LIFEINSURANCE
グラフは生命保険業界の業界規模の推移をグラフで表したものです。
生命保険業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2017-18年の生命保険業界の業界規模(主要対象企業31社の保険料収入の合計)は34兆5,785億円となっています。
生命保険業界の過去6年間の業界規模の推移
生命保険業界の過去6年間の推移をみますと、2012年から15年は横ばいを記録し、2015年から17年にかけて減少に転じています。
2017年の主要生命保険31社の保険料収入は34兆5,785億円(前年比-3.6%)、18年3月末の国内の個人保険の保有契約高は852兆9,650億でした。2018年4月には死亡率の算出基準となる「標準生命表」の改定が11年ぶりに行われ、生命保険業界では、各社、死亡保険料を値下げ、一方で医療保険は値上げに踏み切りました。
「標準生命表」とは、男女別で各年齢の死亡率をまとめたもので、保険会社が保険料を決める基準となるもの。前回の07年に比べて全年齢の死亡率が低下し、平均寿命が延びたため、保険料の値下げが行われました。
現在、生命保険業界を苦しめているのが「マイナス金利」です。
生命保険会社は、「将来の保険金の支払に充てる財源を確保するもの」という観点から、安全性を重視した運用を義務付けられています。運用には公社債、株式、外国証券などがありますが、運用の主軸は公社債で、主に国債です。
ところが、日銀の長引く金融緩和策によって、国債の利回りが著しく低下しており、運用の主軸である国債で利益を出すことができません。こうした動向を受け、生命保険各社は、償還期限を迎えた国債を外債に充てたり、ESG債など新規分野への投資比率を高めることで何とか対応しています。
さらに、先ほどお伝えした「標準生命表」の改定により保険料の引き下げも行われ、「収入減」、「運用益減」の二重の痛手を受けています。
保険業界では、団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」や、団塊ジュニアが60歳以上となり、団塊世代の死亡数が増える「2035年問題」が問題になっています。
今後、少子高齢化や人口減少が進むことで、保険金の支払が増加する一方、契約者は減少するという厳しい状況が予想されます。さらに、昨今の「若年層の保険離れ」も問題となっています。
生命保険業界では、少子高齢化と人口減少による競争激化に備え、各社新会社の設立や国内外の生命保険会社を買収して販路を強化しています。また、マイナス金利の影響を受けにくい「保障性商品」や「外貨建て保険商品」、保険者の健康への取り組みによって保険料が変わる「健康増進型保険」の開発などにも注力しています。
生命保険業界は、国内の人口減少により増々競争が激しくなると見られています。事業規模の小さい保険会社は経営維持が難しくなり、生命保険会社同士のM&Aが増えるこも予想されます。
企業名 | 保険料収入 | シェア | 単位:億円 | |
1 | 第一生命HD | 48,845 | 14.1 | |
2 | 日本生命 | 44,884 | 13.0 | |
3 | かんぽ生命保険 | 42,364 | 12.3 | |
4 | 明治安田生命 | 27,194 | 7.9 | |
5 | 住友生命 | 25,085 | 7.3 | |
6 | メットライフ生命 | 17,867 | 5.2 | |
7 | T&Dホールディングス | 14,837 | 4.3 | |
8 | アフラック | 14,439 | 4.2 | |
9 | ジブラルタ生命 | 11,179 | 3.2 | |
10 | 三井住友海上プライマリー生命 | 10,595 | 3.1 |