新聞業界の動向や現状、ランキングなどを分析しています。新聞業界の過去の業界規模の推移をはじめ、大手4社の売上高の推移グラフ、新聞の発行部数や広告の動向と業界が持つ課題などを解説しています。
業界規模
1.4兆円
成長率
-7.1%
利益率
4.0%
平均年収
933万円
新聞業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2016年から2021年にかけて減少傾向にあります。
以下のグラフは、新聞大手4社の売上高の推移を示したものです。
新聞大手4社の売上高の推移(出所:各社公表資料、グラフは業界動向サーチが作成)
大手新聞社の直近の売上高推移を見ますと、日経新聞は横ばいで推移しているのに対し、朝日、読売、毎日の3社は下落傾向にあります。とくにこの3社は直近の2年間で減少が加速しており注意が必要です。日経新聞は有料電子版が紙媒体の減少を支えており、他社との業績に明暗が分かれています。
日本新聞協会によると、2022年10月時点の日刊紙の発行部数は3,084万部となり、前年から218万部の減少となりました。新聞の発行部数は減少傾向で、2008年頃から年間約100万部の減少がみられます。2018年以降は4年連続で200万部超の減少となり、非常に厳しい状況が続いています。さらに、毎日新聞は2023年4月より東海3県での夕刊休止が決まりました。
紙媒体の新聞が大幅に減少する中、新聞各社はデジタルへと大きくシフトしています。デジタルシフトがうまくいっているのは日本経済新聞社で、電子版の有料会員数は83万人、本誌と電子版購読数合計は256万人でした(2022年7月1日現在)。日経の電子版は20代が堅調に推移しており、女性の利用者も増えています。
厳しい状況が続いている新聞業界ですが、地方紙にも同様の動きが見られます。群馬県で唯一の地方紙である上毛新聞は、2016年から2017年の発行部数は30.1万部と維持していましたが、2020年現在では30万部を割り込んでいます。山梨を中心に発行する山梨日日新聞、鳥取県を中心に展開する日本海新聞なども同じく部数を維持していましたが、同様に4~6%の落ち込みを記録しています。
大手新聞社が苦戦する一方で、一部の地方紙は地域に根差したローカルなニュースで差別化を図り、需要の堅調さをみせていましたが、業績低迷に伴う人員の削減、購読者の高齢化などを背景に減少に歯止めがかかりません。
2021-2022年の新聞業界の売上高ランキングを見ますと、首位に日経新聞、朝日新聞、読売Gと続きます。2019年には日経が朝日、読売を抜き首位に浮上しています。
2021-2022年は新聞上位5社中1社が増加、3社が下落、1社が横ばいとなりました。全体としては減少を記録しています。
2023年2月には、経済産業省から2022年の新聞広告費が公表されました。特定サービス産業動態統計調査によると、2022年の新聞広告費は、前年比6.8%減の2,086億円でした。新聞の広告費は10年連続の前年割れを記録しています。今後の新聞の発行部数はさらに減少し、広告収入もさらに減少することが見込まれています。
今後も紙媒体からの収益が見込めないため、デジタル版での収益確保が重要になりますが、デジタルでの広告単価は紙媒体よりも少ないのが現状です。そのため、いかに利用者を増やすかが重要となってきます。
大手新聞社の中でもデジタル化、有料化に成功したのが日本経済新聞社です。大手新聞社が軒並み業績を悪化させる中、日経新聞だけは売上高をキープしています。同社は他社に先駆けて有料版の『日経電子版』を展開し、スマホやPCでいつでも見られる環境をいち早く構築しました。
ネットで無料の情報が手に入る現在において、デジタル有料版への誘導はハードルが高くなります。日経新聞を除く大手新聞社もデジタル化には力を入れていますが、残念ながら思うような結果は出ていません。無料では手に入らない「有益な情報をいかに読者に提供できるか」が肝要で、他メディアとの差別化が重要となります。
新聞業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで新聞市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | 日本経済新聞社 | 3,529 | ||
2 | 朝日新聞社 | 2,724 | ||
3 | 読売グループ本社 | 2,562 | ||
4 | 毎日新聞グループHD | 1,304 | ||
5 | 中日新聞社 | 1,076 | ||
6 | 産業経済新聞社 | 783 | ||
7 | 北海道新聞社 | 403 | ||
8 | 神戸新聞社 | 394 | ||
9 | 西日本新聞社 | 335 | ||
10 | 中国新聞社 | 194 |
※シェアとは新聞業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで新聞市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ新聞業界の詳細ランキングページにジャンプします。
新聞業界を見た人は他にこんなコンテンツも見ています。関連業種の現状や動向、ランキング、シェア等も併せてご覧ください。
日本経済新聞社、読売グループ本社、朝日新聞社、毎日新聞グループHD、中日新聞社、産業経済新聞社、北海道新聞社、神戸新聞社、西日本新聞社、中国新聞社、北國新聞社、河北新報社、信濃毎日新聞、新潟日報社、熊本日日新聞社、山陽新聞社、愛媛新聞社、北日本新聞社、高知新聞社、岩手日報社、上毛新聞社、宮崎日日新聞社、山梨日日新聞社、岐阜新聞社、建通新聞社の計25社
新聞業界の動向や現状、ランキング、シェア等のコンテンツ(2021-2022年)は上記企業の有価証券報告書または公開資料に基づき掲載しております。新聞業界のデータは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。掲載企業に関しましてはできる限り多くの企業を反映させるよう努めていますが、全ての企業を反映したものではありません。あらかじめご了承ください。また、情報に関しましては精査をしておりますが、当サイトの情報を元に発生した諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負うものではありません。重要な判断を伴う情報の収集に関しましては、必ず各企業の有価証券報告書や公開資料にてご確認ください。