消費者金融業界の動向や現状、ランキングなどを研究しています。データは2021-2022年。消費者金融業界の過去の市場規模の推移をはじめ、消費者向け貸付残高の推移グラフ、2021年の新型コロナの影響と営業収益ランキング、各社の最新の海外進出の動向などを解説してます。
業界規模
0.8兆円
成長率
-1.8%
利益率
19.2%
平均年収
719万円
消費者金融業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2018年から2021年まで緩やかな減少傾向にあります。
下のグラフは、2021年度までの消費者向け貸付残高の推移を示したものです。
消費者向け貸付残高の推移(出所:金融庁、グラフは業界動向サーチが作成)
金融庁(2022年10月更新)によると、2021年度の消費者向け貸付残高は、前年比4.6%減の2兆9,882億円でした。コロナ特需のあった前年からは減少しましたが、近年ではほぼ横ばいの水準と言えます。
2021年の消費者金融業界は、昨年からの新型コロナウイルス感染拡大の影響から個人消費が落ち込み、経済活動が停滞しました。これにより営業貸付金や信用保証残高が減少し、各社の業績は厳しいものとなりました。一方で、2021年の後半からは債権残高に若干の回復の兆しが見られ、業績は改善傾向となっています。
近年の消費者金融業界の動向として、「LINE 」や「ファミリーマート」といった非金融業からの参入が見られます。これらはいずれも「LINE」や「ファミペイ」といった既存のアプリを起点にお金を借りることができます。これらのサービスはまだ始まったばかりですが、背景とするプラットフォームが大きいだけに、既存の消費者金融会社にとっては今後、脅威になりうる可能性があります。
※は消費者金融関連事業の部門売上高です。2021-2022年の消費者金融業界の営業収益ランキングを見ますと、首位が三井住友FG(プロミス)、2位がアコム、アイフル、新生銀行(レイク)と続きます。昨年はアコムが首位に躍り出ましたが、今年は三井住友FGが再び首位を奪還しました。
2021-2022年の消費者金融上位4社の営業収益は、三井住友FG(プロミス)が前年比1.6%減、アコムが同1.6%減、アイフルが3.6%増、新生銀行(レイク)が5.6%減でした。上位5社中4社が横ばいとなっています。
近年の消費者金融業界は、相次ぐ「過払い金返還」や「貸金業法完全施行」により、事業者の経営を圧迫してきました。さらに、新型コロナの影響で資金需要の低下を招くなど業界は逆風が続いています。こうした動向のなか、大手各社は成長著しいアジア地域での展開に力を入れています。
アコムは、タイとフィリピンの東南アジア2か国に進出しています。タイでは個人を対象にした無担保ローン事業を展開し、タイ国内ではトップのシェアを築いています。
アコムの「タイにおける無担保ローン事業」
アコムは、フィリピンにおいても無担保ローン事業を展開しています。現在、アコムの海外進出はタイとフィリピンのみですが、マレーシアに子会社を設立するなど水面下での動きが見られます。今後はその他のアジア地域でも事業展開を目指しています。
三菱住友FGは、台湾進出をきっかけに、香港、タイ、中国でプロミスを展開してしています。香港では無担保および無保証の小口融資を行っており、2021年6月現在で26店舗を展開し、中国においては7都市に進出しています。海外事業の貸付残高は2021年3月現在で、1,041億円に上ります。
アイフルでは、タイで消費者金融業を展開しています。優良顧客の獲得強化に加え、銀行自動引き落としと入出金のカードレス化を開始しています。その他、海外ではインドネシアで中古車オートローンの事業も行っています。
ここ数年の消費者金融業界は、メガバンクを中心とした統廃合が進みました。規制や過払い金返還、少子高齢化による市場の縮小などで厳しい状況の中、各社は積極的な海外進出を行っています。ただ、海外売上比は全体の5~20%程度と、いまだ収益柱には育っていないのが現状です。今後もこうした取り組みの継続が必要となります。
消費者金融業界の営業収益ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで消費者金融市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | 三井住友FG ※ | 2,689 | ||
2 | アコム | 2,621 | ||
3 | アイフル | 1,320 | ||
4 | 新生銀行 ※ | 623 | ||
5 | 全国保証 | 488 | ||
6 | Jトラスト | 423 | ||
7 | アサックス | 56 | ||
8 | 財形住宅金融 | 36 | ||
9 | 全宅住宅ローン | 16 |
※三井住友FGはSMBCコンシューマーファイナンス事業、新生銀行は新生フィナンシャル事業の売上高です。シェアとは消費者金融業界全体に対する各企業の営業収益が占める割合です。シェアを比較することで消費者金融市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ消費者金融業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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