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グラフは信用金庫業界の業界規模(対象企業の120計)の推移をグラフで表したものです。
信用金庫業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2020年-2021年の信用金庫業界の業界規模(主要対象企業120社の経常収益の合計)は1兆6,699億円となっています。
信用金庫業界の過去6年間の業界規模の推移
信用金庫業界の動向と現状を分析していきます。
下のグラフは、主な信用金庫120行の経常収益と純利益の推移です。2020年の経常収益は前年比0.1%減の1兆6,699億円、純利益は前年比16.6%増の1,937億円でした。
信用金庫業界の経常収益と純利益の推移(各行公表資料、グラフは業界動向サーチが作成)
2020年は経常収益は横ばい、純利益は減少から増加に転じました。利益の減少に歯止めがかからない昨年の状況から一端の増加となっています。
信用金庫および信用組合は、出資者の相互扶助を目的とした非営利組織です。地域ごとに営業エリアが限定されており、出資者から集めたお金を個人や中小企業に貸し付けます。銀行とは異なり、貸し出しや預金、定期積金などにも一定の制限があるのが特徴です。
2020年の信用金庫業界は、新型コロナの資金繰り支援の増加により、貸出残高は増加しました。結果的に特需となった2020年ですが、楽観視はできません。今後、コロナの影響により地方経済が深刻化すれば、貸し倒れリスクが増える危険性があります。とくに信用金庫の場合、貸出先は中小や個人が大半ですので、貸し倒れリスクは他の金融機関に比べて高くなります。不透明感は依然として高いと言えるでしょう。
近年の信用金庫業界は、地方経済の衰退、人口の減少、長引くマイナス金利の影響により、厳しい状況が続いています。ここ数年は、利益の減少に歯止めがかかりません。
信用金庫は地域に密着した「協同組織金融機関」です。メガバンクや地方銀行に比べ、地域との結びつきは強く、その地域の人口や経済の影響をまともに受けます。良い意味でも悪い意味でも、その地域と運命をともにすることになり、地域を支える重要な役割を担っています。
地域別 信用金庫の経常収益の推移(各行ディスクロージャーを元に業界動向サーチが作成)
上のグラフは2015年から2020年までの「地域別の信用金庫の経常収益の推移」を示したものです。北陸・甲信越、近畿、北海道・東北、関東、中国・四国が4年前の水準を下回っており、とくに中国・四国の落ち込みが大きいことが分かります。
信用金庫は非営利組織であるため、稼ぎを重視すべきではありませんが、預金者からお金を預かる地域の金融機関として、一定の健全性を確保する義務はあります。株式会社と異なり、できることは限られていますが、業務の効率化はどの信用金庫も取り組めるはずです。
一方、近年では信用金庫の再編の動きも活発化しています。2020年1月には宮崎都城信用金庫と南郷信用金庫が合併し、「宮崎第一信用金庫」が、2020年2月には備前信用金庫と日生信用金庫が合併し、「備前日生信用金庫」が、2020年9月には北陸信用金庫と鶴来信用金庫が合併し、「はくさん信用金庫」が発足しました。
今後は地方で人口減少と高齢化がさらに進みます。再編の動きもさらに活発化することが予想され、今後の動向に注目が集まります。
順位 | 企業名 | 経常収益 | シェア | 単位:億円 |
1 | 京都中央信用金庫 | 628 | 3.8 | |
2 | 岡崎信用金庫 | 548 | 3.3 | |
3 | 多摩信用金庫 | 419 | 2.5 | |
4 | 大阪信用金庫 | 416 | 2.5 | |
5 | 城南信用金庫 | 408 | 2.4 | |
6 | 京都信用金庫 | 374 | 2.2 | |
7 | 西武信用金庫 | 370 | 2.2 | |
8 | 城北信用金庫 | 365 | 2.2 | |
9 | 埼玉縣信用金庫 | 362 | 2.2 | |
10 | 大阪厚生信用金庫 | 355 | 2.1 |