銀行業界の動向や現状、ランキングなどを解説

街中にある銀行の画像

銀行業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを研究しています。データは2021-2022年。銀行業界の過去の市場規模の推移をはじめ、これまでの銀行の動向と3メガバンクの比較、地方銀行の推移などをグラフを交えて解説しています。

銀行業界(2021-2022年)

銀行業界の推移と基本情報

業界規模

25.1兆円

成長率

-1.4

利益率

11.4

平均年収

686万円

  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年

銀行業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2019年までは緩やかな増加傾向にありましたが、2020年には減少、2021年には再び増加に転じています。

銀行業界の動向と現状(2021-2022年)

2021年は貸倒引当金の戻し入れ益で増収 店舗縮小も進む

以下のグラフは、大手銀行の2021年までの経常収益と純利益の推移を示したものです。値は合算値で、経常収益は棒グラフ、純利益は折れ線グラフで表示しています。

銀行の経常収益と純利益の推移

銀行93行の経常収益の推移(出所:各社有価証券報告書、グラフは当社が作成)

グラフを見ますと、経常利益は2019年まで上昇傾向にありましたが、2020年には減少に、2021年は再び増加に転じています。純利益に関しては緩やかな減少傾向にありましたが、こちらも2021年に増加に転じています。

2020年の銀行業界は、新型コロナウイルス感染拡大による国内の消費低迷で、決済やコンシューマファイナンス(消費者金融)分野が厳しい状況となりました。また、コロナによる経営悪化に備えた、貸倒引当金などの積み増しが収益の重しとなりました。

2021年の銀行業界は、昨年計上した貸倒引当金の戻し入れ益などを背景に、業績は回復しました。メガバンク3行は増収増益を記録し、三菱UFJは過去最高益を更新しました。一方で、2021年は店舗の縮小が進んだ一年でした。銀行の店舗数は2019年をピークに、2年連続の減少を記録しています。

近年の銀行業界は長引く低金利で、本業である「融資」の収益性が低迷していました。こうした動向の中、新型コロナウイルスが直撃し、ファイナンスの低迷や企業の破綻リスクなど新たな問題も発生しています。2021年は貸倒リスクは低下しましたが、世界的なインフレやエネルギー価格の高騰など懸念材料が多く、予断を許さない状況が続いています。

銀行業界 売上トップ5(2021-2022年)

順位 企業名 経常収益(億円)
1 三菱UFJFG 60,758
2 三井住友FG 41,112
3 みずほFG 39,630
4 ゆうちょ銀行 19,776
5 三井住友トラスト・HD 14,010

2021-2022年の銀行業界の経常収益ランキングによると、三菱UFJ三井住友FGみずほFGの規模が大きいことが分かります。これら3行は総称して「3メガバンク」とも呼ばれます。

3メガバンクは増収増益に 世界情勢の先行き不透明感も

メガバンクの店内

続いては、メガバンクの動向を詳しく見ていきます。

一般的に「三菱UFJ」、「三井住友」、「みずほ」は3メガバンクと呼ばれ、純資産や総資産額の規模で銀行内でも群を抜いています。これら3社の動向を詳しく見ることで、銀行業界全体の動きをざっくりと把握することができます。

3メガバンクの純利益の推移

3メガバンクの純利益の推移(出所:各社有価証券報告書、グラフは当社が作成)

上のグラフは三菱UFJ三井住友みずほの3メガバンクの純利益の推移を示したものです。2015年から2020年にかけて、3社とも緩やかな減少傾向にありましたが、2021年には増加に転じています。

ここ数年でランキングの変動も生じています。2019年には三菱UFJが傘下の東南アジアの銀行の株価減損により、三井住友FGが発足以来で初の首位を獲得しました。その後、2020年には再び三菱UFJが首位に返り咲き、2021年にはその差を拡大させています。

2021年は、昨年計上した貸倒引当金の戻し入れ益など特殊要因も重なり業績は改善されました。しかしながら、世界情勢はインフレやエネルギー価格の高騰など先行き不透明な状況が続いています。また、2021年はドル円が歴史的な円安を記録するなど、輸入企業にとっては大変厳しい環境にあります。貸倒引当金の増加が再燃する可能性もあり、いまだ楽観視できる状況ではありません。

外国債券市場が下落に 地方銀行の収益性の悪化に懸念

街中にある地方銀行

続いて、地方銀行の動向を詳しく見ていきましょう。

下のグラフは、2021年までの主な地方銀行の経常収益と純利益の推移をグラフで表したものです。棒グラフは経常収益、折れ線グラフは純利益です。

地方銀行の経常収益と純利益の推移

地方銀行85社の経常収益と純利益の推移(出所:各社有価証券報告書、グラフは当社が作成)

グラフによると、地方銀行の経常収益は若干の減少傾向、純利益は2020年までは減少傾向にありましたが、2021年には増加に転じています。全体的に純利益の減少幅がメガバンクよりも大きく、収益面での脆弱性が浮き彫りになっています。

メガバンクは海外展開や金融マーケット業務も手掛けており、国内の減少幅をこれらの周辺事業でカバーすることができます。一方、地方銀行はそうした周辺事業でのカバー力に欠けるところがあります。

地方銀行は地場の中堅・中小企業、個人への融資が多く、メガバンクに比べて融資先の信用力が劣る傾向にあります。とくに2020年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、企業倒産に備えた与信費用の積み立てがメガバンクよりも目立ちました。

さらに、米国や欧州の金融引き締め懸念から、2020年半ばごろから外国債券市場が下落に転じはじめました。本業の融資が立ち行かない中、多くの地方銀行は有価証券の運用を新たな収益源としてきました。ところが、外国債券が下落したことで、こうした有価証券の運用益の低下が懸念されています。

銀行業界の動向と現状 まとめ

銀行業界は貸出金利の低下に長らく苦しんできました。2021年には懸念されていた貸し倒れリスクは低下したものの、世界的なインフレやエネルギー価格の高騰など企業を取り巻く環境は厳しくなっています。今後も、貸し倒れリスクが再燃する可能性もあり、銀行業界にとって予断を許さない状況が続きます。

銀行業界 ランキング&シェア

銀行業界の経常収益ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで銀行市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

銀行業界 経常収益&シェアランキング(2021年-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 三菱UFJFG 60,758
2 三井住友FG 41,112
3 みずほFG 39,630
4 ゆうちょ銀行 19,776
5 三井住友トラスト・HD 14,010
6 りそなHD 8,447
7 新生銀行 3,733
8 コンコルディア・FG 2,869
9 ふくおかFG 2,804
10 めぶきフィナンシャルグループ 2,680

※シェアとは銀行業界全体に対する各企業の経常収益が占める割合です。シェアを比較することで銀行市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ銀行業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

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銀行業界 対象企業一覧

三菱UFJFG、三井住友FG、みずほFG、ゆうちょ銀行、三井住友トラスト・HD、りそなHD、新生銀行、コンコルディア・FG、ふくおかFG、めぶきフィナンシャルグループ、千葉銀行、静岡銀行、山口フィナンシャルグループ、九州フィナンシャルグループ、ほくほくFG、あおぞら銀行、八十二銀行、群馬銀行、第四北越FG、セブン銀行、北洋銀行、西日本フィナンシャルHD、伊予銀行、七十七銀行、中国銀行、大垣共立銀行、ひろぎんHD、十六銀行、京都銀行、スルガ銀行などの計93社

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