人材派遣業界の動向や現状、ランキングなど

派遣元と派遣社員の人たち

人材派遣業界のランキングやシェア、動向や現状などを解説しています。データは2021-2022年。過去の人材派遣業界の市場規模の推移や有効求人米率の推移、主要人材派遣会社の業績や法改正の動向、現在の課題や各企業の取り組みなどを解説しています。

人材派遣業界(2021-2022年)

人材派遣業界の推移と基本情報

業界規模

5.6兆円

成長率

6.3

利益率

4.5

平均年収

540万円

  • 13年
  • 14年
  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年

人材派遣業界の過去の業界規模の推移を見ますと、18年から20年は横ばいで推移していましたが、2021年には大幅に増加しています。

人材派遣業界の動向と現状(2021-2022年)

慢性的な人手不足が追い風 2021年は派遣スタッフ需要増

近年の人材派遣業界は人手不足を背景に需要は増加傾向にあります。

国内企業の人材不足は深刻化しています。企業からの人材確保の採用は活発化しており、市場は堅調な推移を見せています

人材派遣業界の業績は、求職者1人あたり何件の求人があるかを示す「有効求人倍率」に比例する傾向があります。人材派遣会社は、企業と求職者のマッチングを主な仕事としていますので、企業の求人数(有効求人倍率)が増えるほど業績は良くなる傾向にあります。

有効求人倍率の推移(出所:厚生労働省、グラフは業界動向サーチが作成)

上のグラフは有効求人倍率の推移をあらわしたものです。厚生労働省の調査によると、2024年1月の有効求人倍率は1.27倍(季節調整値)と前月と同水準でした。

これは求職者1人に対して約1.27倍の求人があることを意味しています。直近では上昇傾向で、長期的に見ると2009年から増加傾向しており、2014年以降は求人倍率が1倍を超えて推移しています。

2022年3月公表の「労働派遣事業報告書の集計結果」では、2020年の労働派遣事業の売上高は前年比9.6%増の8兆6,209億円でした。人材派遣市場の規模はリーマンショック前にピークとなった7兆7千億円を超えるなど、回復傾向にあります。

近年の人材派遣業界の動向を振り返りますと、主要人材派遣会社の業績は揃って増収を記録してきました。国内では多くの業種で人手不足が問題となっており、人材派遣業界にとっては強い追い風が吹いていますこのような市況から、人材派遣業界も好調に推移しています。

2021年は感染症の再拡大が起こる中、国内では企業からの採用需要が回復し、派遣スタッフ数は前年の水準を上回る結果となりました。また、海外市場においても、事業の再開や拡大が行われたことで、派遣需要が増加しました。一方、コロナによる水際対策の影響で、外国人技能実習生においては前年から減少となりました。

2022年の人材派遣業界は、引き続き国内での人材派遣需要が高まり、派遣稼動者数は増加しています。また、厚生労働省の「外国人雇用状況(2023年1月公表)」によると、2022年の外国人労働者数は182万人と過去最多を更新しています。

今後、日本の労働人口は長期的な減少が予想されます。特に、ITをはじめとした技術者人口の減少が予想されており、人材派遣業界へのニーズが高まることが予想されます。

人材派遣業界 売上トップ5(2021-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 リクルートHD 13,618
2 パーソルHD 10,608
3 アウトソーシング 5,693
4 パソナグループ 3,660
5 テクノプロ・HD 1,787

※は人材派遣関連の部門売上高。2021年の人材派遣業界の売上高ランキングを見ますと、首位がリクルートHD、2位がパーソルHD、3位がアウトソーシングと続き、インディードを展開するリクルートが一歩リードをしています。

2021年の主要人材派遣会社5社の業績を見ますと、リクルートHDは売上高前年比で 14.9%増、パーソルHDは同11.6%増、アウトソーシングは55.9%増、パソナグループは9.4%増、テクノプロ・HDは10.8%の増加となりました。2021年は、全体では増加で推移しており、主要人材派遣会社61社中50社が増収を記録しています。

法改正による派遣社員の環境変化 課題に直面する人材派遣企業

考え事をしている人

派遣法改正により有期雇用派遣期間が最長3年に制限されました。3年継続して派遣する社員には、就業先の紹介や期間制限のない無期雇用への切換え(派遣企業と派遣社員の雇用が継続)が派遣企業に課せられました。

この無期化を商機と捉えてるのが大手派遣会社です。雇用先が決まるまでの待機期間中も労働費等が発生するデメリットはありますが、多くの人手を必要とする派遣企業にとっては、優秀な人材を確保し続けられるメリットがあります。

2021年4月には、すべての企業に『同一労働同一賃金』制度が適用されました。これにより不安定な雇用状況に置かれている派遣社員と派遣先の正社員との待遇を揃える、均衝待遇への配慮が義務化されることとなりました。

企業の『働き方改革』が進み、派遣会社は事業の拡大が見込めるチャンスが到来しています。一方、新型コロナ感染症の流行を機に、テレワークやデジタル化が進むなど、労働環境も大きく変わりました。法改正によって、今後多くの課題が生じると考えられており、人材派遣企業の対応が求められます。

外国人労働者の受け入れ緩和 人手不足問題の解消へ

外国人の労働者たち

外国人労働者の受け入れ緩和も、人材派遣業界の需要増加を後押ししています。

外国人労働者の受け入れ緩和を目的とした新在留資格「特定技能」が施行されたことで、以前まで禁止されていた一部の職種においても、外国人労働者の受け入れが可能となりました。

今後は受け入れ緩和による外国人派遣労働者の拡大が見込まれています。人材派遣企業は企業と人材のマッチングを得意としています。日本で就業先を探す外国人と外国人材を必要とする企業の橋渡し役割になることが人材派遣会社には求められています。

近年は、企業の事業拡大や訪日外国人需要への対応などで、慢性的に人材が不足してきました。また、飲食業界や建設業界、小売業など多くの業界で人手不足が深刻化しています。今後もこうした動向が続くものと見られ、一部の人材派遣会社ではAIを活用するなど、マッチングの効率化も進んでいます

一方、2020年から2021年は新型コロナウィルスの影響で、一時的な渡航規制が行われました。2021年の外国人労働者数は前年比増となった一方で増加率は低下、さらに技能実習生は減少に転じることとなりました。

2022年に入り外国人労働者数は前年から9万5千人が増加し、過去最多の182万人となりました。技能実習生は2年連続で減少していますが、「特定活動や専門的・技術的分野の在留資格」が前年から21%増、「特定活動」が同11.3%増となり、特定技能が外国人労働者数を牽引しています。

今後、国内では少子高齢化に伴い若年層の継続的な減少が見込まれており、業界の規模は縮小する可能性があります。人材派遣業界では多くの派遣社員を必要とするため、国内外で人材獲得競争が激化することが考えられます。

このような市況から、パソナでは2021年11月に「越境リモート人材サービス」を展開。インドやベトナム在住の海外のIT人材を日本企業に業務委託で紹介するサービスをスタートしました。IT人材の不足は世界中の企業で起こっており、今後はIT人材の確保においても国際的な競争激化が予想されています。

人材派遣業界 ランキング&シェア

人材派遣業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで人材派遣市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

人材派遣業界 売上高&シェアランキング(2021年-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 リクルートHD 13,618
2 パーソルHD 10,608
3 アウトソーシング 5,693
4 パソナグループ 3,660
5 テクノプロ・HD 1,787
6 UTグループ 1,567
7 夢真ビーネックスグループ 1,566
8 ワールドHD 1,547
9 マイナビ 1,414
10 ウィルグループ 1,310

※リクルートHDは人材派遣事業の売上高です。シェアとは人材派遣業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで人材派遣市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ人材派遣業界の詳細ランキングページにジャンプします。

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リクルートHD、パーソルHD、アウトソーシング、パソナグループ、テクノプロ・HD、ワールドHD、マイナビ、ウィルグループ、UTグループ、マンパワーグループ、メイテック、夢真ビーネックスグループ、日研トータルソーシング、ヒト・コミュニケーションズ・HD、日総工産、夢真HD、nmsホールディングス、ライク、ヒューマンHD、WDBホールディングス、フルキャストHD、エン・ジャパン、クリーク・アンド・リバー社、エス・エム・エス、VSN、アルプス技研、ディップ、キャリアリンク、トーテックアメニティ、NFCホールディングスなどの計61社

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