電炉業界の動向やランキング、現状などを分析

電気炉で鉄を製造する様子

電炉業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを分析しています。データは2022-2023年。電炉業界の過去の業界規模の推移をはじめ、電気炉の粗鋼生産量の推移や今後の成長に向けた各社の取り組みなどをグラフを交えて紹介しています。

電炉業界(2022-2023年)

電炉業界の推移と基本情報

業界規模

1.7兆円

成長率

15.3

利益率

8.2

平均年収

668万円

  • 12年
  • 13年
  • 14年
  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年
  • 22年

電炉業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2020年には減少していましたが、2021年、2022年と増加傾向にあります。

電炉業界の動向と現状(2022-2023年)

2022年の電炉粗鋼生産量2%減 コスト上昇分を価格転嫁へ

下のグラフは、電気炉の粗鋼生産量の推移を示しています。経済産業省の生産動態統計年報(2023年6月公表)によると、2022年の電気炉の粗鋼生産量は、前年比2.2%減の2,355万トンでした。

電気炉の粗鋼生産量の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)

電気炉の粗鋼生産量の推移を見ますと、2020年は大幅減となり2千万トンを割り込む勢いでしたが、2021年に増加に転じ2,400万トンまで戻しています。一方、2022年は再び減少に転じ2,300万トン台まで下落しました。中長期的には横ばいで推移しています

2022年の電炉業界の動向をみますと、円安の進行により鋼材市況は高水準で推移しましたが、製品出荷数量は企業により明暗が別れました。再開発や物流などの大型案件需要が堅調に推移する一方で、資材価格の高騰から計画の見直しがでるなど一部企業で建設資材分野が前年を下回りました。鉄スクラップや電力価格が高騰しましたが、2022年は値上げが功を奏し各社で増収となりました。

鉄鋼の製造は『高炉』と『電炉』があり、『高炉』は鉄鉱石を原料に鉄鋼を製造、高級材や大量生産に向き、主に自動車に利用します。『電炉』は解体や廃棄した自動車やビルなどの「鉄スクラップ(鉄くず)」を溶かし不純物を除去して鉄鋼を作ります。

鉄スクラップはリサイクル鉄のため成分調整が難しく、主に建設向け鉄筋や側溝などに使用します。CO2排出量が少なく建設コストが安いメリットがある一方、鉄スクラップの価格変動に左右されやすい傾向があります。

電炉業界 売上トップ5(2022-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 東京製鐵 3,612
2 共英製鋼 3,557
3 合同製鐵 2,169
4 中山製鋼所 1,885
5 大和工業 1,804

※は鉄鋼関連売上高です。2022年の電炉業界の売上高ランキングを見ますと、1位が東京製鐵、2位が共英製鋼、合同製鐵、中山製鋼所、大和工業と続きます。2022年の売上高では首位の順位が入れ替わり、東京製鐵がトップに躍り出ました。

2022-2023年の電炉業界の業績は、5社中5社ともに増加となりました。前年と比較すると伸び率は縮小しましたが、13~33%と大幅増収を記録しています。

脱炭素で電炉に注目 競争激化で『海外・高級材』を強化

地球と分析グラフ

世界的な脱炭素の高まりから、環境負担の小さい電炉が注目されています。一方、高炉メーカーの電炉参入や原料の鉄スクラップの価格高騰など、電炉メーカーは厳しい状況です。業界では今後の成長に向け『海外事業や高級材の強化』に取り組んでいます

鉄筋シェア国内トップの共栄製鉄は、成長戦略の一つに『海外事業の強化』を掲げています。ベトナム、米国、カナダへ進出し、海外への製品出荷量は53.3%を占め、すでに国内出荷量を上回っています。今後は190億円を投じてベトナムやカナダの生産能力を強化し、建設向けの鉄筋の生産量を増やしていきます。

共栄製鉄の「海外鉄鋼事業」

共栄製鉄の「海外鉄鋼事業」

東京製鉄は、電炉での『コイル・厚板』生産に強みを持ちます。高い技術力を武器に高炉メーカーの独占品種へ参入しており、高級鋼の製造を拡大しています。今後も「鉄スクラップの高度利用の促進」を掲げ、レーザ切断性に優れる鋼板や特寸H形鋼の拡販に力を入れていきます。

中山製鉄所は2021年4月に中部鉄鋼と包括提携を結び、厚板製品の一部製造の委託や電炉の更新で協力していきます。世界7か国で展開中の大和工業では今後、鉄鋼需要が見込める東南アジアでの事業拡大を進めます。

電炉業界では、2020年はコロナ禍による鉄鋼需要の縮小が響きましたが、2021年に入り各企業の業績は回復しています。一方、人口減少による内需の縮小や高炉メーカとの競争激化、コストの増加など厳しい状況です。一方、海外事業や高級材の研究などにも注力しており、今後の成長と拡大に期待したいところです。

電炉業界 ランキング&シェア

電炉業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで電炉市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

電炉業界 売上高&シェアランキング(2022年-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 東京製鐵 3,612
2 共英製鋼 3,557
3 合同製鐵 2,169
4 中山製鋼所 1,885
5 大和工業 1,804
6 大阪製鐵 1,171
7 トピー工業 1,079
8 東京鐵鋼 792
9 中部鋼鈑 763
10 北越メタル 310

※合同製鐵、トピー工業は鉄鋼事業の売上高です。シェアとは電炉業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで電炉市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ電炉業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

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電炉業界 対象企業一覧

東京製鐵、共英製鋼、合同製鐵、中山製鋼所、大和工業、大阪製鐵、トピー工業、東京鐵鋼、中部鋼鈑、北越メタルの計10社

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