テレビ業界の現状や動向、売上高ランキングなどを分析&研究しています。テレビ業界の過去の市場規模の推移や大手メディア5社の売上高グラフ、消費者のメディア利用の状況などを解説しています。
業界規模
2.4兆円
成長率
-0.4%
利益率
3.5%
平均年収
998万円
テレビ業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2020年には大きく減少しましたが、2022年には若干の回復となっています。
下のグラフは、テレビメディア大手5社の売上高の推移を示したものです。(2015年を100とした場合の売上高割合)
テレビメディア大手5社の売上高の推移(各社有価証券報告書、グラフは業界動向サーチが作成)
テレビメディアの売上高は2020年に減少しましたが、2021年には回復、2020年も増加傾向にあります。2022年はテレビ東京、テレビ朝日、TBSの3社が2015年の水準を上回りましたが、日本テレビとフジテレビは下回りました。とくにフジテレビの下落幅は大きく、2022年にも明確な回復は見られませんでした。
続いて、直近の動向です。2022年のテレビ広告売上高が2023年2月に公表されたので見てみましょう。下のグラフはテレビ業界の収益源であるテレビ広告売上高の推移です。経済産業省の特定サービス産業動態調査によると、2022年のテレビ広告業の売上高は、前年比11.4%減の1兆2,949億円でした。
テレビ広告の売上高の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)
グラフの推移を見ますと、2020年はコロナの影響で減少幅が拡大しましたが、2021年はオリンピック開催の影響により4年連続の減少は止まり増加に転じています。一方、2022年のテレビ広告は再び減少に転じ、コロナ前の19年と比較しますと、約89%の水準にまで低下しています。こうしたことからも、長期的にテレビ広告の売上高は2016年をピークに減少傾向にあることが分かります。
一方で、2021年にはインターネット広告が初めてテレビ広告を抜きました。2022年のインターネット広告は前年比5.1%の増加を記録、テレビ広告とは1,471億円の差をつけインターネット広告が2年連続で首位となりました。広告の主軸がテレビからネットにシフトしており、テレビ業界にとっては厳しい状況となります。
近年では、スマートフォンや高速通信環境の普及で「YouTube」や「Netflix」などの動画配信サイトが急速に浸透しました。若年層をはじめ、近年では50代や60代の中高年もネットへと移行しつつあります。こうした動向を受け、スポンサー企業は広告費をテレビからインターネットネットへと移行させており、テレビ業界の広告収入の流出が止まりません。
このような傾向は今後も続くものと見られ、テレビ業界にとっては深刻な問題となっています
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | |
1 | フジ・メディア・HD | 5,356 | |
2 | 日本テレビHD | 4,139 | |
3 | TBSHD | 3,681 | |
4 | テレビ朝日HD | 3,045 | |
5 | テレビ東京HD | 1,509 |
テレビ業界の2022-2023年の売上高ランキングを見ますと、首位がフジ・メディアHD、日本テレビ、TBS、テレビ朝日、テレビ東京と続きます。
2022-2023年は、大手テレビ会社5社ともに横ばいとなっています。テレビ業界全体としても、2022-2023年は前年に比べて横ばいで推移しています。
消費者のテレビの視聴時間は減少傾向です。一方で、スマホなどのデジタルメディアは増加傾向にあります。近年ではスマートフォンの普及とともにデジタルメディアが急速に成長し、今ではスマホでYoutubeやNetflixなどのネット動画を見る消費者が当たり前となりました。
テレビ視聴時間とネット利用時間の推移(出所:総務省、グラフは業界動向サーチが作成)
上のグラフは日本人のテレビ視聴時間とネット利用時間の推移を示したものです。テレビ視聴時間は減少傾向にある一方、インターネットネット利用時間は増加傾向にあります。2020年にはネット利用時間がテレビ視聴時間を抜き、2022年にはその差が拡大しています。
データは平日のものなので、2020年は新型コロナによる外出自粛の影響が大きいと思われますが、2021年後半からは経済再開も伴ったことから、その差が堅調にあらわれました。
テレビからネットへのシフトはここ数年で急激に進んでおり、テレビメディアは強い危機感を抱いています。近年、テレビ業界では番組をスマホで見れるように、動画配信サービスに注力。YoutubeやAmazonなど海外企業の動画サービスへの対抗や、消費者のテレビ回帰も目的にしています。
さらにメディア各局は、在京5社で共同運営する見逃し配信サイト「TVer」を開始しました。広告付き無料動画配信サービスのため、完全無料で視聴が可能、スマートフォンでの視聴が6割を占めます。また、各局は定額課金型動画配信(SVOD)にも乗りだしています。
また、放送法改正でテレビとネットの同時配信が可能になったため、いち早くNHKがインターネットの同時配信に乗り出しました。NHKは2020年4月にテレビ番組の放送をインターネットへ同時に配信するサービス「NHKプラス」を開始しました。スマートフォンやPC、タブレットでの視聴が可能で「常時同時配信」と「見逃し番組配信」の2つを提供します。
民放側は常時同時配信には運営費が膨大になるとしてNHKのような積極性はありませんでしたが、2020年1月に複数の局が一斉に同時間帯に番組を配信する実証実験を行うなど、テレビ業界は減少する視聴を取り囲もうと、ネット配信にも積極的に動き始めています。
また、近年では各局がアニメ分野に注力しており、広告費に依存しない事業モデルを構築しようとしています。いち早くアニメ部門に注力してきたテレビ東京HDでは、同部門の売上高が急進、米国においては商品化も好調に推移しています。
近年の消費者のテレビからネットへの流れは明白であり、今後のテレビ局の収入はさらに減少する可能性があります。
最近では視聴率と広告収入のバランスが崩れ始めており、企業の対象とする視聴者と実際の視聴者の層に乖離がみられます。番組内容と対象年齢が企業のブランディングと合わなければ、CMの枠が減るのは当然です。
現在のテレビ業界は、テレビ視聴率の低下と広告単価の下落という負のスパイラルに陥っています。こうした傾向は一時的なものではなく、インターネットの台頭といった構造的なものによるものです。ある種の「パラダイムシフト」であり、この状況を逆転するのはかなり難しいでしょう。こうした動向を受け、大手テレビメディアは「テレビ事業」に一定の見切りをつけ、「非テレビ事業」の強化に取り組んでいます。
フジ・メディア・HDは近年、都市開発・観光事業に力を入れています。都市開発・観光事業は「サンケイビル」、「グランビスタホテル&リゾート」などを傘下に持ち、オフィスビルの開発や賃貸、ホテルやリゾート施設、ハイウエイレストランの運営などを手掛けています。
テレビ朝日HDはインターネット分野が伸びており、サイバーエージェントと共同展開している『AbemaTV』などが業績に寄与しています。
近年、テレビ各社は不動産やホテル、インターネット、イベントなど本業以外の周辺事業を強化しています。慢性的に視聴率が低迷する中、こうした周辺事業の強化は今後欠かせないものとなるでしょう。今後の各社の業績を大きく左右する要因になり得ます。
テレビ業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することでテレビ市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | フジ・メディア・HD | 5,356 | ||
2 | 日本テレビHD | 4,139 | ||
3 | TBSHD | 3,681 | ||
4 | テレビ朝日HD | 3,045 | ||
5 | テレビ東京HD | 1,509 | ||
6 | スカパーJSATHD | 1,211 | ||
7 | サイバーエージェント ※ | 1,025 | ||
8 | 朝日放送グループHD | 870 | ||
9 | WOWOW | 771 | ||
10 | TOKAIホールディングス ※ | 345 |
※サイバーエージェントはメディア事業、TOKAIホールディングスはCATV事業の売上高です。シェアとはテレビ業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することでテレビ市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれテレビ業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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の計29社
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テレビ 売上高ランキング(2022-23)
企業名 | 売上高 | ||
1 | フジ・メディア・HD | 5,356 | |
2 | 日本テレビHD | 4,139 | |
3 | TBSHD | 3,681 | |
4 | テレビ朝日HD | 3,045 | |
5 | テレビ東京HD | 1,509 |