殺虫剤業界の動向やランキング、シェアなど

殺虫スプレー

殺虫剤業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを分析しています。データは2022-2023年。殺虫剤業界の過去の市場規模の推移をはじめ、殺虫剤メーカー大手2社の売上高の推移グラフと各社の取り組みについて解説しています。

殺虫剤業界(2022-2023年)

殺虫剤業界の推移と基本情報

業界規模

0.1兆円

成長率

3.0

利益率

3.2

平均年収

695万円

  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年
  • 22年

殺虫剤業界の過去の業界規模の推移を見ますと、横ばいで推移しています。

殺虫剤業界の動向と現状(2022-2023年)

2022-23年の殺虫剤業界は国内低調、アジアでは好調

家庭向け殺虫剤業界はアース製薬、フマキラー、大日本除虫菊の3社で市場のほとんどのシェアを占めます。大日本除虫菊については業績の開示がありませんので、この記事では主にアースとフマキラーの2社について詳しく分析していきます。

なお、農業向けの殺虫剤については農薬業界で解説しています。

下のグラフは、殺虫剤大手のアース製薬とフマキラーの売上高の推移です。売上高はいずれも部門売上高となります。各社の決算によると、2022年のアース製薬の売上高は前年比15.6%減の530億円、フマキラーは前年比21.5%増の480億円でした。

殺虫剤大手2社の売上高の推移(出所:有価証券報告書、グラフは業界動向サーチが作成)

2022年の2社の業績は明暗が分かれました。アースは前年比2ケタ減となった一方で、フマキラーは2ケタ増となり5年連続の増収を記録しています。過去8年間の推移を見ますと、全体では緩やかな増加で推移しています。なお、殺虫剤業界の業績は景気よりも天候に大きく左右される傾向にあります。

殺虫剤や虫ケア用品が最も売れるのが6~8月の夏場ですが、その年の夏場の天候が売上に大きく影響します。2018年は各社が減収を記録しましたが、この年の夏は気温低下や曇天など天候不順に見舞われました。

2022年の殺虫剤業界では、国内市場は低調でしたが東南アジアでの売上が伸びました。国内市場は高価格帯の新商品は好調に推移したものの、最盛期である夏場の天候不順が影響し売上は前年を下回りました。一方、海外市場では、中国はゼロコロナ政策の影響により売上が伸び悩みましたが、東南アジアでの殺虫剤需要は前年を上回りました。

コロナ禍では、消費者の在宅時間が増加したことで、家での食事や掃除、家庭園芸の機会が増えることにより、殺虫剤や虫よけ品需要は増加しました。一方、2022年は巣ごもり需要の反動減が見られています。

殺虫剤業界 売上トップ5(2022-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 アース製薬 530
2 フマキラー 480
3 保土谷化学工業 46

※は殺虫剤関連の部門売上高。2022-2023年の殺虫剤業界の売上高ランキングによると、アース製薬とフマキラーの売上高が高いことが分かります。

アース製薬は「アースノーマット」、「ゴキジェットプロ」などの虫ケア製品を展開しています。近年では海外展開も積極的に手掛けています。フマキラーは防除・虫よけ製品の「ベープ」、「フマキラーA」などを手掛け、東南アジアや欧州に進出しています。

2022-2023年のランキング3社の業績はまちまちでした。全体としては前年から横ばいで推移しています

国内重視のアース、アジア重視のフマキラー 異なる戦略はいかに

殺虫剤業界は景気の影響を受けにくく、コロナ禍でも堅調な推移を見せています。毎年、一定の需要が見込まれる業界ですので、今後も底堅い業績が予想されます。

アース製薬は、ハエ、蚊、ゴキブリ、ダニなど害虫ごとに40種類以上の殺虫剤や虫よけ商品を展開しています。非常に多くの商品を展開していますが、とくに「アースノーマット」は1984年の販売以来、消費者に支持されてきたロングセラー商品です。

アース製薬の「アースノーマット」

除虫菊によく似た成分を使用する「アースノーマット」

安定した殺虫効果と長い効き目で、液体蚊取り市場で8割を超えるシェアを誇ります。スイッチ一つで部屋のすみずみまで行きわたり、赤ちゃんやペットのいる家庭でも使用できます。「アースノーマット」のように、アース製薬は国内シェアが高い商品が多いのが特徴で、国内の売上高比率は9割となります。

一方、フマキラーは東南アジアの「蚊取り線香」市場で高シェアを誇ります。蚊取り線香は線香に除虫菊(シロバナムシヨケギク)の成分を練りこませたもので、昔の日本では蚊対策としてメインに使われてきました。しかし、煙が出る、壁や物に臭いがつくなどの理由から、現在の日本ではヒート式がメインに使われています。

一方、価格が安価なことからインドネシアなどの東南アジアでは蚊取り線香が今でもメインで使われています。この点に目を付けたフマキラーは、東南アジアでのシェア拡大にシフトしました。現在では、売上の約39%が東南アジア市場によるものです(2023年3月現在)。

高いシェアを誇る2社ですが、国内、海外と取りうる戦略が大きく異なるのが特徴的です。今後も国内、海外ともに底堅い成長が予想されますが、2社の業績がどのように変遷するのか、今後も動向を注視してゆきたいと思います。

殺虫剤業界 ランキング&シェア

殺虫剤業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで殺虫剤市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

殺虫剤業界 売上高&シェアランキング(2022年-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 アース製薬 530
2 フマキラー 480
3 保土谷化学工業 46

※アース製薬は虫ケア用品部門、フマキラーは殺虫剤部門、保土谷化学工業はアグロサイエンス事業の売上高です。シェアとは殺虫剤業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで殺虫剤市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ殺虫剤業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

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殺虫剤業界 対象企業一覧

アース製薬、フマキラー、保土谷化学工業の計3社

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