紳士服業界の動向や現状、ランキングや売上高シェアなどを掲載しています。データは2022-2023年。過去の紳士服業界の市場規模の推移や大手紳士服会社4社の売上高の推移、スーツを取り巻く消費者のトレンドや今後の各社の取り組みなどを詳しく解説しています。
業界規模
0.3兆円
成長率
-3.0%
利益率
0.3%
平均年収
513万円
紳士服業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2020年まで大幅に減少していましたが、2021年、2022年には若干の反発を見せています。
下のグラフは、紳士服大手4社の売上高の推移を示したものです。
紳士服大手4社の売上高の推移(出所:各社決算資料、グラフは業界動向サーチが作成)
2022年の紳士服業界の主要企業4社の売上高は、青山商事が前年比11.6%増の1,263億円、AOKI HDが同6.7%増の945億円、コナカが7.9%増の631億円、はるやまHDが0.5%増の368億円でした。
2022年は4社中4社が増収を記録し、コロナ前の2019年の水準と比べると依然として8割ほどにまで回復しています。
紳士服業界を含むアパレル市場全体の規模は縮小傾向にあります。少子高齢化や根強い節約志向、シェアリング化などを背景に、バブル期には10数兆円もあったアパレル市場は2020年には7兆5千億円まで縮小しています。このような中長期的な縮小トレンドは今後も続くものと見られます。
紳士服業界においても、少子化によるスーツ着用人口の減少や低価格志向、オフィスウェアのカジュアル化に伴う『スーツ離れ』の加速で、スーツ販売着数は年々減少してきました。さらに、コロナによるテレワークの普及が追い打ちをかけています。
こうした厳しい環境の中、紳士服各社は低価格のオーダースーツ市場へ参入しています。オーダースーツは機械技術の向上によって以前よりも低価格、短納期での生産が可能になりました。1着2万円台から5万台、メーカーによっては200種類以上の生地から選択可能など、既製品スーツと大差ない価格と品質の良さで、オーダースーツ需要は増加傾向にあります。加えて店側にとっても在庫を持たずに済むメリットがあります。
業界首位の青山商事は、2016年展開の「ユニバーサルランゲージ・メジャー」に次ぐ、2つ目のブランド『クオリティーオーダースーツSHITATE』を2019年10月に立ち上げました。洋服の青山とザ・スーツカンパニーの店舗内に導入し、メジャーブランドよりも価格を1万円下げての展開で、既製スーツ着用や若者などの層をターゲットにしています。
AOKIホールディングスは、全国のAOKIとオリヒカの店舗にて『パーソナルオーダースーツ』を展開。2019年にはECでの受付を開始、実店舗で採寸済み後は、ネットやアプリでの購入が可能となりました。
コナカでは、実店舗とECやアプリの融合店『ディファレンス』を展開、新ブランドを立ち上げています。その他、はるやまやHDやオンワードグループ、三陽商会などがオーダースーツ市場へ参入、各社独自のサービスを展開しています。
一方、オーダースーツの相次ぐ参入で企業間の競争も激化し、撤退を余儀なくされた企業も出ています。AOKIホールディングスは、2020年2月にオーダースーツ専門店「AOKI TOKYO」の閉店を発表。2019年2月より銀座、新宿、池袋で展開していましたが、わずか1年での撤退、事業を終了することとなりました。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | |
1 | 青山商事 ※ | 1,263 | |
2 | AOKIホールディングス ※ | 945 | |
3 | コナカ | 631 | |
4 | はるやまHD | 368 |
※は紳士服関連事業の売上高。2022-2023年の紳士服業界の売上高ランキングを見ますと、首位は青山商事、2位にAOKI、コナカ、はるやまと続きます。
2022-2023年は大手紳士服チェーン4社中4社が増収となりました。大幅に落ち込んだ2020年から回復傾向にあります。
中長期的なスーツ需要の減少に加え、コロナ禍のテレワークの普及により紳士服業界は大きな打撃を受けました。このような環境の中、紳士服大手各社は事業の多角化や差別化を急ピッチで進めています。
紳士服首位の青山商事は、レンタルサービスを拡充し、モーニングコートやタキシードに加え、紳士服専門店では初となる子供の受験や入学式用のレディースフォーマルスーツのレンタルも開始しました。
カジュアル事業では「リーバイスストア」を展開し、その他にもカード、印刷・メディア、雑貨、フードサービス事業などを展開しています。なかでも、近年はフードサービス事業の業績が伸びており、『焼肉きんぐ』や『ゆず庵』をフランチャイズ店舗として展開しています。
紳士服業界の中でいち早く角化経営を進めたAOKIホールディングスは、ファッション事業以外の事業比率が45%を占めています。結婚式場や披露宴会場を運営するアニヴェルセル・ブライダル事業、カラオケやネットカフェ、フィットネスクラブなどの「快活CULB」や「FiIT24」などを運営のエンターテイメント事業を展開しています。
コナカにおいては、ファッション事業の売上比率が96%を占めていますが、フランチャイズ事業としてフード事業や教育事業などを展開しています。フード事業では「かつや」や「からやま」、「大衆食堂 半田屋」を、教育事業では英語で預かる学童保育「Kids Duo」、アミューズメント施設の「スペースクリエイト自遊空間」の経営を行っています。2020年5月にはサマンサタバサジャパンリミテッドの子会社化を発表しました。
大手3社が多角化経営に乗り出す中、はるやまHDはスーツ市場を強化。『健康』をテーマに他社との差別化を図っています。完全ノーアイロン「i Shirt(アイシャツ) 」は、販売開始から累計販売枚数500万枚を突破しました(2020年3月現在)。衣服圧を軽減した「ストレス対策スーツ」やカロリー消費サポート「スラテクノスーツ」など、タニタやファイテンなどと次々と共同開発を行い、紳士服市場に注力しています。
紳士服業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで紳士服市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | 青山商事 ※ | 1,263 | ||
2 | AOKIホールディングス ※ | 945 | ||
3 | コナカ | 631 | ||
4 | はるやまHD | 368 |
※青山商事はビジネスウェア事業、AOKIホールディングスはファッション事業の売上高です。シェアとは紳士服業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで紳士服市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ紳士服業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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