広告業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを分析しています。広告業界の過去の業界規模の推移をはじめ、広告売上高の推移と媒体別売上高、直近の動向と再編の動き、今後に向けた海外展開の状況などを解説しています。
業界規模
6.9兆円
成長率
0.5%
利益率
1.6%
平均年収
608万円
広告業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2018年から2020年にかけて減少傾向にありましたが、2021年には増加に転じています。
経済産業省の特定サービス産業動態調査(2023年2月公表)によると、2022年の広告費の合計は前年比1.2%減の5兆6,619億円でした。
広告の売上高とテレビ、ネット広告の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)
広告の売上高の推移グラフを見ますと、2020年まで緩やかに減少していた「全広告の売上高」は2021年に増加に転じています。2021年はネット広告が初めてテレビ広告を抜き、媒体別売上高で首位となりました。2022年の売上高を媒体別で見ますと、テレビ広告は減少、ネット広告は引き続き増加したことで、2年連続でネット広告がテレビを上回りました。
2022年の媒体別の広告売上高は、雑誌は-8.7%、新聞は-6.8%、ラジオは-4.5%、テレビは-1.2%、SP・PRは+8.3%、インターネット広告は+5.1%でした。2022年も前年から引き続き「インターネット広告」や「SP・PR広告」で高い伸びが見られました。
広告業界は景気の動向に敏感に左右される業界です。企業は景気や業績が悪くなるとマーケティング費用である「広告費」を削る動きに出ます。2020年はコロナにより経済活動が停滞していた影響もあり、広告業界は大きな打撃を受けました。一方で、2021年には一部で経済再開の動きも見られたことから、広告費の売上高は大きく回復しました。
近年はインターネットやスマートフォンの普及によりインターネット広告は伸びる一方で、テレビや新聞、雑誌に代表される従来の広告媒体は減少傾向にあります。
背景にはテレビ離れや視聴率の低迷、雑誌販売の不振や新聞購読者数の減少など複数の要因がありますが、日本の広告費の主役がインターネットへと本格的に変わる動きが見られます。近年ではスマホの通信環境の向上に伴い、「Youtube」などの動画広告も成長しており、この流れは止まらないと思われます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | |
1 | 電通グループ | 52,564 | |
2 | 博報堂DYHD | 8,950 | |
3 | サイバーエージェント ※ | 3,020 | |
4 | デジタルHD | 985 | |
5 | 東急 ※ | 529 |
※は広告関連の部門売上高。2021-2022年の日本の広告業界の売上高ランキングを見ますと、首位が電通、2位が博報堂、サイバーエージェントと続きます。電通や博報堂の売上高が大きく、広告業界で強い影響力を持っているのが分かります。
2021-2022年は広告会社上位5社中4社が増加、1社が減少でした。2021-2022年は昨年から一転して、売上高を伸ばす企業が多い1年でした。
広告業界は「紙媒体」から「デジタル」への移行が顕著に表れています。こうした時代の流れを受けて広告会社ではネット広告事業に注力、デジタル分野を収益の柱として業界再編を進めています。
これまでのデジタル広告はスマートフォン向けアプリやゲーム、ネット記事への出稿が中心でした。近年はSNSなどのYouTubeやインスタグラムなどの普及に伴い、動画広告需要も増え、加えてデジタルサイネージ(デジタル看板)なども浸透しつつあります。
大手広告会社はネット広告の強化を進めており、業界再編や業務提携を加速させています
2022年1月に電通はネット専業大手のセプテーニ・HDを買収しました。これにより、電通のインターネット広告の取扱額はサイバーエージェントを上回り、国内首位になる見通しです。
2022年4月に博報堂DY HDはデジタルHD傘下のソウルドアウトを買収しました。ソウルドアウトは中小企業向けのネット広告に強みを持っており、伸びしろの高い地方企業のネット広告の取り込みを狙います。
上位2社による相次ぐ買収は、業界のデジタルシフトへの動きと焦りを象徴しています。既存の広告代理店の多くは、デジタル化への対応に遅れており、巨額の買収をすることでその穴埋めをしてきました。今後もこうした傾向は続くと見られ、業界全体の再編がさらに進む可能性があります。
デジタルシフトが進む昨今の広告業界ですが、中長期的には国内市場は頭打ちを迎える可能性があります。今後、さらなる成長を目指すには海外での売上が必要となり、広告各社は海外での開拓を進めています。
業界首位の電通は海外企業の積極的なM&Aで拡充し、米国、欧州、アジア、中東、アフリカなど世界145以上の国と地域に進出しています。電通の海外事業の売上高は国内を上回り、海外売上高比率は6割を超えます。デジタル領域の成長が著しい東南アジア市場の強化や英国での事業拡大を進めています。
業界2位の博報堂DY HDは、米国、欧州、中国、アジアで展開、中でもマレーシアやインドネシア、インドなどのアジアを中心とした新興国地域での事業を強化しています。
サイバーエージェントは、米国、中国、韓国、台湾、シンガポール、ベトナムに拠点を置き、インターネット事業のグローバル展開を、アサツーディ・ケイは、ニューヨークやアムステルダム、中国、その他アジアなどで展開しています。
国内ではデジタル化によるネット広告の台頭が見られますが、大手各社はその先も見据え、海外での事業展開を進めています。世界では今後も継続的に人口が増加する見込みで、成長著しいアジアなどの需要を取り込みたいところです。
広告業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで広告市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | 電通グループ | 52,564 | ||
2 | 博報堂DYHD | 8,950 | ||
3 | サイバーエージェント ※ | 3,020 | ||
4 | デジタルHD | 985 | ||
5 | 東急 ※ | 529 | ||
6 | ジェイアール東日本企画 | 431 | ||
7 | ホープ | 356 | ||
8 | GMOアドパートナーズ | 345 | ||
9 | バリューコマース | 335 | ||
10 | ファンコミュニケーションズ | 267 |
※サイバーエージェントはインターネット広告事業、東急は東急エージェンシー事業の売上高です。シェアとは広告業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで広告市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ広告業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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広告 売上高ランキング(2021-22)
企業名 | 売上高 | ||
1 | 電通グループ | 52,564 | |
2 | 博報堂DYHD | 8,950 | |
3 | サイバーエージェント | 3,020 | |
4 | デジタルHD | 985 | |
5 | 東急 | 529 |