ネット広告業界の動向や現状、ランキング、シェアなどを研究しています。データは2021-2022年。過去のインターネット広告業界の市場規模の推移をはじめ、ネット広告とテレビや新聞などの既存広告の売上高比較、ネット広告のメリットや各社の取り組みなどを詳しく解説しています。
業界規模
0.5兆円
成長率
0.7%
利益率
-5.2%
平均年収
579万円
ネット広告業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2019年までは増加傾向にありましたが、2021年から2022年は横ばいで推移しています。
国内の広告費は、マスメディア4媒体(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)に、プロモーションメディア(屋外広告、折り込みチラシ、交通系)、インターネット広告で構成されており、近年はインターネット広告の成長に注目が集まっています。
ネット広告と既存4媒体の広告売上高の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)
経済産業省によると、2022年のネット広告費は前年比5.1%増の1兆4,420億円で、前年に比べて699億円の増加となりました。すでに2021年にはネット広告がテレビを上回り、2022年にはその差をさらに広げ、2年連続で媒体別売上高で首位となっています。
2022年の日本の総広告費においては前年比1.2%減の5兆6,619億円でした。媒体別では、「ネット広告」が前年比5.1%増、SP・PRが同8.3%増、テレビが1.2%減、新聞が6.8%減、雑誌が8.7%減でした。
ネット利用者の増加に伴う業界の拡大、スマホやPCなどの普及を背景にインターネット広告は増加傾向にあります。特に、直近の2020年と2021年には伸び率が激化しており、コロナ禍でデジタルシフトが大きく進みました。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | |
1 | サイバーエージェント ※ | 3,020 | |
2 | デジタルHD ※ | 757 | |
3 | GMOアドパートナーズ | 345 | |
4 | バリューコマース | 335 | |
5 | ファンコミュニケーションズ | 267 |
※はネット広告関連の部門売上高。2021-2022年のネット広告業界の動向を見ますと、首位にサイバーエージェント、デジタルHDと続きます。
2021-2022年はネット広告大手5社中、2社が増加、2社が横ばい、1社が下落となりました。
既存の広告が低迷し、ネット広告が拡大していく中、広告主がインターネットへと広告をシフトする動きが見えます。
従来の検索連動広告やバナー広告、コンテンツ広告に加え、「YouTube」などの動画広告、「インスタグラム」などのSNS広告なども普及しています。
ネット広告が拡大している要因には、効果測定の容易さやターゲットの絞り込みやすさなどが挙げられます。デジタルによる緻密な分析から、従来のメディアよりも高い費用対効果を期待することができます。こうした動向により、テレビや新聞などの既存メディアに頼ってきた大手広告主は、ネット広告へと移行しています。
従来のテレビ、新聞、雑誌の広告は、不特定多数(特定分野でも大づかみの多数)の人に対し宣伝を行う手法です。多くの人に見てもらえるため、認知度を高めるメリットはありますが、広告効果については曖昧なものでした。
一方で、ネット広告は細かいターゲティングができるのがメリットです。広告の表示やクリック回数、さらにサイト誘導後の閲覧者の行動、性別や年齢もリアルタイムで詳細に分析することができます。また、リスティング広告やRTB広告により閲覧者の興味・関心に合わせた広告配信が可能となるため、ターゲットの絞り込みも容易となります。
さらには、広告費もテレビや新聞などに比べ安価で、まとまった資金が用意できない中小企業などでも活用できます。動画やバナー広告など配信方法は多種多様で、特定のターゲットへピンポイントでのアプローチが可能となり、大手広告主に引けを足らない宣伝を行うことができます。
需要の拡大が見込めるネット広告業界では、業界内での競争が激化しており、事業再編の動きが活発化しています。
広告業界首位の電通は、2018年10月ネット広告大手の「セプテーニHD」と資本提携、並びに「VOYAGE GROUP」と「サイバーコミュニケーション」との経営統合を発表。2022年1月には、セプテーニ・HDを買収し、子会社化しました。この買収により電通はネット広告分野でサイバーエージェントを抜き、首位に出る見通しです。
博報堂は2019年2月に「D.A.コンソーシアムHD」を完全子会社化、同年11月には「アドウェイズ」との資本業務提携を発表。2020年には台湾の広告大手「GROWWW Media」を子会社化、並びにインドの「AdGlobal360」を買収しています。2022年4月には中小企業向けネット広告に強みを持つソウルドアウトを買収しています。
広告業界のガリバーである電通と博報堂は、近年、ネット広告専業の大型買収を次々と進めてきました。ネット広告では後れをとっていた2社ですが、その遅れを穴埋めするかのごとく、買収を加速させています。
広告業界のガリバー2社が動き出したことで、ネット広告業界の再編も大きくと進みました。今後も既存広告からのデジタルシフトは進むと見られ、さらなる再編も予想されます。
ネット広告業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することでネット広告市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | サイバーエージェント ※ | 3,020 | ||
2 | デジタルHD ※ | 757 | ||
3 | GMOアドパートナーズ | 345 | ||
4 | バリューコマース | 335 | ||
5 | ファンコミュニケーションズ | 267 | ||
6 | インタースペース ※ | 214 | ||
7 | アイモバイル | 178 | ||
8 | ジーニー | 144 | ||
9 | フルスピード ※ | 143 | ||
10 | SMN | 133 |
※サイバーエージェントはインターネット広告事業、デジタルHDは広告事業、インタースペースはインターネット広告事業、フルスピードはインターネットマーケティング事業+アドテクノロジー事業の売上高です。シェアとはネット広告業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することでネット広告市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれネット広告業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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サイバーエージェント、デジタルHD、アドウェイズ、GMOアドパートナーズ、ファンコミュニケーションズ、バリューコマース、インタースペース、フルスピード、アイモバイル、ジーニー、レントラックス、SMN、イーエムネットジャパン、ネットマーケティング、ユナイテッド、ログリー、GMOTECH、Fringe81の計18社
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ネット広告 売上高ランキング(2021-22)
企業名 | 売上高 | ||
1 | サイバーエージェント | 3,020 | |
2 | デジタルHD | 757 | |
3 | GMOアドパートナーズ | 345 | |
4 | バリューコマース | 335 | |
5 | ファンコミュニケーションズ | 267 |