楽器業界の動向や現状、ランキングなどを解説

ギターやベース、ドラムなどの楽器

楽器業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを分析しています。データは2022-2023年。楽器業界の過去の業界規模の推移をはじめ、楽器販売額の推移と楽器メーカー各社の海外展開の動向などを解説しています。

楽器業界(2022-2023年)

楽器業界の推移と基本情報

業界規模

0.4兆円

成長率

7.2

利益率

6.3

平均年収

641万円

  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年
  • 22年

楽器業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2020年までは減少傾向にありましたが、2021年、2022年には増加に転じています。

楽器業界の動向と現状(2022-2023年)

2022年の楽器の販売額は754億円 電子楽器の堅調続く

下のグラフは、楽器の販売金額の推移を示しています。経済産業省の生産動態統計年報(2023年6月2日公表)によると、2022年の楽器の販売金額は、前年比8.2%増の754億円でした。

楽器の販売金額の推移

楽器の販売金額の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)

楽器の販売金額の推移を見ますと、2015年から2020年まで減少傾向にありましたが、2021年は増加に転じています。2022年は754億円と700億円を突破、増加幅は前年から縮小したものの、2年連続で増加しました。

近年の楽器業界の状況をみますと、2020年はコロナ禍の影響により楽器の供給不足や販売店および音楽教室の休業が響き、販売数が減少するなど厳しい経営状況でした。一方、2021年は世界的に自宅で過ごす時間が増え楽器需要は一転して増加、なかでもECに適した電子ピアノなどの「電子楽器」が好調となりました。

2022年-2023年の楽器業界の動向をみますと、行動制限の緩和により外出の機会が増え「巣ごもり生活」は縮小したものの、全体としては好調に推移した年でした。楽器別では、ピアノはアコースティックピアノが減少、一方グランドピアノと電子ピアノの需要は好調でした。また、管弦打楽器やエレキギターの販売も伸長しています。

地域別の販売状況をみますと、北米では管弦打楽器が昨年から好調が継続、一方でコロナの影響を受けた中国市場は、ピアノやドラム、ギターなどの販売数が減少しました。2022年は、低価格帯の需要は軟調でしたが、中高級モデルの需要は依然として堅調でした。

楽器には、鍵盤楽器、弦楽器、管楽器、打楽器、電子楽器に加え、シンセサイザーなど音楽制作機器などがあります。近年は、安価で手軽に演奏ができる「電子ピアノ、電子ドラム、電子サックス」などの電子楽器や自動演奏楽器の需要が高まっています

楽器業界 売上トップ5(2022-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 ヤマハ 3,026
2 ローランド 958
3 河合楽器製作所 729
4 バナーズ 5

※は楽器関連の部門売上高。2022-2023年の楽器業界の売上高ランキングを見ますと、首位がヤマハ、2位がローランド、3位が河合楽器製作所となりました。ヤマハは楽器の世界的メーカーで『電子ピアノ』のシェアは世界首位を誇ります。一般向けからプロ用と幅広く手がけており、2位のローランドを大きく引き離し、国内の楽器業界をけん引しています。

2022年の主な楽器メーカー3社の売上高は、ヤマハが前年比9.6%増の3,026億円、ローランドが同19.8%増の958億円、河合楽器製作所が5.7%増の729億円でした。2022年は主要企業4社中4社が増収を記録しました。

海外で稼ぐ日本の楽器メーカー 電子楽器の需要が増加

電子ピアノや電子ギターなど

2022年は各国の『巣ごもり特需』は収束しましたが、引き続き「電子楽器」の需要は堅調に推移しました。

「REPORTOCEAN」(PR TIMES掲載)の調査レポートによると、世界の楽器市場は2027年までに179億ドルに達し、2021年から2027年の予測期間には約1.6%の成長を予測しています。近年では電子楽器の需要が急増、なかでも最も大きな市場が『電子ピアノ』です。また、楽器市場は海外の需要が高く、大手楽器メーカー各社は海外市場に注力しています。

世界の楽器市場でシェア№1を誇るヤマハは、売上比率の約8割が海外市場です。楽器の種類別シェアでは、電子楽器が39%を占めており、ピアノの売上の1.7倍を上回ります。また、電子楽器の世界シェアも高く、『電子ピアノ』は世界首位を獲得しています。

ヤマハの電子ピアノ「Clavinova(クラビノーバ)」

ヤマハの電子ピアノ「Clavinova(クラビノーバ)」

同社は中国、ASEANを中心とした新興国での中間所得層の取り込みを掲げ、さらに付加価値向上で収益力の強化を図っています。近年はインド市場での販売が加速しており、民族楽器の音色を内蔵した『ポータブルキーボード』など、インドモデルの投入も行っています。

電子楽器に特化したローランドは、北米、欧州、中国など中心に販売し、全売上高の90%が海外市場です。売上の構成比率は鍵盤楽器が最も大きく、なかでも『ポータブルタイプの電子ピアノ』がECで伸長しています。同社は、新興国を含めた世界各国での販売を進め、ECのルート強化を図ります

鍵盤楽器を中心とする河合楽器製作所は、売上比率の46%が海外で、そのうち約4割を中国が占めます。コロナ禍ではデジタルやハイブリッド、消音ピアノが好調でした。同社は好調なデジタルピアノを中心に拡販し、販売網では北米や欧州を強化します。今後は東南アジアでの拡販や、中南米、中近東、アフリカなどの市場開拓に取り組むことを掲げています。

楽器業界では『巣ごもり需要』の恩恵により、電子楽器の需要が高まるなど、今までに見られなかったポジティブな面が見られました。2022年も引き続き世界での電子楽器や自動演奏楽器の需要は高まっており、楽器業界には追い風です。こうした好機をうまく捉え、今後の業績向上につなげたいところです。

楽器業界 ランキング&シェア

楽器業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで楽器市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

楽器業界 売上高&シェアランキング(2022年-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 ヤマハ 3,026
2 ローランド 958
3 河合楽器製作所 729
4 バナーズ 5

※ヤマハは楽器事業、河合楽器製作所は楽器教育事業、バナーズは楽器販売事業の売上高です。シェアとは楽器業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで楽器市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ楽器業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

関連リンク

楽器業界を見た人は他にこんなコンテンツも見ています。関連業種の現状や動向、ランキング、シェア等も併せてご覧ください。

楽器業界 対象企業一覧

ヤマハ、ローランド、河合楽器製作所、バナーズの計4社

注意・免責事項

楽器業界の動向や現状、ランキング、シェア等のコンテンツ(2022-2023年)は上記企業の有価証券報告書または公開資料に基づき掲載しております。楽器業界のデータは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。掲載企業に関しましてはできる限り多くの企業を反映させるよう努めていますが、全ての企業を反映したものではありません。あらかじめご了承ください。また、情報に関しましては精査をしておりますが、当サイトの情報を元に発生した諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負うものではありません。重要な判断を伴う情報の収集に関しましては、必ず各企業の有価証券報告書や公開資料にてご確認ください。