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グラフは書店業界の業界規模(対象企業の5計)の推移をグラフで表したものです。
書店業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2020年-2021年の書店業界の業界規模(主要対象企業5社の売上高の合計)は4346億円となっています。
書店業界の過去6年間の業界規模の推移
年々、紙媒体の雑誌・書籍の売れ行きは減少し続け、2020年の推定販売額は1兆2,237億円と24年連続の減少を記録し、96年の最盛期から50%以上も落ち込んでいます。販売高の減少とともに閉店する書店は増え続け、20年は1万1,024店舗で、この20年間で閉店数は約1万店にもおよび書店減少に歯止めがかかりません。
出版物は販売委託性という特殊な流通になっています。出版社から取次ぎを介して書店に配送されるため、書店が得られる利益は定価の約20%と言われています。書籍に比べて雑誌やコミックスは高回転率のため、いままで雑誌やコミックスに支えられてきた分、販売不振により経営が成り立たなくなっています。
大手書店の丸善CHI HDや紀伊國屋書店などでは店舗販売以外にも、ネットや電子書店、カフェ併設展などの事業も展開しています。文教堂は充実させた文具の売れ行きは比較的好調のようですが、メインの書店事業は不振続きです。
さらに、2020年は新型コロナウイルの感染拡大により緊急事態宣言が出されたため、臨時休業や時短営業をせざるを得なくなりました。週刊誌の販売部数は減少、一部の月刊誌においては一時的に休刊や延期などの影響が出ました。
一方、テレワークや休校に伴い、ビジネス書や学習ドリルなどの需要が見られました。自宅での余暇時間が増えたことや、アニメ化でメガヒットした『鬼滅の刃』が功を奏し、紙媒体のコミックスや付録付き雑誌の売れ行きが好調でした。このようなことから、20年の販売額は前年から減少したものの、ここ数年のなかでは最小減で済んだものと思われます。
利益率の髙い雑誌やコミックスが不振のいま、書店業界には新しいビジネスモデルが必要となるでしょう。
アマゾン同様に紀伊國屋書店では取次ぎを介さずに出版社との直接取引を本格化させています。今後も、書店の利益率を高めるため、取次ぎを返さない書店は増える可能性があります。
また、業界再編の本格化も予想されます。電子書籍やネット通販の普及に対抗し、17年にCCCが主婦の友を買収するなど、すでに出版社、取次、書店業界内でのM&Aが行われていますが、今後も業界の生き残りをかけた再編が繰り広げられる可能性は高いと言えます。
大手書店は資金力があるため様々なニーズに合わせた事業展開が行えますが、小規模書店はそうはいきません。ですが、近年は一部の小規模店舗では、書籍のみに特化し店主自ら選別した個性的な書籍が揃った店舗も少ずつでき始めています。
また、コロナ禍での新たな動きもありました。外出自粛やテレワークの影響で駅ビルやオフィスビルに構える大型店舗は厳しい状況にあったものの、自宅付近の小規模書店へ来店するお客の増加が見られています。
順位 | 企業名 | 売上高 | シェア | 単位:億円 |
1 | 丸善CHIホールディングス | 1,716 | 39.5 | |
2 | 紀伊國屋書店 | 981 | 22.6 | |
3 | ブックオフGHD | 935 | 21.5 | |
4 | 未来屋書店 | 501 | 11.5 | |
5 | 文教堂グループHD | 213 | 4.9 |