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目次
グラフは保育業界の業界規模(対象企業の16計)の推移をグラフで表したものです。
保育業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2020年-2021年の保育業界の業界規模(主要対象企業16社の売上高の合計)は1,596億円となっています。
保育業界の過去5年間の業界規模の推移
保育業界の過去5年間の業界規模の推移を見ますと、増加傾向にあります。
厚生労働省の「保育所等関連状況取りまとめ」によると、2020年の保育所利用率は前年比4.1%増の47.7%、待機児童数は前年比25.8%減の12,439人でした。
保育所利用率と待機児童数の推移(出所:厚生労働省、グラフは業界動向サーチが作成)
グラフを見ますと、保育所利用率は年々増加傾向に、待機児童者数は減少傾向にあることが分かります。待機児童数は全体的に減少傾向にありますが、地域による隔たりも見られ、東京、埼玉、千葉、兵庫、福岡、沖縄などでは依然として多い傾向にあります。
保育所は自治体や社会福祉法人による運営がほとんどですが、近年は民間企業の運営も増加しています。業界首位のJPホールディングスは212、ライクキッズは193、グローバルキッズは176の保育施設を運営しています(2020年現在(ライクキッズは19年現在))。
少子化の影響により、児童全体の数は減っているものの、共働き世帯の増加に伴い保育需要は年々増加傾向にあります。一方、供給サイドである保育所の数も増えており、需給バランスはここ10年でずいぶんと改善されました。
2020年の保育業界は、新型コロナウイルスの影響で様々な対策や問題、休園を余儀なくされた保育所が多く見られたものの、依然として需要は高水準にあると言えます。また、登園自粛中は国による運営補助金が支給されるなど、コロナによる業績の影響は軽微であると言えます。
保育業界の2020年の売上高ランキングを見ますと、首位がJPホールディングス、2位がグローバルキッズ、3位がポピンズHDでした。JP HDとグローバルキッズの2社は保育事業を専業に行う企業です。
昨年からの推移を見ますと、ランキング上位5社は、いずれも前年より「上昇」または「横ばい」がみられます。ランキングからも保育業界が上昇局面にあることが分かります。
2019年10月には政府による幼児教育・保育の無償化が開始しました。これにより、女性の就業率の増加が期待され、保育所の利用が今後さらに増える可能性があります。
入所率の改善や運営施設の増加により、拡大を続ける保育業界ですが、一方で課題もあります。近年、保育所の新設に伴い、保育士の人材不足が問題となっています。
保育士の登録者数と従事者数の推移(出所:厚生労働省、グラフは業界動向サーチが作成)
上のグラフは保育士の登録者数と従事者数の推移です。保育士の登録者数は年々、増加傾向にありますが、保育所等で従事していない保育士数も増加傾向にあります。保育士が定着しない要因としては、長時間労働や低賃金などが挙げられます。
業界首位のJPホールディングスは、保育士の人材が確保できないことから、保育所の新設を抑制することを決めました。今後も保育所の新設は一定数必要のため、働いていない保育士をいかに活用するかがカギとなります。同時に、保育士の労働環境の改善も進める必要があります。
女性の社会進出や共働き世帯の増加に伴い、保育業界は拡大を続けてきました。今後も日本の賃金の上昇は見込みにくいため、共働き世帯の数は増えると予測されます。一方、保育士の不足により、新規保育施設の新設も頭打ちが見られます。増える需要に対していかに供給を確保するか、難しいかじ取りが続きます。
順位 | 企業名 | 売上高 | シェア | 単位:億円 |
1 | JPホールディングス | 329 | 20.6 | |
2 | グローバルキッズCOMPANY | 221 | 13.8 | |
3 | ポピンズHD ※2 | 193 | 12.1 | |
4 | ニチイ学館 ※1 | 152 | 9.5 | |
5 | テノ.ホールディングス | 107 | 6.7 | |
6 | kidsSmileHD | 91 | 5.7 | |
7 | アートチャイルドケア | 84 | 5.3 | |
8 | globalbridgeHD | 83 | 5.2 | |
9 | LITALICOパートナーズ ※2 | 64 | 4.0 | |
10 | パソナグループ ※2 | 62 | 3.9 |