携帯電話販売業界の動向や現状、ランキング&シェアを研究しています。データは2021-2022年。携帯電話販売業界の過去の業界規模の推移をはじめ、携帯電話販売大手3社の売上高の推移グラフ、2021年のコロナの影響と、各社のビジネスモデルの動向などについて解説しています。
業界規模
0.8兆円
成長率
-4.0%
利益率
0.7%
平均年収
493万円
携帯電話販売業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2013年から2020年まで減少傾向にありましたが、2021年には反発を見せています。
以下のグラフは携帯電話販売大手3社の売上高の推移を示しています。
携帯電話販売大手3社の売上高の推移(出所:各社有価証券報告書、グラフは業界動向サーチが作成)
グラフを見ますと、全体的に縮小傾向にあることが分かります。最近の動向としては、ベルパークがほぼ横ばいなのに対し、ティーガイアとコネクシオは減少傾向にあります。とくにティーガイアは2021年に反発したものの、長期的には減少傾向となっており、10年間で約3割も縮小しています。
2021年の携帯電話販売業界は、2020年のコロナウイルスの影響から回復傾向にあります。前年の休業や時短営業からの反動により、来店客数および携帯電話の販売台数は増加しました。2026年終了予定の3G回線から4Gや5G対応のスマートフォンへの移行、通信料金の安い格安スマホが好調に推移したことが増加要因となっています。
一方、半導体不足にともなって一部商品の納品が遅れたことや、一部キャリアの手数料が改定されたことで、営業利益に影響を及ぼしています。
また、政府による「携帯料金の値下げ」要請を受け、2021年3月には携帯電話大手3社がオンライン専用の格安プランを一斉にスタートさせています。これにより、携帯電話販売業界の事業環境に大きな変化が起きています。
※は携帯電話販売関連の部門売上高。2021年の携帯電話販売業界の売上高ランキングを見ますと、トップがティーガイア、2位がコネクシオ、ベルパークと続きます。携帯電話販売事業で売上高首位のティーガイアは、光回線や決済サービス事業も展開していますが、全売上高のうちモバイル事業が85%を占めています。
2021-2022年の携帯電話販売業界の業績は、ティーガイアが前年比14.1%増、コネクシオが同2.4%増、ベルパークが8.5%増と3社ともに増収となりました。一方、主要企業11社の合計売上高は前年比増でしたが、コロナ前である2019年比ではマイナスとなっています。
スマートフォン需要は近年、停滞期に突入しています。さらに携帯電話大手3社が格安プランを提供したことで、携帯電話販売業界では将来的に事業の先細りが懸念されています。
このような市況の元、各社は携帯電話販売の事業モデルから徐々にシフトし、新たな成長事業の育成に注力しています。
ティーガイアの「決済サービス事業」
携帯電話販売首位のティーガイアは、近年、決算サービス事業を強化しています。主力のモバイル事業が伸び悩む中、決済サービスを新たな収益柱として注力しており、2017年12月にはクオカードを完全子会社化しています。コンビニでの販売を中心にしたギフトカードやプリペイドコード(PIN)に加え、SNSで送れるQUOカードpayを提供するなど積極的な展開を行っています。
また、同社の2022年3月から2024年3月の中期経営計画によると、現在のモバイル事業の収益を62%から将来的に52%に縮小する計画です。その一方で、ソリューション事業は4%の増加、決済サービス事業は24%から30%に引き上げることを発表しています。
業界2位のコネクシオは、法人事業の一つであるIoTソリューションを将来の収益柱として注力しています。コネクシオはIoTシステムの構築を支援しており、30万箇所を超えるIoTの導入や活用が行われています。
同社では、特殊車両や建機などへの通信機器の組み込みで培った豊富な知識をもとに「課題解決型ソリューション」を提供しています。センサーからクラウドまで一括サポートするなど、IoTソリューション事業の拡充やストック型ビジネスの推進を図っています。
2021年の携帯電話販売業界の業績は、新型コロナの影響を受けつつも回復傾向にあります。一方、主力のモバイル事業はコロナ前から減少しています。格安スマホの登場やオンライン専用格安プランの開始を受け、業界内では大手キャリアの影響を受けにくい、自由度の高い独自サービス展開に力を入れています。転換期に差し掛かっている携帯電話販売業界、今後の動向に注目が集まります。
携帯電話販売業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで携帯電話販売市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | ティーガイア ※ | 4,424 | ||
2 | コネクシオ | 1,932 | ||
3 | ベルパーク | 1,072 | ||
4 | クロップス ※ | 183 | ||
5 | トーシンHD ※ | 157 | ||
6 | サカイHD | 151 | ||
7 | アルファグループ | 132 | ||
8 | エヌジェイHD | 106 | ||
9 | 日本テレホン | 54 | ||
10 | 協立情報通信 ※ | 31 |
※ティーガイアはモバイル+ソリューション事業、クロップスは移動体通信事業、トーシンHDは移動体通信関連事業、協立情報通信はモバイル事業の売上高です。シェアとは携帯電話販売業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで携帯電話販売市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ携帯電話販売業界の詳細ランキングページにジャンプします。
携帯電話販売業界を見た人は他にこんなコンテンツも見ています。関連業種の現状や動向、ランキング、シェア等も併せてご覧ください。
ティーガイア、コネクシオ、ベルパーク、トーシンHD、アルファグループ、サカイHD、クロップス、エヌジェイHD、日本テレホン、協立情報通信の計10社
携帯電話販売業界の動向や現状、ランキング、シェア等のコンテンツ(2021-2022年)は上記企業の有価証券報告書または公開資料に基づき掲載しております。携帯電話販売業界のデータは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。掲載企業に関しましてはできる限り多くの企業を反映させるよう努めていますが、全ての企業を反映したものではありません。あらかじめご了承ください。また、情報に関しましては精査をしておりますが、当サイトの情報を元に発生した諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負うものではありません。重要な判断を伴う情報の収集に関しましては、必ず各企業の有価証券報告書や公開資料にてご確認ください。