信用金庫業界の動向や現状、ランキングなど

信用金庫の窓口の様子

信用金庫業界の動向や現状、ランキング、シェアなどを研究しています。信用金庫業界の過去の市場規模の推移をはじめ、経常収益と純利益の推移グラフ、2021年のコロナの影響や地域ごとの推移、近年の再編の動向などを詳しく解説しています。

信用金庫業界(2021-2022年)

信用金庫業界の推移と基本情報

業界規模

1.6兆円

成長率

0.0

利益率

+15.1

  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年

信用金庫業界の過去の業界規模の推移を見ますと、ほぼ横ばいで推移しています。

信用金庫業界の動向と現状(2021-2022年)

2021年もコロナ禍により貸出残高増 一方、貸し倒れリスクも上昇

信用金庫業界の動向と現状を分析していきます。

下のグラフは、主な信用金庫120行の経常収益と純利益の推移です。2021年の経常収益は前年比0.8%減の1兆6,565億円、純利益は前年比29.3%増の2,504億円でした。

信用金庫業界の経常収益と純利益の推移

信用金庫業界の経常収益と純利益の推移(各行公表資料、グラフは業界動向サーチが作成)

2021年は経常収益は横ばい、純利益は増加となりました。利益は減少に歯止めがかからない状況から一転、2年連で増加しています。

信用金庫および信用組合は、出資者の相互扶助を目的とした非営利組織です。地域ごとに営業エリアが限定されており、出資者から集めたお金を個人や中小企業に貸し付けます。銀行とは異なり、貸し出しや預金、定期積金などにも一定の制限があるのが特徴です。

2021年の信用金庫業界は、前年に引き続き新型コロナの資金繰り支援の拡大により、貸出残高が増加しました。2021年までの2年間は結果的に特需となりましたが、楽観視はできません。今後、コロナの影響により地方経済が深刻化すれば、貸し倒れリスクが増える危険性があります。

加えて、2022年に入りロシアによるウクライナ侵攻、円安、原材料価格やエネルギー価格の高騰などの影響により、融資先の業績悪化が懸念されています。

とくに信用金庫の場合、貸出先は中小や個人が大半ですので、貸し倒れリスクは他の金融機関に比べて高くなります。各金庫では取引先の経営相談を強化していますが、不透明感は依然として高いと言えるでしょう。

厳しい状況にある信用金庫 再編の動きも活発化

的と複数の紙飛行機

近年の信用金庫業界は、地方経済の衰退、人口の減少、長引くマイナス金利の影響により、厳しい状況が続いています。ここ数年は、利益の減少に歯止めがかかりません。

信用金庫は地域に密着した「協同組織金融機関」です。メガバンクや地方銀行に比べ、地域との結びつきは強く、その地域の人口や経済の影響をまともに受けます。良い意味でも悪い意味でも、その地域と運命をともにすることになり、地域を支える重要な役割を担っています。

地域別 信用金庫の経常収益の推移

地域別 信用金庫の経常収益の推移(各行ディスクロージャーを元に業界動向サーチが作成)

上のグラフは2015年から2021年までの「地域別の信用金庫の経常収益の推移」を示したものです。北陸・甲信越、近畿、北海道・東北、関東、中国・四国が6年前の水準を下回っており、とくに北海道・東北の落ち込みが大きいことが分かります。

信用金庫は非営利組織であるため、稼ぎを重視すべきではありませんが、預金者からお金を預かる地域の金融機関として、一定の健全性を確保する義務はあります。株式会社と異なり、できることは限られていますが、業務の効率化はどの信用金庫も取り組めるはずです。

一方、近年では信用金庫の再編の動きも活発化しています。2020年1月には宮崎都城信用金庫と南郷信用金庫が合併し、「宮崎第一信用金庫」が、2020年2月には備前信用金庫と日生信用金庫が合併し、「備前日生信用金庫」が、2020年9月には北陸信用金庫と鶴来信用金庫が合併し、「はくさん信用金庫」が発足しました。

2021年から2022年12月末現在までの期間においては、各金庫が地元企業の支援や活性化などに注力していたため、合併の動きはありませんでした。一方、新潟県のはばたき信組と三条信組が2023年12月をメドに合併を予定しています。

また、信用金庫と地銀による業態を超えた連携も加速しています。2021年5月、香川県の高松信金と香川銀行が、ATMの無料相互開放や協調融資の実施などを目的に、全国で初となる包括連携協定を結んでいます。その後も、三島信金と静岡銀行、北海道信金と北海道銀行、幡多信金と四国銀行などが協業しています。

今後は地方で人口減少と高齢化がさらに進みます。再編や協業の動きもさらに活発化することが予想され、今後の動向に注目が集まります。

信用金庫業界 ランキング&シェア

信用金庫業界の経常収益ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで信用金庫市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

信用金庫業界 経常収益&シェアランキング(2021年-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 京都中央信用金庫 613
2 岡崎信用金庫 483
3 城南信用金庫 430
4 大阪信用金庫 402
5 多摩信用金庫 395
6 城北信用金庫 378
7 西武信用金庫 370
8 京都信用金庫 359
9 大阪厚生信用金庫 348
10 埼玉縣信用金庫 341

※シェアを比較することで信用金庫市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ信用金庫業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

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信用金庫業界 対象企業一覧

京都中央信用金庫、岡崎信用金庫、多摩信用金庫、大阪信用金庫、城南信用金庫、京都信用金庫、西武信用金庫、城北信用金庫、埼玉縣信用金庫、大阪厚生信用金庫、浜松磐田信用金庫、尼崎信用金庫、朝日信用金庫、大阪シティ信用金庫、岐阜信用金庫、東京東信用金庫、近畿産業信用組合、碧海信用金庫、川崎信用金庫、横浜信用金庫、長野県信用組合、さわやか信用金庫、瀬戸信用金庫、広島信用金庫、巣鴨信用金庫、飯能信用金庫、北おおさか信用金庫、福岡ひびき信用金庫、大阪協栄信用組合、播州信用金庫などの計120社

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