エステ業界の業界地図や現状と動向、課題や今後の見通しなどをご紹介します。エステ業界の構造から現状や課題、将来の見通しなど全体を一通り学べるように解説しています。
エステ業界の業界地図と最近の現状や動向について解説していきます。
エステ業界は、大手企業よりも中小企業や個人経営が多い特色があります。また、脱毛やダイエットのほか、肌荒れやニキビなどの施術も行うため、大手化粧品メーカも参入しています。
上の図はエステ業界の業界地図です。エステ業界は主に、大手エステが「トータルエステ」や「メンズエステ」を展開、化粧品メーカーは主にフェイシャル、その他「セルフエステ」が展開されています。主な市場は、脱毛、痩身、フェイシャルの3分野に分かれ、なかでも「脱毛」がもっとも高い市場とされています。
2020-2021年のエステ業界の動向を分析します。エステ業界は新型コロナの影響を大きく受けた業界の一つです。
2020-2021年は、新型コロナの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令により、顧客は来店を控え、各店舗では休業を余儀なくされました。その結果、客数、売上ともに縮小しています。
緊急急事態宣言の解除後は、予約数が増加し来店客数の戻りがみられたものの、再度の緊急事態宣言や断続的な蔓延防止策が響き、需要は一時的なもとなりました。一方、ECを利用した、ダイエット商材や基礎化粧品などの物販売上は増加傾向にあります。
一方で、最近はコロナ禍による生活様式の変化によって、ストレスやマスクによる肌荒れ、体重増加に悩む顧客の来店が増加傾向です。2022年に入り客足の回復が見られています。
最近では、セルフエステやメンズエステ、医療機関との提携店舗など、業界内では細分化の動きがみられます。エステ業界は飽和状態とも言われており、特化型で差別化を図っています。
近年は「セルフエステ」が注目されています。以前の「セルフエステ」は、家庭用美容機器を用いて自宅で施術をすることでした。一方、ここ数年の「セルフエステ」は、店舗でプロ仕様の機器を使い自身で施術を行います。店舗側は人件費を削減でき、顧客は低額で利用できるため、双方にメリットがあります。
また、ここ数年は男性用美容アイテムの増加とともに、メンズエステの需要も増え始めています。芸能人や加工アプリとのギャップなどを背景に男性の美容意識が高まっており、「セルフエステ」の分野においても男性用施設がオープンしています。
そして、医療機関が行う「メディカルエステ」の需要も高まっています。脱毛効果の高いレーザー脱毛やダイエット促進注射などが受けられるため、即効性を求める消費者ニーズがあります。こうした市況から、医療機関と提携するエステ企業の動きも見られています。
エステ業界にも当然、課題や問題点があります。ここでは近年、エステ業界が抱える課題や問題点の中から特に重要なポイントをピックアップします。
国内のエステ業界は、参入障壁が低く競争が激化しやすい構造にあります。エステは国家資格を持たなくても開業できるため(一部の脱毛施術には医師免許必要)、大手のみならず中小企業や個人経営者が多いのが特徴です。また、近年は異業種であるスポーツジムや美容家電、医療機関が行うメディカルエステとも競合している状況です。
すでに、エステ業界は飽和状態であると言われており、大手チェーンでは顧客獲得に向けた低価格競争が激化しています。一方、費用の低廉化は収益の低下に繋がるため軽視できません。
エステ業界でも人材不足が課題に挙げられています。少子高齢化による労働人口の減少に加え、重労働のため離職率が高い業界でもあります。とくに、地方でのエステティシャン不足が深刻化しています。
一方、エステティシャンは都市部に集中していると言われていますが、実際には都市部の店舗でも人手不足の声は上がっています。また、最近ではエステティシャンを希望する学生も減っており、今後ますます人手不足の懸念が高まる可能性があります。
業界が持つ課題やリスクはありますが、今後エステ業界はしばらくは順調に推移する可能が高いと言えます。
コロナ禍によるストレスや肌荒れ、自粛による体重増加などに悩む消費者が増加傾向にあります。また、外出の機会も増えていることから、しばらくエステ需要は伸びることが予想されます。
なかでも、セルフエステ型の店舗が増えることが予測されます。人手不足や少子化の影響、人と接する機会が少ないことや施術料金が安価であることなど、コロナの収束後も需要は増えるでしょう。
今後は、施術後の肌トラブル対策に向けた医療機関との提携や、自粛期間中に離れてしまった顧客や新規顧客の獲得に向けた、さまざまなキャンペーンやサービス、新たな施術が提供される可能性が高いでしょう。一方、エステ業界は中小企業が多くすでに飽和状態にあるため、生き残りをかけた大手による買収も進むとみられます。