SaaS業界の動向や現状、ランキングやシェアなどを解説しています。データは2021-2022年。SaaS業界の過去の業界規模の推移をはじめ、大手SaaS企業の売上高推移とランキング、今後の行方と課題などをリサーチしています。
業界規模
0.2兆円
成長率
22.6%
利益率
3.3%
平均年収
608万円
SaaS業界の過去の業界規模の推移を見ますと、拡大傾向にあります。
下のグラフはSaaSを展開する大手5社の売上高の推移です(ラクスはクラウド事業の売上高となっています)。
SaaS大手5社の売上高の推移(出所:各社有価証券報告書、グラフは業界動向サーチが作成)
グラフによると、SaaS大手5社ともに2015年から2021年にかけて大幅な増加傾向にあります。首位のSansanでは15年比で売上高が約6.5倍となっています。大手各社の推移から見ても、SaaS業界は大きく成長していることが分かります。
2021年のSaaS業界は、前年比29.1%増(主要SaaS企業56社の売上高比)と昨年に引き続き、高い成長を記録しました。直近の動向を振り返りますと、2020年はテレワークに伴うクラウド利用の増加が、2021-2022年にはDXや業務効率化の推進が追い風となっています。人手不足や生産性の向上が注目を集める中、企業の効率化やデジタル化が進んでいます。
「SaaS」とは、「Software as a Service」の略で、クラウド上で稼働するソフトウェアの総称です。クラウド上で操作できることから、インターネット環境があれば端末や場所を選ばずに使うことができます。近年では、SaaSを武器に業績を伸ばす企業が増え、多くの新興企業が上場を果たしています。SaaSはサブスクリプションとも相性が良く、従来の「ソフトの売り切り」から「課金制」へとビジネスモデルを変更する企業も増えています。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | |
1 | Sansan | 204 | |
2 | サイボウズ | 184 | |
3 | ラクス ※ | 167 | |
4 | マネーフォワード | 156 | |
5 | オービックビジネスコンサル… ※ | 153 |
※はSaaS関連の部門売上高。
2021-2022年の売上高ランキングを見ますと、首位はSansan、2位にサイボウズ、ラクスと続きます。ランクインした企業の多くが新興企業で、近年上場を果たした企業が多いのが特徴です。今後、サービス次第ではランキングが大きく変動する可能性があります。
首位のSansanは、社内の名刺をクラウド上で一括管理ができるサービスなどを展開しています。サイボウズは「kintone(キントーン)」や「サイボウズOffice」などのグループウェアを、ラクスは経費精算システム「楽々精算」などを展開しています。
ここでは、SaaS業界の今後の見通しと課題について解説していきます。順調に売上を伸ばしているSaaS業界ですが、今後どのような展開になるのでしょうか。下のグラフは世界のSaaS業界の市場規模の推移と予測を示したものです。
世界のSaaS市場規模の推移(出所:Omdia、グラフは業界動向サーチが作成)
Omdiaによると、2020年の世界のSaaSの市場規模は1,223億ドルで、2024年には約1.9倍の2,337億ドルになると予測しています。世界のSaaS業界は、2024年までは順調に拡大してゆくことが予想されます。
SaaSのほとんどは月額課金のサブスク方式で展開しています。月額課金のサブスク方式は売上が積み上げ式になっていますので、顧客の流出がない限り収益は徐々に増える仕組みになっています。さらに近年では、DXやデジタル化の波などSaaS業界を後押しする要因が多くみられます。グラフは世界のSaaS市場を示したものですが、日本のSaaS市場も同様の推移が予想されます
今後の動向が期待されるSaaS業界ですが、課題ももちろんあります。
総務省の「令和4年版 情報通信白書」によると、2020年の世界のSaaS市場の市場規模は1,223億ドルで、SaaSを含むクラウドサービスは上位5社(Microsoft、Amazon、IBM、Salesforce、Google)が全体の約48%を占めています。ランキングを見ても分かるように、日本のSaaS業界には売上高100億円ほどの新興企業が多く、大企業でグローバル展開をしている会社は見当たりません。IMDによる2022年の「デジタル競争力ランキング」でも日本は29位となっており、ここ数年は低下傾向にあります。
一方、利用者側の意識改革も課題の一つです。総務省の「通信利用動向調査」によると、日本の企業でクラウドサービスを「利用している」割合は68.7%で、「全社的に利用している」割合はわずか39.4%でした(2020年)。日本の利用割合は近年で急速に増加しましたが、DX推進率が8割近い米国と比べるとまだまだ低い状況です。成長余地はまだあると考えて良いでしょう。
いくつかの課題を抱えるSaaS業界ですが、今後は順調に推移していくことが予想されます。人口減少という課題を抱えた日本にとって生産性の向上は必須であり、DXやデジタル化の波は本流になるでしょう。まだまだ成長余地のある業界ですので、新しい企業やサービスの誕生にも期待したいところです。
SaaS業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することでSaaS市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | Sansan | 204 | ||
2 | サイボウズ | 184 | ||
3 | ラクス ※ | 167 | ||
4 | マネーフォワード | 156 | ||
5 | オービックビジネスコンサル… ※ | 153 | ||
6 | EMシステムズ | 144 | ||
7 | フリー | 143 | ||
8 | Appier Group | 126 | ||
9 | ユーザベース ※ | 100 | ||
10 | インフォマート | 98 |
※ラクスはクラウド事業、オービックビジネスコンサルタントはソリューションテクノロジー事業、ユーザーベースはSaaS事業の売上高です。シェアとはSaaS業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することでSaaS市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれSaaS業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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Sansan、サイボウズ、ラクス、マネーフォワード、フリー、EMシステムズ、AppierGroup、インフォマート、オービックビジネスコンサル…、エス・エム・エス、ユーザベース、スカラ、アライドアーキテクツ、HENNGE、ピー・シー・エー、プレイド、ネオジャパン、カオナビ、スマレジ、オロ、ウォンテッドリー、アステリア、日本情報クリエイト、コマースOneHD、チームスピリット、chatwork、ヤプリ、テモナ、いい生活、プロパティデータバンクなどの計67社
SaaS業界の動向や現状、ランキング、シェア等のコンテンツ(2021-2022年)は上記企業の有価証券報告書または公開資料に基づき掲載しております。SaaS業界のデータは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。掲載企業に関しましてはできる限り多くの企業を反映させるよう努めていますが、全ての企業を反映したものではありません。あらかじめご了承ください。また、情報に関しましては精査をしておりますが、当サイトの情報を元に発生した諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負うものではありません。重要な判断を伴う情報の収集に関しましては、必ず各企業の有価証券報告書や公開資料にてご確認ください。
SaaS 売上高ランキング(2021-22)
企業名 | 売上高 | ||
1 | Sansan | 204 | |
2 | サイボウズ | 184 | |
3 | ラクス | 167 | |
4 | マネーフォワード | 156 | |
5 | オービックビジネスコンサル… | 153 |