楽器業界の動向や現状、ランキングなどを解説

ギターやベース、ドラムなどの楽器

楽器業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを分析しています。データは2021-2022年。楽器業界の過去の業界規模の推移をはじめ、楽器販売額の推移と2021年のコロナの影響と売上高ランキング、楽器メーカー各社の海外展開の動向などを解説しています。

楽器業界(2021-2022年)

楽器業界の推移と基本情報

業界規模

0.4兆円

成長率

2.5

利益率

7.3

平均年収

630 万円

  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年

楽器業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2020年まで増減を繰り返してきましたが、2021年には大きく増加しています。

楽器業界の動向と現状(2021-2022年)

2021年の楽器の販売額は21.6%増 『巣ごもり』で電子楽器は堅調

下のグラフは、楽器の販売金額の推移を示しています。経済産業省の生産動態統計年報(2022年6月2日公表)によると、2021年の楽器の販売金額は、前年比21.6%増の697億円でした。

楽器の販売金額の推移

楽器の販売金額の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)

楽器の販売金額の推移を見ますと、2014年から2020年まで減少傾向にありましたが、2021年は前年までの減少傾向から大幅増に転じました。

2020年の楽器業界は、新型コロナウイルスによる感染拡大により、厳しい事業環境となりました。工場の操業停止による楽器の供給不足や、楽器販売店および音楽教室の休業により楽器の販売数が伸びず業績に大きく響きました。

一方で2021年には、世界各地で感染防止策による『巣ごもり需要』を背景に楽器の需要が増加しており、なかでもECに適した電子ピアノなどの「電子楽器」は好調でした。2021年は減少から増加に転じる一年となりました。

楽器には、鍵盤楽器、弦楽器、管楽器、打楽器、電子楽器に加え、シンセサイザーなど音楽制作機器などがあります。近年は、安価で手軽に演奏ができる「電子ピアノ、電子ドラム、電子サックス」などの電子楽器や自動演奏楽器の需要が高まっています

楽器業界 売上トップ5(2021-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 ヤマハ 2,761
2 ローランド 800
3 河合楽器製作所 690
4 バナーズ 3.9

※は楽器関連の部門売上高。2021-2022年の楽器業界の売上高ランキングを見ますと、首位がヤマハ、2位がローランド、3位が河合楽器製作所となりました。ヤマハは楽器の世界的メーカーで『電子ピアノ』のシェアは世界首位を誇ります。一般向けからプロ用と幅広く手がけており、2位のローランドを大きく引き離し、国内の楽器業界をけん引しています。

2021年の主な楽器メーカーの売上高は、ヤマハが前年比15.6%増の2,761億円、ローランドが同25.0%増の800億円、河合楽器製作所が25.2%増の690億円でした。2021年は上位4社中4社が20%近い大幅増を記録しました。

海外で稼ぐ日本の楽器メーカー 電子楽器の需要が増加

電子ピアノや電子ギターなど

2021年は新型コロナの影響により、楽器メーカーの業績は落ち込みました。一方、2021年は各国の『巣ごもり需要』の恩恵を受けたことで「電子楽器」の需要は堅調でした。

「REPORTOCEAN」の調査レポートによると、世界の楽器市場は2027年までに179億ドルに達し、2021年から2027年の予測期間には約1.6%の成長が予測されています。近年では電子楽器の需要が急増しており、なかでも『電子ピアノ』が最も大きな市場となっています。楽器市場は海外の需要が高く、楽器大手各社は海外市場に力を入れています

世界の楽器市場でシェア№1を誇るヤマハは、売上比率の約8割が海外市場です。なかでも電子楽器が41.7%を占めており、ピアノの売上高を1.6倍も上回ります。また、電子楽器の世界シェアも高く、『電子ピアノ』は世界首位を獲得しています。

ヤマハの電子ピアノ「Clavinova(クラビノーバ)」

ヤマハの電子ピアノ「Clavinova(クラビノーバ)」

ヤマハは、中国、ASEANを中心とした新興国の中間所得層の取り込みを掲げており、付加価値向上で収益力の強化を図っています。近年はインド市場での販売が加速しており、民族楽器の音色を内蔵した『ポータブルキーボード』など、インドモデルの投入も行っています。

電子楽器に特化したローランドは、北米、欧州、中国など中心に販売し、全売上高の85%が海外市場です。売上の構成比率は鍵盤楽器が最も大きく、なかでも『ポータブルタイプの電子ピアノ』がECで伸長しています。同社は、新興国を含めた世界各国での販売を進め、ECのルート強化を図ります

鍵盤楽器を中心とする河合楽器製作所は、売上比率の41%が海外で、そのうち約4割を中国が占めます。コロナ禍ではデジタルやハイブリッド、消音ピアノが好調でした。同社は好調なデジタルピアノを中心に拡販し、販売網では北米や欧州を強化します。今後は東南アジアでの拡販や、中南米、中近東、アフリカなどの市場開拓に取り組むことを掲げています。

2021年の楽器業界は『巣ごもり需要』により電子楽器の需要は高まるなど、今までに見られなかったポジティブな面が見られています。近年の世界での電子楽器や自動演奏楽器の需要の高まりは、楽器業界には追い風です。こうした好機をうまく捉え、今後の業績向上につなげたいところです。

楽器業界 ランキング&シェア

楽器業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで楽器市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

楽器業界 売上高&シェアランキング(2021年-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 ヤマハ 2,761
2 ローランド 800
3 河合楽器製作所 690
4 バナーズ 3.9

※ヤマハは楽器事業、河合楽器製作所は楽器教育事業、バナーズは楽器販売事業の売上高です。シェアとは楽器業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで楽器市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ楽器業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

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楽器業界 対象企業一覧

ヤマハ、ローランド、河合楽器製作所、バナーズの計4社

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