AI業界の動向や現状、ランキングなどを分析

AIとロボットのイメージ

AI(人工知能)業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを研究しています。データは2022-2023年。AI業界の業界規模の推移をはじめ、大手4社の売上高グラフ、AIの基本性能と最新のビジネス事例、今後の動向などを解説しています。

AI業界(2022-2023年)

AI業界の推移と基本情報

業界規模

0.1兆円

成長率

17.7

利益率

-3.3

平均年収

690万円

  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年
  • 22年

AI業界の過去の業界規模の推移を見ますと、増加傾向にあります。

AI業界の動向と現状(2022-2023年)

2022年は30%超の成長 拡大を続けるAI業界

IDC Japanの調査によると、2022年の国内のAIシステム市場は前年比35.5%増の3,883億円でした。対前年比で30%を超える、高い伸びを記録しています。

BPO大手4社の売上高の推移(出所:各社有価証券報告書、グラフは業界動向サーチが作成)

上のグラフは、AI大手4社の売上高(2016年を100とした場合)の推移を示したものです。PKSHAブレインパッドAppier Groupなどが非常に高い伸び率となっています。

PKSHAは深層学習などのAIアルゴリズムを開発・提供し、AIチャットボットにおいては金融系を中心に導入され国内シェア№1を誇ります。いずれも黎明期の企業なので、伸び率は高くなる傾向にありますが、いずれの会社も驚異的な成長が見られます。

直近のAI業界の動向を振り返りますと、2021年のAI業界は、前年比2割を超える高い伸びを記録しました。2020年から2021年かけて新型コロナの影響を受け他の業界は厳しい状況の中、AI業界は出資額も減ることなく、引き続き拡大傾向にあります。

2022-2023年のAI業界は、前年から引き続き新規顧客が増加し、既存顧客ともに売上高は伸長しています。コロナ禍では企業や自治体のDX化が進むとともにAIの導入も進展しており、業界には追い風に働いています。

また、2022年10月には米OpenAIが高度な対話が可能な生成AI「ChatGPT」を公開。世界中で活用が広まったほか、「ChatGPT」へ対抗し相次いで企業が開発に乗り出しています。マイクロソフトは自社サービスにChatGPTを組込み、グーグルはAI「Bard」を公開、国内でも日本語に対応した生成AIの開発が活発化しています。

AI業界 売上トップ5(2022-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 Appier Group 194
2 PKSHA Technology 115
3 ブレインパッド 97
4 Preferred Networks 76
5 FRONTEO 72

2022-2023年のAI業界の売上高ランキングを見ますと、上位にはAppier GroupPKSHAブレインパッドPreferred Networks、FRONTEOなどが並びます。ランクインした企業はいずれも売上規模が低く、各社混戦となり入れ替わりが激しい状況です。

Appier Groupは、AIによる販売促進が主体で、主にSaaS(クラウド上で動くソフト)上でサービスを提供しています。ブレインパッドは、AIを活用した企業データ分析をメインに、企業の経営改善を支援しています。Preferred Networksは、深層学習(ディープラーニング)やロボティクス分野に強みを持ち、トヨタやファナックなど大手企業からも出資を受けています。FRONTEOは、AIによる自然言語解析を用いた米国民事訴訟のデータ収集業務を中心に、医療、創薬支援、電子カルテ分析などを手掛けます。

いずれもスタートアップから間もない黎明期の企業が多く、ランキングは混戦状態です。今後の動向次第では、ランキングの大幅な変動も考えられます。

AIはどのように活用されるのか? 最新のビジネス事例をご紹介

スマホとタブレットとAI

「AIのことはざっくり分かるけど、具体的にどう活用すればいいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。実はこのAIをいかにビジネスで活用するかが重要なポイントになります。日本のAI化が進まないのもこの点がネックだからです。そこでここではAIの持つ基本性質を踏まえ、具体的にビジネスでどのように活用されているのかをご紹介していきます。

AIには得意とする基本性質があり、これらの性質を利用・応用してサービスは展開されます。AIが持っている主な基本性質は以下の通りです。

「自然言語解析」は文章や言葉を認識し、分類や抽出、提案、会話を行います。「画像/映像解析」は、画像/映像の認識・検知、対象物の発見などを行います。「予測」は過去の行動履歴からの売上予測などに、「レコメンド」は過去の行動履歴によるおすすめ商品の提案などが可能です。「価値の発見」は膨大なビッグデータから人では認知できない新たな価値を発見します。「異常検知」は機器の異常や故障などを通知・予知します。

これら基本性能は単独または複数の組み合わせでサービスへと転換されます。以下、各社の具体例を見ていきましょう。

FRONTEOは、AIの自然言語解析を用いて、米国の民事訴訟で必要となる電子データを特定するサービスを展開しています。基本性能の「自然言語解析)」と「価値の発見」に該当します。膨大な資料の中から文章を解析し、目当てのデータを見つけるのはAIにとっては得意分野です。

ブレインパッドは、人工知能を用いた将来の需要予測や売上予測などのサービスを展開しています。基本性能の「予測」に該当します。過去の推移をはじめ、需要のマクロトレンドや地域・商品ごとの季節性、顧客の動向など様々な要素から将来を予測します。

ALBERTはAIによる画像認識サービス「タクミノメ」を展開しています。基本性能では「画像/映像解析」に分類されます。AIの画像認識サービスを活用することで、製造業での不良品の検知や除外、医療分野でのCT・レントゲン等の画像診断の効率化、建築物の外観検査などに利用できます。

それぞれ、強みや弱みがありますが多くの企業が上記のサービスを複合的に展開しています。AIの持つ性能を組み合わせ、いかにサービスに転嫁できるかが今後の課題と言えるでしょう。

今後のAI業界は? 生成AIの登場、大手企業が導入に動く

人工知能のボタン

IDC Japanの調査によると、2023年の国内AIシステム市場は4,930億円、2027年には1兆1,034億円になると予測しています。5年間で市場規模が約2.2倍になる見込みです。

AI業界は現在に至るまで、いくつかの「熱狂」と「落胆」を繰り返してきました。2012年には「深層学習(ディープラーニング)」が登場し、第3次AIブームが到来しました。黎明期にも関わらず、AIに対する過度の期待と熱狂が高まりましたが、多大な開発コストに対してリターンが得られないなど、熱狂はやがて幻想へと変貌しました。

その後は過度の熱狂もなく、幅広い産業で実証実験が繰り返され、ようやく、実験から実装段階へと移りつつあります。そして、2022年10月「ChatGPT」の登場をきっかけに第4次AIブームに突入、国内外の企業が生成AIの開発、導入に乗り出しています。

現在の日本は、生産年齢人口が減少傾向にあり、生産性の向上が喫緊の課題です。人が担っていた業務の一部をAIが補完することで、業務の高度化や効率化を実現することができます。AIの普及は、今後の日本経済の発展に欠かせないと言えるでしょう。

ビッグデータの蓄積と機械学習の精度向上により、AIの技術は日々進歩しています。一般的に、AIビジネスは月額課金などストック型タイプが多く、継続的な成長も見込めます。近年ではDXの流れが追い風ではありますが、中小企業での導入はほんの一握りとされており、AIの本格的な普及はこれからになるでしょう。

AI業界 ランキング&シェア

AI業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することでAI市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

AI業界 売上高&シェアランキング(2022年-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 Appier Group 194
2 PKSHA Technology 115
3 ブレインパッド 97
4 Preferred Networks 76
5 FRONTEO 72
6 ダブルスタンダード 69
7 エクサウィザーズ 55
8 アドバンスト・メディア 51
9 AI inside 38
10 ユーザーローカル 32

※シェアとはAI業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することでAI市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれAI業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

関連リンク

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AI業界 対象企業一覧

Appier Group、PKSHA Technology、ブレインパッド、Preferred Networks、FRONTEO、ダブルスタンダード、エクサウィザーズ、アドバンスト・メディア、AIinside、ユーザーローカル、メタリアル、HEROZ、ニューラルポケット、TDSE、サイバーセキュリティクラウド、モルフォ、データセクション、ヘッドウォータース、シルバーエッグ・テクノロジー、ブレインズテクノロジー、エーアイ、フィーチャの計22社

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