出版業界の現状や動向、ランキングなど

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出版業界の現状や動向、ランキング&シェアなどを研究しています。データは2021-2022年。出版業界の過去の市場規模の推移をはじめ、出版大手5社の売上高の推移、紙媒体や電子版の最新動向、大手各社が手掛けている事業などを詳しく解説しています。

出版業界(2021-2022年)

出版業界の推移と基本情報

業界規模

1.0兆円

成長率

4.1

利益率

2.1

平均年収

606万円

  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年

出版業界の過去の業界規模の推移を見ますと、緩やかな上昇傾向にあります。

出版業界の動向と現状(2021-2022年)

2021年の出版市場は3.6%増 3年連続のプラスに

全国出版協会・出版科学研究所によると2021年の紙と電子を合算した出版市場は、前年比3.6%増の1兆6,742億円と3年連続のプラスでした。

内訳を見ますと、電子出版が18.6%増、紙の書籍も2.1%増と15年ぶりにプラスに転じています。2021年はコロナによる巣ごもり需要が追い風となり、電子・紙のいずれの出版物も好調に推移しています。

出版大手5社の売上高の推移(出所:各社決算資料、グラフは業界動向サーチが作成)

続いて出版大手の動向を見ていきましょう。上のグラフは2012年から2021年までの大手出版会社5社の売上高の推移です。過去の推移を見ますと、カドカワや講談社、集英社は直近で増加傾向にあります。

カドカワは海外事業や電子書籍の業績が好調でした。講談社はデジタル関連や版権の収入が向上し、収益に寄与しました。集英社は『呪術廻戦』や『SPY×FAMILY』などのコミックが大ヒットし、増収となりました。

2021-2022年は新型コロナによる「巣ごもり特需」は一服感を見せるものの、昨年に続き電子コミックが好調に推移しました。「紙」の不調を「電子コミック」で補うという図式が続いています。

出版業界 売上トップ5(2021-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 集英社 1,951
2 講談社 1,707
3 KADOKAWA 1,282
4 小学館 1,057
5 ゼンリン 590

※は出版関連の部門売上高。2021-2022年の出版業界の売上高ランキングを見ますと、首位が集英社、2位が講談社、KADOKAWA、小学館と続きます。ランキング上位にはコミック系を強みとする出版社が目立ちます。

2021-2022年の出版会社上位5社中、2社が増加、3社が横ばいとなりました。

紙媒体は苦戦、電子版は19%増の伸長 明暗分かれる

明暗が分かれるイメージ

近年、好調に推移している出版業界ですが、紙媒体の書籍や雑誌は苦戦しています。

全国出版協会・出版科学研究所によると、2021年の紙の出版物の推定販売金額は前年比1.3%減の1兆2,080億円でした。同統計で書籍が2.1%の増加、雑誌が5.4%の減少となっており、雑誌の減少が大きいことが分かります。

紙媒体の雑誌の発行部数はこの5年で3割も減少しました。販売不振の煽りを受けて休刊も相次いでいます。「Ziper」や「メンズジョーカー」などのファッション誌、「月刊YOU」や「花とゆめ」などのコミック誌、ビジネスやデザイン誌の「日経アソシエ」や「MdN」、また長年続いていた「アサヒカメラ」も96年の幕を閉じる結果となりました。

一方、2021年の電子媒体の販売金額は前年比18.9%増の4,662億円で、紙媒体と比べて大幅な増加を記録しています。一時、横行していた海賊版サイトの閉鎖により、電子コミックの収益性が回復傾向にあります。

現在、電子媒体市場は拡大傾向にありますが、紙媒体と比べると依然として規模が小さい状況です。紙媒体の不振を電子媒体が完全にカバーするには、もう少し時間がかかりそうです。

2023年の出版業界のニュース

2023年の出版業界の主なニュースをピックアップしてまとめました。最近の出版業界の動向を把握するのにお役立て下さい。

紙の依存度を減らし、新たなビジネスモデルを構築へ

出版物とデジタル

近年、電子コミックの伸びが堅調に見れますが、紙の雑誌系を主としている媒体は苦戦しています。

宝島社や集英社などが手掛ける女性ファッション誌の販促では、ブランド化粧品のサンプルやバッグなど豪華な付録をアピール。さらに近年では付録違いやコンビニ限定などの企画、女性が持ち歩きやすいバックサイズ版なども展開しており、サイズを小さくし軽量化するなどの工夫を凝らしています。

さらに、出版各社はネットや映像との融合、デジタルメディアの強化、電子書籍の展開など、新たなビジネスモデルの構築を模索しています。

昭文社は、旅行者により旅を楽しんでもらう新たな事業『旅ナカ』サービスを強化しています。海外旅行の予約事業やグアムにマリンアクティビティ会社設立、ハワイとグアムには専用ラウンジをオープンし、アジアや沖縄での展開を予定しています。

講談社では、企業や団体が販売促進や広告宣伝に取り組むためのサイト『C-station』を展開。2020年3月にはソフトバンクと協業、講談社運営施設「ミクサライブ東京」で、5G活用の新たなLIVEエンターテインメントコンテンツを発表。一方、集英社は2019年、DeNAと共同会社を設立し、エンターテインメント事業の開拓に乗り出しています。

出版業界 ランキング&シェア

出版業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで出版市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

出版業界 売上高&シェアランキング(2021年-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 集英社 1,951
2 講談社 1,707
3 KADOKAWA 1,282
4 小学館 1,057
5 ゼンリン 590
6 日経BP 403
7 東京書籍 293
8 学研HD 267
9 ぎょうせい 213
10 文藝春秋 207

※KADOKAWAは出版事業、学研HDは教育コンテンツ事業の売上高です。シェアとは出版業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで出版市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ出版業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

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出版業界 対象企業一覧

集英社、講談社、KADOKAWA、小学館、ゼンリン、日経BP、東京書籍、学研HD、ぎょうせい、文藝春秋、ベネッセHD、インプレスHD、新学社、ダイヤモンド社、文溪堂、サイネックス、秋田書店、白泉社、マガジンハウス、東洋経済新報社、朝日新聞出版、キャリアデザインセンター、医学書院、新日本法規出版、ひかりのくに、アルファポリス、昭文社HD、SEHD・アンド・インキュベー…、実教出版、南江堂などの計44社

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