金融業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを分析しています。金融業界の過去の業界規模の推移をはじめ、2021-2022年のセグメントの動向や現状などを詳しく解説しています。
業界規模
64.4兆円
成長率
0.4%
利益率
10.6%
平均年収
731万円
金融業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2020年には減少となりましたが、2021年には増加に転じています。
金融業界の2021年-2022年の動向と現状を分析していきます。金融業界はとても大きな業界なので、こうした大きな業界の動向を知るためには、事業を細分化(セグメント化)していく必要があります。
金融業界のセグメント動向(2021年-2022年、業界動向サーチ調べ)
2021年-2022年の金融業界は全体として前年比6.3%の増加でした。セグメント別では、リースが前年比16.6%増、損害保険が6.7%増、証券が6.6%増、銀行が4.8%増、生命保険が4.0%増、クレジットカードが0.3%増、消費者金融が0.6%の減少でした。
2021-2022年はリースや損害保険、証券が好調に推移しています。リースでは自動車の持ち直し、損保では値上げ効果、証券では歴史的な株高を背景に業績が向上しました。金融業界全体としても高い伸びを見せており、好調な1年であったと言えるでしょう。
金融業界は7つのセグメントに分けられますが、規模的には「銀行」と「生命保険」が大きく、これらのセグメントが金融業界に大きな影響を及ぼします。2021-2022年は規模が大きな「生命保険」や「銀行」の業績が良かったのに加え、他の業界もおおむね好調に推移しました。
2021年の金融業界の売上高ランキングでは、首位が三菱UFJFG、2位が第一生命、3位が三井住友FG、みずほFG、東京海上HDと続きます。ランキング上位には銀行と保険関連の企業が並んでいます。
2021-2022年は、金融大手5社中4社が増加、1社が横ばいとなっています。
金融業界の主力である「銀行」と「生命保険」を詳しく見ていきます。2021年-2022年の銀行の業界規模は前年比4.8%増、生命保険は同4.0%の増加でした。
「銀行」と「生命保険」の業界規模の推移
「銀行」の内訳を見ますと、「メガバンク」では前年比7.7%増、「地方銀行」は1.6%の増加でした。2021年-2022年はメガバンクの伸びの高さが目立つ1年でした。
近年の銀行業界は「低金利政策」の長期化により、銀行の「稼ぐ力」が低迷していました。さらに、地方では人口減少と高齢化が加速しており、新型コロナの感染拡大がさらなる追い打ちをかけました。2022年には世界の中央銀行による政策金利の引き上げが見られましたが、日銀にはまだそのような動きはありません。銀行業界は依然として厳しい状況が続いています。(追記:2022年12月に日本銀行が従来0.25%としていた長期金利操作目標の上限を0.5%に引き上げたことで、2023年1月には長期金利が約7年ぶりの高水準を記録しています。)
生命保険業界も、「標準生命表」の改定に伴う死亡保険料の値下げ、低金利による外貨建て保険の低迷が続いているなか、新型コロナが追い打ちをかけました。2021-2022年は新規の契約件数と契約高がともに増加し、昨年に比べて業績は回復しています。
「銀行」と「生命保険」はいずれもコロナ前から苦戦が続いていたところがポイントです。直近は両者とも回復傾向にありますが、米国の政策金利の上昇やコロナ関連の保険料の支払いなどが業績にどう影響するのか、今後の動向に注目したいところです。
続いて金融業界の「証券」、「クレジットカード」、「リース」分野の動向を見ていきましょう。
「証券」と「クレジットカード」と「リース」の業界規模の推移
「証券」は株式市場の動向に左右される傾向がありますが、2021年は空前の株高を背景に、証券会社の手数料は大幅に増加しました。特に、ネット証券であるSBI証券と楽天証券の伸びが大きく、ともに最高値の営業収益を記録しました。
一方、2022年は年初からの弱気相場で、米国のS&P500は年20-25%ほどの下落を記録しました。ベア相場は1年間継続しており、昨年の上昇分の巻き戻しが見らます。株の下落は証券会社にとっては逆風となりますので、今後の状況は厳しいと言えるでしょう。
「クレジットカード」はコロナ明けによる経済再開や「非接触決済」需要の増加などを追い風に業績は好調に推移しています。ネット通販の堅調も業界にとってはプラスに働いています。
「リース」は企業の設備投資の再開や不動産事業、海外事業が業績をけん引しており、落ち込んだ昨年から反発して増加に転じています。
2021年-2022年の金融業界は全体的にプラスで推移しました。いずれも新型コロナからの経済再開の動きが業界にプラスに働いています。また、金融業界の収益の大半を占める「銀行」や「保険」分野は、完全な回復には至りませんでしたが、昨年から回復傾向にあります。今後、日銀による政策金利の動向にも注目が集まっており、長らく厳しい状況に置かれた金融業界にとって、大きな転換点が来ていることは間違いありません。
金融業界の経常収益ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで金融市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | 三菱UFJFG | 60,758 | ||
2 | 第一生命HD | 52,919 | ||
3 | 三井住友FG | 41,112 | ||
4 | みずほFG | 39,630 | ||
5 | 東京海上HD | 38,878 | ||
6 | MS&ADインシュアランスG | 36,090 | ||
7 | SOMPOホールディングス | 32,157 | ||
8 | オリックス | 25,203 | ||
9 | かんぽ生命保険 | 24,189 | ||
10 | ソニーフィナンシャルグループ | 21,900 |
※シェアとは金融業界全体に対する各企業の経常収益が占める割合です。シェアを比較することで金融市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ金融業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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三菱UFJFG、第一生命HD、三井住友FG、東京海上HD、MS&ADインシュアランスG、みずほFG、SOMPOホールディングス、かんぽ生命保険、オリックス、ソニーフィナンシャルHD、ゆうちょ銀行、T&Dホールディングス、野村HD、三井住友ファイナンス&リース、三井住友トラスト・HD、東京センチュリー、三菱HCキャピタル、りそなHD、芙蓉総合リース、大和証券グループ本社、SBIホールディングス、みずほリース、イオンフィナンシャルサービス、JA三井リース、三菱UFJ証券HD、新生銀行、リコーリース、トーア再保険、コンコルディア・FG、クレディセゾンなどの計184社
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