保育業界の動向や現状、ランキング等を解説

保育園の様子

保育業界の動向や現状、ランキング・シェアなどを研究しています。データは2022-2023年。過去の保育業界の市場規模の推移をはじめ、保育所利用率と待機児童数の推移と売上高ランキング、保育業界が抱える保育士不足の課題などを解説しています。

保育業界(2022-2023年)

保育業界の推移と基本情報

業界規模

0.1兆円

成長率

8.0

利益率

3.9

平均年収

573万円

  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年
  • 22年

保育業界の過去の業界規模の推移を見ますと、緩やかな増加傾向にあります。

保育業界の動向と現状(2022-2023年)

2023年の待機児童数は過去最少を更新 拡大を続ける保育業界

厚生労働省の「保育所等関連状況取りまとめ(2023年9月公表)」によると、2022年の待機児童数は前年比9.0%減の2,680人保育所利用率は前年比2.9%増の52.4%でした。

保育所利用率と待機児童数の推移

保育所利用率と待機児童数の推移(出所:厚生労働省、グラフは業界動向サーチが作成)

グラフを見ますと、保育所利用率は年々増加傾向、一方の待機児童者数は減少傾向で調査開始以来過去最少値を6年連続で記録しています。待機児童数は全体的に減少傾向にありますが、地域による隔たりも見られ、東京、埼玉、千葉、兵庫、福岡、沖縄などでは依然として多い傾向にあります。

保育所は自治体や社会福祉法人による運営がほとんどですが、近年は民間企業の運営も増加しています。各社の保育施設数は、業界首位のJPホールディングスが309、グローバルキッズは184、ライクキッズは390以上の施設を運営しています。

少子化の影響により、児童全体の数は減っているものの、共働き世帯の増加に伴い保育需要は年々増加傾向となり、加えて保育無償化も追い風となっています。一方、供給サイドである保育所の数も増えており、需給バランスはここ10年でずいぶんと改善されました。

2022年の保育業界を見ますと、新型コロナの影響で入園の先送りや利用控えなどがありましたが、需要は高水準に推移していると言えます。一時的な受入児童数の減少があったものの、その後は徐々に回復し、新規施設の開設やIT活用による園見学などを実施したことで受入児童数が増加しました。

また、昨年同様に登園自粛中は国による運営補助金が支給されるなど、コロナによる業績の影響は軽微であると言えます。

保育業界 売上トップ5(2022-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 JPホールディングス 355
2 グローバルキッズCOMPANY 243
3 ポピンズHD 209
4 テノ.ホールディングス 121
5 kidsSmileHD 118

※は保育関連の部門売上高。保育業界の2022年の売上高ランキングを見ますと、首位がJPホールディングス、2位がグローバルキッズ、3位がポピンズHDでした。JP HDとグローバルキッズの2社は保育事業を専業に行う企業です。

昨年からの推移を見ますと、ランキング上位5社は、いずれも前年より「上昇」または「横ばい」がみられます。ランキングからも保育業界が上昇局面にあることが分かります。

保育士不足が課題 保育所新設と保育士の確保を両立できるか

双眼鏡で先を見通している人

2019年10月には政府による幼児教育・保育の無償化が開始しました。これにより、女性の就業率の増加が期待され、保育所の利用が追い風となり、今後もさらに増える可能性があります。

入所率の改善や運営施設の増加により、拡大を続ける保育業界ですが、一方で課題もあります。近年、保育所の新設に伴い、保育士の人材不足が問題となっています。

保育士の登録者数と従事者数の推移

保育士の登録者数と従事者数の推移(出所:厚生労働省、グラフは業界動向サーチが作成)

上のグラフは保育士の登録者数と従事者数の推移(2022年公表)です。保育士の登録者数は年々、増加傾向にありますが、保育所等で従事していない保育士数も増加傾向にあります。保育士が定着しない要因としては、長時間労働や低賃金などが挙げられます。

業界首位のJPホールディングスは、保育士の人材が確保できないことから、保育所の新設を抑制することを決めました。今後は保育所の新設は一定数必要のため、働いていない保育士をいかに活用するかがカギとなります。同時に、保育士の労働環境の改善も進める必要があります。

業界では保育士不に対応するため様々な施策を講じています。JPホールディングスとポピンズでは、DXを改革の柱としIT活用を進めています。オンラインでの園体験を実施、さらに各施設の人員再配置による適正化で効率化を図っています。

女性の社会進出や共働き世帯の増加に伴い、保育業界は拡大を続けてきました。賃金上昇の不透明感もあり、今後も共働き世帯の数は増えると予測されます。一方、保育士の不足により、新規保育施設の新設も頭打ちが見られます。

このような状況の中、JPホールディングスでは、2022年12月には新たな成長戦略として「バイリンガル保育園」の開設を発表しました。すでに運営している首都圏の3園を英語に特化した保育園として業態変更します。

将来的には少子化が進み保育所の過剰が考えられますが、直近では増える需要に対していかに供給を確保するか、難しいかじ取りが続きます。

保育業界 ランキング&シェア

保育業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで保育市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

保育業界 売上高&シェアランキング(2022年-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 JPホールディングス 355
2 グローバルキッズCOMPANY 243
3 ポピンズHD 209
4 テノ.ホールディングス 121
5 kidsSmileHD 118
6 ソラスト 99
7 アートチャイルドケア 86
8 LITALICO 79
9 パソナグループ 76
10 幼児活動研究会 69

※ポピンズHDはエデュケア事業、ソラストはこども事業、LITALICOはLITALICOジュニア事業、パソナグループはライフソリューション事業の売上高です。シェアとは保育業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで保育市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ保育業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

関連リンク

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保育業界 対象企業一覧

JPホールディングス、グローバルキッズCOMPANY、ポピンズHD、テノ.ホールディングス、kidsSmileHD、ソラスト、アートチャイルドケア、LITALICO、パソナグループ、幼児活動研究会、リソー教育、ヒューマンHD、ピジョン、成学社の計14社

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