文具業界の動向や現状、ランキングなどを解説

ノートや鉛筆、ファイルなどの文房具

文具業界の動向や現状、ランキング、シェアなどを研究&分析しています。データは2021-2022年。過去の市場規模や販売金額の推移、文具メーカーの売上高や市場に占めるシェア、各企業の動きや今後の流れ、海外事業の展開状況なども解説しています。

文具業界(2021-2022年)

文具業界の推移と基本情報

業界規模

2.5兆円

成長率

3.6

利益率

1.2

平均年収

608万円

  • 13年
  • 14年
  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年

文具業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2020年に若干の減少となりましたが、2021年は増加に転じています。

文具業界の動向と現状(2021-2022年)

2021年の文具販売は13%の増加 コロナ前の9割の水準に

経済産業省の生産動態統計(2022年6月発表)によると、2021年の文具販売額は前年比13.2%増の1,483億円でした。

文具販売金額の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)

文具販売額の推移を見ますと、2020年に大幅に減少しましたが、2021年には上昇に転じています。2021年の文具販売額はコロナ前の2019年と比較しますと、9割ほどの水準まで回復しています。

2021年の品目別販売額では、多くの文房具がコロナ前の水準を下回る中、「クレヨン・水彩絵の具」が19年比20.1%増と大幅に増加しています。中でも「アーティストアクリル絵の具」が人気を集めており、グローバルインフォメーションによると、2021~2028年の年平均成長率は5.5%と高い伸びが予想されています。

堅調に推移している文具業界ですが、今後国内では人口減少やデジタル化の促進で市場が縮小する可能性があります。こうした動向を受けて大手企業は文具以外の事業にも力を入れています。デジタル商品やオフィス家具、生活用品の販売、サポート事業など文具以外での収益拡大を図っています。

文具業界では業界編成の動きも見せています。コクヨによるぺんてるの子会社化の動きやヤフーによるアスクルの事業譲渡の動きなどいずれも失敗に終わりましたが、文具業界は目まぐるしい動きを見せています。今後も業界再編の動きにも目が離せないでしょう。

大手の海外比率が上昇 海外市場のさらなる開拓へ

ドルの割合と先を見据えている女性

近年、堅調に推移している文具業界ですが、長期的な動向を見ますと人口の減少や少子化、デジタル化の波は文具業界にとっては逆風となります。

こうした流れを受けて、文具各社は海外事業を積極的に展開しています。財務省の日本貿易統計によると、2021年の筆記用具類の輸出額は前年比28.2%増の1,132億円、コロナ前の2019年と比較しても7.2%の増加となります。

日本の文房具は品質の高さから、海外でも一定の支持があります。欧米を中心に人気を集めており、近年では所得が増加したアジアでも需要が高まっています。国内の文具市場が頭打ちを迎える中、文具メーカーは海外へと活路を見出しています。

業界大手のコクヨはベトナムや中国、マレーシア、インドを中心に生産体制の整備、販売チャネルの開拓を強化しています。アジア地域での高機能文具への需要拡大にこたえます。

ボールペン大手のパイロットコーポレーションは海外売上高が70%を超えました。消すことができるボールペン『フリクション』は、2006年にフランスで販売して以来、世界で累計4億本を超えるヒットとなりました。米国、欧州、アジアで販売を強化しています。

三菱鉛筆も海外売上高が48%と海外事業を拡大中。水性ボールペンは北米でのシェアが高く、油性ボールペン「ジェットストリーム」、芯がとがり続ける「クルトガ」も高評価を得ています。

利便性+SNSの話題性を強化 ヒット商品の開発に注力

ひらめきとアイテム

最近ではアイディア商品やユニークな文房具が増えたことから、従来の文具ファン以外の層への訴求も成功しており、SNSでの拡散も見られます。

こうした流れを受けて、各社はSNSを意識した商品を開拓。従来の利便性に加え、SNSで映える話題性の高い商品開発に注力しています。また、近年では『文具女子』という言葉も誕生。文具が好きな女性をターゲットにしたイベント「文具女子博」は好評で、2017年以降各地で開催されています。

マスキングテープや付箋、メモ帳やカラーペンなど、女性のモチベーションが上がるかわいいタイプのデザインを多数販売。2020年の「文具屋さん大賞2020」では、三菱鉛筆のカラーペン「EMOTT」が受賞。機能性に加え商品自体がインスタ映えするデザインで話題を呼びました。

最近では機能性を高めるため、既存の商品をさらに改良する動きも見られます。コクヨの角まで塗れる四角いスティックのり『グルー』、針を使わないホチキス『ハリナックス』、文字が透ける透明消しゴム『クリアレーダー』、好みのインクが選べる多色ペンなど、付加価値の高い商品も開発されています。

デジタル化が進む中、文具業界を中心にアナログ回帰とも取れる流れもきています。国内外ともに付加価値の高い文具の需要は高く、各社ともに新たなヒット商品の開発に注力しています。

文具業界 ランキング&シェア

文具業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで文具市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

文具業界 売上高&シェアランキング(2021年-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 アスクル 4,285
2 大塚商会 3,282
3 コクヨ 3,201
4 内田洋行 2,910
5 オカムラ 2,611
6 プラス 1,875
7 イトーキ 1,158
8 パイロットコーポレーション 1,030
9 マックス 739
10 ナカバヤシ 631

※大塚商会はサービス&サポート事業の売上高です。シェアとは文具業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで文具市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ文具業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

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文具業界 対象企業一覧

アスクル、大塚商会、コクヨ、オカムラ、内田洋行、プラス、イトーキ、パイロットコーポレーション、マックス、ナカバヤシ、三菱鉛筆、サクラクレパス、キングジム、小松ウオール工業、ライオン事務器、コマニー、オリバー、セメダイン、ハイパー、ゼブラ、タカノ、ぺんてる、ケイティケイ、リヒトラブ、くろがね工作所、日本アイ・エス・ケイ、セーラー万年筆、マツモトの計27社

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