証券業界の動向や現状、ランキングなど

証券チャートを見る人

証券業界の動向や現状、ランキング、売上高シェアなどを研究しています。データは2021-2022年。証券業界の過去の市場規模の推移をはじめ、2020年から2021年までの証券業界の動向や近年のトレンドなどを掲載しています。

証券業界(2021-2022年)

証券業界の推移と基本情報

業界規模

4.0兆円

成長率

1.8

利益率

12.7

平均年収

860万円

  • 11年
  • 12年
  • 13年
  • 14年
  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年

証券業界の過去の業界規模の推移を見ますと、年によって増減を繰り返しており、全体としては横ばいで推移しています。

証券業界の動向と現状(2021-2022年)

2021年は歴史的な株高を背景に好調 22年は一転して株安に

以下のグラフは、証券大手5社の営業収益の推移グラフです。グラフの推移を見ることで、どの証券会社が伸びているのかを把握することができます。

証券大手5社の営業収益の推移

証券大手5社の営業収益の推移(出所:各社有価証券報告書、グラフは業界動向サーチが作成)

グラフを見ますと、楽天証券やSBIホールディングスの「ネット証券」が増加傾向にあるのに対し、野村HD大和証券などの証券会社は伸びが鈍化しているのが分かります。とくに2020年から2021年にかけてネット証券であるSBIや楽天証券が急上昇しています。(※なお、2021年のSBI HDの営業収益については、新生銀行の連結決算が上乗せされていますので、ご留意下さい。ちなみに、新生銀行分を差し引いてもSBIは大幅増を記録しています。)

2021年の証券業界は金融緩和に伴う歴史的な株高を背景に、証券会社の手数料収入は増加しました。2021年9月には日経平均が30,500円、同年12月には米国S&P500が4,700の高値を記録しています。グラフからも分かるように、コロナによる外出自粛の影響からネット証券が大幅に伸びています。

近年の証券業界のトレンドとしては、個人投資家を中心とした「米国株」人気が顕著に見られました。特に、コロナ禍の2020年から2021年にかけては、金融緩和を背景とした歴史的な米国株高により、「コロナバブル」を形成しました。特にネット証券では、以前よりも手軽に米国株が売買できるようになったこともあり、業績を大きく押し上げました。投資信託でも、株式同様に、外国投信に人気が集中しました。

一方で、2022年の株式市場は昨年から一転して急落しています。欧米を中心とするインフレ懸念から各国の中央銀行が急速な金融引き締めに動き、株価は20~30%の大幅な下落を記録しました。いわゆる金融緩和の巻き戻しの動きです。為替も一時、1ドル139円まで進むなどドル高の局面が続いています。証券会社にとっては株安は手数料収入の減少となるため、逆風です。証券業界を取り巻く状況は、2022年から一変しています。

証券業界 営業収益トップ5(2021-2022年)

順位 企業名 営業収益(億円)
1 野村HD 15,939
2 SBIホールディングス 7,636
3 大和証券グループ本社 6,194
4 三菱UFJ証券HD 3,512
5 楽天証券 895

2021-2022年の証券業界の営業収益ランキングを見ますと、首位は野村HD、2位はSBIホールディングス大和証券三菱UFJ証券、楽天証券と続きます。首位の野村HDは、個人・法人投資家向けリテール事業と法人向けホール事業を展開しています。2位のSBI HDはネット証券専業の最大手で、SBI証券やネットバンキングなどの金融サービスを展開しています。ネット証券と外国株の取引実績に強みがあります。

2021-2022年の証券業界は、証券大手5社中3社が増収、1社が横ばい、1社が減収となりました。全体としては前年に比べて増加となっています。

2022年の証券業界のニュース

2022年の証券業界の主なニュースを厳選してまとめました。直近の証券業界の動向を把握するのにお役立て下さい。

苦戦する「店頭型」、シェアを拡大する「ネット証券」の台頭

スマホと株価チャート

証券業界の業態は主に「店頭型」と「ネット証券」の2つに大別できます。「店頭型」はいわゆる従来からある証券会社で店頭での対面取引がメイン、「ネット証券」はインターネット専業の証券会社です。

近年、証券業界でシェアを拡大しているのが「ネット証券」です。店頭型は実店舗と多くの人員を抱えているため手数料が高いのに対し、ネット証券は実店舗を持たず少ない人員で済むことから、安価な手数料を売りに集客を図っています。業界内では売買手数料の引下げが相次いで起こり、さらには手数料の撤廃を宣言をする企業も出始めるなど手数料における競争が過熱しています。

近年の証券業界の業績においては、「店頭型」の証券会社の業績が伸び悩み苦戦しています。店頭型の顧客である投資家がネット型へ移行したり、高齢化で資産を相続した家族が資金を引き上げるといった事態が起きています。苦戦を強いられた野村HD大和証券は店舗の統廃合を発表、事業改革を迫られています。

一方で、SBIや楽天、マネックスG松井証券などの「ネット証券」は堅調な伸びを記録しています。こうした動向を受け、岡三証券や大和証券などの従来型の証券会社もネット証券へ参入。野村HDはLINEと合弁会社を設立しています。

店頭型では高齢者や富裕層が多いのに対し、ネット証券は個人投資家が主要顧客、頻繁に取引を行うトレーダーです。トレーダーは「デイトレード」や「スイング」により比較的に短期に回数を重ねるのが特徴です。安価な手数料が強みのネット証券にとって、頻繁に取引をするトレーダーはネット証券会社には欠かせない存在です。上げ相場はもちろん、下げ相場でも取引を頻繁に行うことから、「買いのみ」の投資家に比べて、手数料収入が安定するといった特徴があります。

ネット証券が台頭し業績を伸ばす中、スマートフォンのアプリで株やFXの売買を行える「新興ネット企業」もじわじわと頭角を現しています。今後も時代の流れからネット証券が主流になるのはほぼ確実で、従来型の証券会社は新たな対策を講じる必要があります。

このように、近年の証券業界は同業他社に加え新規や異業種からの参入、また統合や再編などが行われるなど競争は激化しており、今後も厳しい競争環境が続くと予想されています。

証券業界 ランキング&シェア

証券業界の営業収益ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで証券市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

証券業界 営業収益&シェアランキング(2021年-2022年)

※シェアとは証券業界全体に対する各企業の営業収益が占める割合です。シェアを比較することで証券市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ証券業界の詳細ランキングページにジャンプします。

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野村HD、大和証券グループ本社、SBIホールディングス、三菱UFJ証券HD、マネックスグループ、楽天証券、東海東京フィナンシャルHD、岡三証券グループ、澤田HD、あかつき本社、GMOフィナンシャルHD、日本証券金融、松井証券、岩井コスモHD、いちよし証券、auカブコム証券、丸三証券、藍澤證券、水戸証券、スパークス・グループ、アストマックス、東洋証券、極東証券、ヒロセ通商、岡藤日産証券HD、トレイダーズHD、豊トラスティ証券、むさし証券、今村証券、マネーパートナーズGなどの計36社

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