界をけん引しています。

2021-2022年の各社の業績は、山崎パンが前年比3.0%増、フジパングループ本社が同1.4%増、敷島製パンが0.3%増、第一屋製パンが0.8%減、日糧製パンが1.2%増、コモが±0%でした。5社中5社が横ばいとなりました。

コロナ禍で『食パン』好調 ヤマザキ「ロイヤルブレッド」伸長

食パンにバターを塗っている様子

パン業界では新型コロナウイルスによる感染拡大の影響で、商品の売れ方に変化が見られています。テレワークの普及などを背景にコンビニや飲食店の利用者が減り、今まで好調に推移していた菓子パンや惣菜パン、業務用パンの需要が低迷しています。

一方、食パンの需要は増加しています。在宅時間が長くなり調理時間に余裕ができたことや、家庭で食事を摂る機会が増えたことで、惣菜パンから食パンへとニーズが流れています。

実際、業界首位である山崎製パンの2020年12月期決算を見ますと、主力の「ロイヤルブレッド」の売れ行きは、前年同期比で2ケタ増を記録しています。2021年は在宅需要の反動減が多く見られるなかで、「ロイヤルブレッド」は順調に売上を伸ばしました。

ロイヤルブレッド 山崎製パン

ヤマザキ独自の技術と製法で焼き上げる山崎製パンの「ロイヤルブレッド)」

上記の食パンは、山崎製パンがリニューアルや開発に注力している商品です。なかでも主力の「ロイヤルブレッド」は”品質とおいしさ”にこだわった商品です。良質な上級小麦粉とバターを使用し、ヤマザキ独自の技術と製法で焼き上げた食パンで、2012年の発売以降、売上は右肩上がりで推移、2022年には10周年を迎えました。

さらに、山崎製パンでは年間1,000アイテム以上の新商品の開発を行っています。原料の向上を図り、商品のリニューアルや新商品の開発で、高付加価値商品を市場に投入しています。

消費者の健康を応援する商品開発にも力を入れており、食パンの「超芳醇」シリーズに減塩となる「超芳醇 塩分50%カット」の展開を始めました。また、乳酸菌や玄米や12種類の穀物を使用した食パンも展開しています。さらに、近年の健康志向を背景にトランス脂肪酸の含有量を表示する動きも進みつつあります。

パン業界 ランキング&シェア

パン業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することでパン市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

パン業界 売上高&シェアランキング(2021年-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 山崎製パン 9,805
2 フジパングループ本社 2,689
3 敷島製パン 1,543
4 第一屋製パン 238
5 日糧製パン 171
6 コモ 65

※シェアとはパン業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することでパン市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれパン業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

関連リンク

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パン業界 対象企業一覧

山崎製パン、フジパングループ本社、敷島製パン、第一屋製パン、日糧製パン、コモの計6社

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