書店業界の動向や現状、ランキングなどを掲載しています。データは2022-2023年。対象企業の過去の業績を追うことで書店業界全体の現状や動向、傾向を知ることができます。
業界規模
0.4兆円
成長率
-0.7%
利益率
1.2%
平均年収
633万円
書店業界の過去の業界規模の推移を見ますと、緩やかな減少傾向にあります。
書店数の減少に歯止めがかかりません。出版科学研究所によると、2022年の書店数は前年比3.8%減の1万1,495店でした。新規出店は81店舗に対して閉店数は477店舗でした。書店数の減少はここ20年近く続いており、年間で数百店の減少が常態化しています。
書店の規模別でみると、100坪以下の中小の書店の閉店率が高いことが分かります。中小規模の書店は、紙媒体による雑誌や書籍の販売不振に加え、店舗の老朽化や後継者不足も問題に拍車をかけています。
出版物は販売委託性という特殊な流通になっています。出版社から取次ぎを介して書店に配送されるため、書店が得られる利益は定価の約20%と言われています。書籍に比べて雑誌やコミックスは高回転率のため、いままで雑誌やコミックスに支えられてきた書店は、これらの不振により経営が成り立たなくなっています。
丸善CHI HDや紀伊國屋書店などの大手書店では店舗販売以外にも、ネットや電子書店、カフェ併設展などの事業も展開しています。文教堂は充実させた文具の売れ行きは比較的好調のようですが、メインの書店事業は不振続きです。
さらに、新型コロナウイルの感染拡大により緊急事態宣言が出されたため、臨時休業や時短営業をせざるを得なくなりました。週刊誌の販売部数は減少、一部の月刊誌においては一時的に休刊や延期などの影響が出ました。
一方で、コロナによるテレワークや休校に伴い、ビジネス書や学習ドリルなどの需要の増加が見られました。自宅での余暇時間が増えたことで、コミックスや付録付き雑誌の売れ行きも好調でした。
2022年は前年からの反動減となり、とくに紙媒体の売れ行きは厳しい状況です。こうした市況から、大手書店では出版物以外の商品の取扱いを強化、知育系雑貨の他、トレーディングカードやホビー売り場の拡張を行っています。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | |
1 | 丸善CHIホールディングス | 1,627 | |
2 | 紀伊國屋書店 | 1,209 | |
3 | ブックオフGHD | 1,018 | |
4 | 未来屋書店 | 451 | |
5 | 文教堂グループHD | 164 |
2021-2022年の売上高ランキングを見ますと、首位の丸善CHIホールディングスが一歩リードしています。丸善CHIホールディングスは、傘下に「丸善書店」、「ジュンク堂書店」、「図書館流通センター」を擁します。
2021-2022年の書店業界の売上高は、大手書店5社中2社が増加、3社が減少となっています。
「出版不況」と言われて久しい昨今の情勢ですが、利益率の髙い雑誌やコミックスが不振のいま、書店業界には新しいビジネスモデルが必要となります。
書店大手の紀伊國屋書店は、取次ぎを介さずに出版社との直接取引を本格化させています。今後も、書店の利益率を高めるため、取次ぎを介さない書店は増える可能性があります。
業界再編の本格化も予想されます。電子書籍やネット通販の普及に対抗し、17年にCCCが主婦の友を買収するなど、すでに「出版社、取次、書店」の業界内でのM&Aが行われていますが、今後も業界の生き残りをかけた再編が繰り広げられる可能性は高いと言えます。
大手書店は資金力があるため様々なニーズに合わせた事業展開が行えますが、小規模書店はそうはいきません。ですが、近年は一部の小規模店舗では、書籍のみに特化し店主自ら選別した個性的な書籍が揃った店舗もあらわれています。
また、コロナ禍での新たな動きもありました。外出自粛やテレワークの影響で駅ビルやオフィスビルに構える大型店舗は厳しい状況にあったものの、自宅付近の小規模書店へ来店するお客の増加が見られています。今後も厳しい状況が予想される書店業界ですが、実際に手に取って本を買いたいというニーズはあるはずです。こうしたニーズをうまく捉え、この苦境をうまく乗り越えてほしいと思います。
書店業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで書店市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | 丸善CHIホールディングス | 1,627 | ||
2 | 紀伊國屋書店 | 1,209 | ||
3 | ブックオフGHD | 1,018 | ||
4 | 未来屋書店 | 451 | ||
5 | 文教堂グループHD | 164 |
※シェアとは書店業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで書店市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ書店業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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書店業界の動向や現状、ランキング、シェア等のコンテンツ(2022-2023年)は上記企業の有価証券報告書または公開資料に基づき掲載しております。書店業界のデータは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。掲載企業に関しましてはできる限り多くの企業を反映させるよう努めていますが、全ての企業を反映したものではありません。あらかじめご了承ください。また、情報に関しましては精査をしておりますが、当サイトの情報を元に発生した諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負うものではありません。重要な判断を伴う情報の収集に関しましては、必ず各企業の有価証券報告書や公開資料にてご確認ください。
書店 売上高ランキング(2022-23)
企業名 | 売上高 | ||
1 | 丸善CHIホールディングス | 1,627 | |
2 | 紀伊國屋書店 | 1,209 | |
3 | ブックオフGHD | 1,018 | |
4 | 未来屋書店 | 451 | |
5 | 文教堂グループHD | 164 |