COMMODITIES FUTURES
目次
グラフは商品先物業界の業界規模(対象企業の9計)の推移をグラフで表したものです。
商品先物業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2020年-2021年の商品先物業界の業界規模(主要対象企業9社の営業収益の合計)は1,556億円となっています。
商品先物業界の過去11年間の業界規模の推移
商品先物業界の過去の推移を見ますと、2010年から2020年まで多少の増減はありますが、増加傾向にあります。
商品先物業界の過去の動向を振り返りますと、2010年ごろまでは、米国の世界的な金融不安による信用収縮、景気後退懸念により国内の経済は低調に推移してきました。商品先物業界もこうした経済の影響を受け、業績が低調に推移。08年から10年までは多くの企業が最終赤字を計上しました。
また、2011年から12年には長引く欧州債務問題の影響が景気減速懸念を招き、続伸していた新興国経済にも鈍化の兆しが見られたことで、先行きに対する不透明感が一層と強くなりました。
一方、2012年末の政権交代以降、国内経済は回復の兆しを見せ、商品先物業界も増加基調に。2013年から2015年にかけては若干の減少傾向にありますが、リーマンショック前の水準をキープし、2017年に増加に転じています。
2020年には新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、各国がこぞって金融緩和を実施。世界的な低金利を受け、商品価格は上昇傾向にあります。また、自粛に伴う証券取引の増加も受け、各社ともに好調な決算を記録しています。
商品先物業界の上位5社の2020年-2021年の業績を見ますと、営業収益でマネックスグループが前年比46.4%増、あかつき本社が同13.4%増、アストマックスが2.5%増、岡藤日産証券HDが175.0%増、トレイダーズHDが3.0%増となり、5社中5社が増収を記録しています。
商品先物取引とは農産物や工場生産物を将来のある期日に、あらかじめ決めた価格で売買を約束する仕組みです。
商品先物取引は総約定代金に比べて、5~10%程度の証拠金を預託することで取引が可能なため、レバレッジをかけることができる取引です。少ない証拠金で大きな取引ができるため、大きな利益がある反面、大きな損失を受けることも多いとされています。
いずれも適切な資金管理をしていればレバレッジ自体は問題がありませんが、一般の人にはまだまだ「怖い」、「リスクがある」と思われているようです。
こうした特性を持つ商品先物取引ですが、以前は相次ぐ強引な勧誘が日常化したため、トラブルが多発しました。長年にわたり多くの深刻な消費者被害が発生してきたことから、政府は段階的に規制を強化してきました。
長年にわたり、商品先物業界が伸び悩んできた要因として、こうした規制強化の影響が挙げられます。近年ではトラブルも減少し、緩和の動きも出始めており、ようやく業界が安定してきました。
また、貯蓄から投資へと国民の意識も徐々に投資に向かい始めています。一般的に「商品」は「株式投資」や「FX」に比べ難しいというイメージがあります。こうしたイメージをうまく取り除き、いかに一般の投資家を取り込めるかが今後の鍵となります。
順位 | 企業名 | 営業収益 | シェア | 単位:億円 |
1 | マネックスグループ | 779 | 50.1 | |
2 | あかつき本社 | 390 | 25.1 | |
3 | アストマックス | 122 | 7.8 | |
4 | 岡藤日産証券HD | 77 | 4.9 | |
5 | トレイダーズHD | 68 | 4.4 | |
6 | 豊トラスティ証券 | 58 | 3.7 | |
7 | 小林洋行 | 34 | 2.2 | |
8 | フジトミ | 20 | 1.3 | |
9 | 第一商品 | 8.2 | 0.5 |